高温多湿な日本の夏は人はもちろん、犬にも過酷な季節です。この記事では、犬が夏になりやすい病気と体調不良の兆候をご紹介しますので、しっかりと確認しておきましょう。
犬が夏になりやすい『病気』とは?
近年の夏は35℃越えも珍しくなく、今年も酷暑が予想されています。そんな過酷な夏に犬がかかりやすい病気についてご紹介します。
1.熱中症
夏場に特に気を付けたいのが熱中症です。犬は全身を被毛に覆われ、汗を出す汗腺も少ないため体温調節が苦手な動物です。加えて体高が低いので、路面の照り返しを強く受けてしまいます。
例えば気温が32℃の場合、子供の身長では35℃、犬の体高では36℃以上の熱を感じるといわれています。具体的な数字を見ると恐ろしさを感じてしまいます。
下痢や食欲不振、元気がないなどの初期症状から始まり、痙攣や呼吸困難になり最悪の場合、命をも脅かす恐ろしいものです。締め切った部屋だけではなく、車内も気を付けましょう。わずか数分の留守番が取り返しのない事態を招く可能性もあるのです。
2.皮膚疾患
高温多湿の夏は細菌が繁殖しやすく、ノミやダニなどの寄生虫も大量発生します。さらに被毛や皮膚が蒸れやすいので皮膚病が多くなります。
皮膚に細菌(主にブドウ球菌)が増殖し発症する膿皮症や、酵母様真菌と呼ばれるカビが増えて引き起こすマラセチア皮膚炎が代表的な皮膚疾患です。
またアトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎により、一年を通して内服薬やかゆみ止めの注射を打っている犬も、季節によって症状が悪化するケースがあります。暑さと湿度で皮膚のバリア機能が低下し、痒みが強くなるためです。
耳の中で増殖した菌により炎症を引き起こす外耳炎も、同じ理由により夏場に発症が多くなります。
3.クーラー病
クーラー病とは、外と室内の温度差に体が対応できずに自律神経が乱れてしまい、体調不良を起こしてしまうことです。近年の異常な暑さも相まって、広く浸透されつつあります。
クーラーを完備しているご家庭も多いと思いますが、温度設定を低くしすぎると外気温との差が大きくなり、体調を崩しやすくします。他にも、クーラーの風に直接当たり続けると体が冷ええてしまうので、寝床やケージの置き場所にも注意が必要です。
4.水中毒
短時間に大量の水を体内に摂取したときに起こる「水中毒」も、夏に起こりやすいトラブルです。近年認知度が高まってきていますが、人だけではなく犬に起こる場合もあります。
川や湖などで大量の水を飲んでしまったり、激しい運動の後に一度に多くの水を飲んでしまったときは要注意です。
だるそうな感じや吐き気を催す仕草をした場合は、水中毒の初期症状かもしれません。進行すると意識障害などの重篤な症状があらわれることも。水遊びが好きなラブラドール種などは、特に気を付けて見守ってあげてください。
5.食中毒
みなさんもご存知の通り、夏は食材が傷みやすい季節です。「犬は胃酸が強いので腐ったものを食べても大丈夫」というのは俗説です。そんなことは一切ありません。
食中毒の主な症状は下痢と嘔吐です。「少しお腹を壊しているけど平気だろう」と安易に考えず、いつもと違う症状が見られたらすぐに動物病院へ連れていきましょう。
予防には菌をつけない・増やさないことが最も大切です。フードを長時間出しっぱなしにせず、お水もこまめに取り替えてあげましょう。お皿も常に清潔な状態を保ち、時々煮沸消毒してあげると良いですね。
夏の体調不良『夏バテ』の兆候とは?
そもそも夏バテとは、暑さやストレスが原因で起こる体調不良の総称を指します。熱中症とは違い、重篤な症状になることは少ないですが、放っておけば免疫力や体力が低下し、健康トラブルを招きやすくします。
夏バテによる体調不良の兆候としては以下の症状が挙げられます。
- 元気がなくなる
- 食欲低下
- 下痢や嘔吐
- 落ち着きがなく不安そう
夏バテが進行すると熱中症へと繋がる危険性が高まります。そうではなくとも、夏場の体調不良は暑さと高湿度による元気・食欲の低下や、下痢や嘔吐などの消化器症状が出やすくなる季節です。少しでも異変を感じたら、迷わずかかりつけの病院を受診しましょう。
まとめ
いかがでしたか。繰り返しになりますが、近年の酷暑はわたしたち以上に犬へのダメージが強くなります。「いつもより元気がない」「お腹を壊してる」など、緊急性がないと思われる症状でもためらわずに獣医師さんに診てもらいましょう。
大切な愛犬と夏をトラブルなく乗り切るためにも、日ごろから愛犬の様子をよく観察してくださいね。
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