「マイナス金利解除」で変わること 「変動金利」住宅ローンの返済額は年換算“2万円”増える可能性も【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2024-03-18 21:10

「金利のない世界」から「金利のある世界」へ大きな転換点を迎えようとしています。実際にマイナス金利が解除されたら、私たちの生活にはどのような影響があるのでしょうか?解説です。

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 マイナス金利解除で企業や生活への影響は?

山内あゆキャスター:
マイナス金利政策とは、銀行が積極的にお金を貸し出すということです。そうなると、企業にとっては資金を借りやすく、個人としては住宅ローンなどを借りやすい状況になります。

2016年に導入され、経済活動の活性化、景気向上を狙った政策として始まり、長く続きました。

では、なぜ今このタイミングでマイナス金利解除に向かうのでしょうか。

1つ目は、▼賃上げ率が上昇したこと、そして2つ目が▼物価の高騰が理由だということです。

みずほリサーチ&テクノロジーズ 酒井才介さん:
2024年の春闘においては、2023年を大きく上回る賃上げ率が実現しそうであるという状況になってきました。これが、今回の日本銀行の金融政策修正の背中を押した格好になっているというふうに見ています。

今は賃金の伸びが物価に追いつかず、実質賃金がマイナスで消費が弱いということが言われています。今回の春闘で賃金が上がれば、人々の所得が増え、2024年の夏以降には実質賃金もプラスになり、消費が増えることで企業も安心して価格転嫁ができるようになる。

この賃上げを伴う物価上昇、賃金と物価の好循環”が実現する可能性が見えてきたと日本銀行が判断したということかと思います。

「人手不足」が持続的な“賃上げ”を実現?中小企業の賃上げは?

ホラン千秋キャスター:
今回、金利も17年ぶりに見直しということになりますので、コロコロ変わるものではないということを考えますと、賃金も長期的に上がっていくのでしょうか?

酒井さん:
各企業収益は過去最高水準でこれまで推移してきましたから、これを労働者に還元する動き。人手不足が深刻化していく中で、人への投資、「労働者を大事にしていこう」という気運が企業の中に広まってきている

そして、人手不足というのはこれからも構造的に続きますので、こうした動きが持続的に続いていくことが見通せるだろうと日本銀行も考えているということだと思います。

ホランキャスター:
全体として大企業は賃上げ可能だけれども、中小企業にどこまで及んでいくのかというところが懸念されている中で、物価の高騰に耐えうる賃上げになっていくのでしょうか?

酒井さん:
中小企業の賃上げが実現するのかどうかというのが1つのポイントです。

今回、連合が取りまとめている春闘の賃上げ率ですが、基本的には大企業が主導する形にはなっています。

ただ、人手不足の深刻化を受けて、中小企業においてもそれなりに高い賃上げを実現していこうという気運が広まってきています。仮に大企業中心の賃上げであったとしても、大企業で高い賃上げが実現されることによって、大企業で働いている人々の給料が上がるわけですから、経済全体で見れば消費が増えていくだろうと。

そうすると、中小企業から見ても、提供している商品、財サービスの価格が上がりやすくなるんじゃないかということが見通せます。こうしたことが広まっていけば、2025年以降もある程度の高い賃上げが実現できる可能性も見えてくるということかと思います。

プロ経営者 ハロルド・ジョージ・メイさん:
キーワードがいくつかあって、インフレの話ですが、持続的に安定的に上がることは、我々の収入も同じように持続的に安定的に上がらないといけないわけなのです。

今回は賃金が上がりそうですが、それが本当に持続的にそうなのか、私はまだまだ見通せないと考えています。ただ、我々の一個人の意識は変わるなとは思います。

「変動金利」上昇で住宅ローン返済額は増える?

山内キャスター:
金利が上がると、私達の生活にどのような影響があるのか見ていきますと、やはり、住宅ローンの金利が上がるということになります。

多くの方が借りている「変動金利」で見ていきます。住宅ローンを組んでいる方の7割が変動金利で借りているということです。

現在、金利が約0.1%上昇になるのではないかと言われているので、これで計算してみると、例えば、借入額3500万円で返済期間35年、現在0.4~0.5%の変動ですが、これが0.1%上昇となると、返済総額は約70万円増えることになります。

年間で2万円増える計算です。実際に年間2万円くらいずつ賃上げがされていれば、これは決して怖いことではないのですが、やはり賃上げがちゃんと続いていくのかというところが私達にとっては不安です。

マイナス金利解除の今後の見通しです。

酒井才介主席エコノミストは、「物価上昇がやわらぎ、家計負担が抑えられる可能性が出てくる」という一方で、「中小・零細企業は資金繰りが厳しくなり、倒産に追い込まれる会社も出てくるのではないか」としています。

酒井さん:
やはり金利が上がる世界が見えてきたということで、我々消費者、企業が意識を変えていかなければいけないのかなと思います。

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