マイナス金利解除などの大規模緩和策の見直しを決定した日本銀行の植田総裁は、記者会見で次のように説明しました。
■見直しの理由
政策を見直した理由について、「賃金と物価の好循環を確認し、2%の物価安定目標が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断した」と話しました。
■預金金利・貸出金利
政策変更後の預金金利や貸出金利については「今回の政策変更を受けて各金融機関の判断で設定されることになる。今回の政策変更に伴う短期金利の上昇は0.1%程度にとどまる。預金金利や貸出金利が大幅に上昇するとは見ていない」と話しました。
■「異次元緩和」→「普通の金融調節に」
これまで続けてきた異次元緩和を変更することで、「明後日から始まる金融政策の枠組みについて名前をつけるかについては、特に名前は考えていません。短期金利を主たる政策手段とする普通の金融調節になる」としています。
■金利上昇リスク
今後、金利が上昇するリスクについて、「経済全体が長い間、20数年、ゼロ金利その周辺の超低金利にずっとつかっていた状況ですので、これから急激に金利が上がるという事態になると、どういう予期せぬ混乱が起きかねないとも限らないとは意識しています。具体的に、どこに何が起きるとは想定していないが、今回、仮に今後利上げにいたるにしても、ゆっくりと進めていける局面にいたったことは適切」だと話しました。
■春闘の賃上げ状況は「判断の大きな材料に」
春闘の賃上げ状況が政策変更判断の材料になったかについては、「やはり、私含めて予告してきたように、春闘での賃金の妥結状況は重要な判断ポイントの一つということでしたので、実際判断の大きな材料にさせていただいた」としています。
■中小企業の賃上げ状況
中小企業の賃金動向については「絶対、ある程度以上上がるという自信ないし根拠があってということでは必ずしもない。ただし、ここまでの大企業の賃金の動向、出方を見ますと、中小企業のところが多少そこから下に振れる、少し弱いということがあったとしても、全体としてはある程度の姿になるのではないのかなということで、今回の判断にいたった」と説明しています。
■異次元緩和「役割果たした」
「異次元の緩和は一応役割を果たしたと考えています。どういう役割を果たしたかは、現在、それについてレビューをわりと近い将来に発表できることになるかと思います。ただし、付け加えると、異次元緩和終了ですけれども、過去に買った国債残高は大量にバランスシートに残っている。同じことはETFについても言えるということで、過去の異次元緩和の遺産のようなものは当面残り続ける」と話しました。