news23が5年前、ソフトバンクグループの孫正義社長にインタビューし放送したものが、投資を促す「偽の記事」に悪用されていたことが分かりました。画像は無断で使われ、タイトルも配信元も内容もすべてウソです。こうした偽の記事が掲載されている理由はなんなのか。私たちは記事で紹介されていた“投資サイト”に直接問い合わせました。
【写真を見る】改ざんされた画像 放送内容が無断使用された噓広告
小川キャスターと孫正義社長の対談 “偽記事”に
偽の免許証に、フェイク音声など、有名人の名前や写真を無断で使い様々な手口で投資を促す“偽広告”。新たに、news23も被害にあっていることが分かりました。
5年前の2019年にnews23が放送した、小川 彩佳キャスターとソフトバンクグループの孫正義社長の対談。その一部を切り取り、無断で使用した悪質な偽の記事がインターネット上に掲載されていたのです。
喜入友浩キャスター
「偽の記事を見てみると『日本銀行が生放送での発言で孫正義さんを提訴』となっています。ニュースサイトが読売新聞の記事を転載した形になっていて、ページの中にはニュースランキングなどもあります。実際のものとほぼ同じで、画面では偽物かどうか判別することはできません」
5年前の放送では、AIや孫正義育英財団について伝えましたが、内容も事実無根のものに改ざんされていました。
フェイク記事内の 小川 彩佳キャスター
「誰でも金を稼げる方法があるということですか?信じられませんね…」
フェイク記事内の 孫 正義社長
「信じられないのでしたら、あなたが間違ってることを証明してあげましょう。39750円を出してください。それを使って、たった12~15週間で、Trade GPT 360 Aiのプラットフォームで1億にしてあげますよ!」
さらに孫社長がスマホを持ち、投資サイトに登録したとする画像も。放送では右手はソファーに置かれていましたが、 スマホを持っているように加工されていました。
孫社長が投資サイトをテレビで紹介したとする偽の記事、そこには…
フェイク記事内の 小川 彩佳キャスター
「すみません、たった今、日本銀行から緊急の電話が入りました。今すぐこの放映を中止するよう要求しています」
ソフトバンクグループは取材に対し「当然ながらこのような対談および投資勧誘は行っておらず、悪質な捏造記事です」と回答。
また、読売新聞グループも「当社とは一切、関係がなく、SNSの運営会社に対し、当社の著作権が侵害されていることを通報し、削除を求めています」と回答しています。
偽の記事の目的は何なのでしょうか…
「必ず利益が出る」 番組が投資サイトに登録すると…
記事では「労力をかけずに高い利益が得られる」などと謳い、投資サイトに何度も誘導しています。検索してみると、仮想通貨を取引するサイトが出てきました。このサイトは本物なのか、登録して数分後…
喜入キャスター
「あ、電話かかってきた!」
投資サイトの担当者
「お客様の口座開設するため電話しました。今からよろしいですか?」
カナダから電話をしてきたという投資サイトの担当者。
担当者
「今、お客様に口座開設した後でAIソフトを提供しますね。そのAIソフトを使ってお客様に投資されることができるので、お客様に良い利益をもらうように投資されることができます、お客様」
ーー必ず利益が出るんですか?
「はい、そうですねお客様。1か月くらいかかれば大体9~10万円くらい、必ずお客様に良い利益をもらうように投資される方法があります、お客様」
ーーリスクの説明をしなくて、大丈夫ですか?
「AIソフトを使って、お客様に上がる下がることを知って、投資されることをできるので、お客様にリスクはないと言いました、お客様」
投資勧誘「必ず稼げる」には注意 SNS上の嘘広告
金融庁によると「絶対に儲かる」などと説明して、勧誘することは禁止されていて、注意が必要だと呼びかけています。
担当者に対し、TBSテレビと名乗り、偽の記事から投資サイトに誘導されたことを伝えると…
喜入キャスター
「テレビの画像などを無断で使用したサイトからこのページに飛んできたんですけど…」
担当者
「お客様、そんな話は初めてですね」
担当者は、詳細はスイスにある本社に聞いてほしいと話し、私たちはその担当者があげた本社にも電話しました。
小川キャスター
「取引サイトで、その担当者から電話がきたんです。そしていくつか質問したのですが…」
本社のCEO
「ダメですよ。やめたほうがいい。詐欺です」
「なりすましの犯罪です」
投資サイトの担当者が「本社」だと主張した会社のCEOが応対しましたが、すぐに「なりすましの犯罪」などと憤りをあらわにしました。
小川キャスター
「記事は我々の写真を使い、そこには私も写っています。しかし、記事に書かれている内容はすべて偽です。何かご存じですか?」
本社のCEO
「彼らはあなたのお金を盗もうとしているんです。我々はすでにスイスの警察に通報しました」
偽の記事の出元はどこなのでしょうか。サイトの担当者に改めて電話しましたが、繋がりませんでした。
小川キャスター:
こうした私自身が登場している記事を通して、どなたかが被害にあっている可能性を考えると、恐ろしさと憤りが込み上げてきます。
番組では偽の記事の削除要請を行っています。当然ながら私たちの番組、そして私たちが「儲かります」と、どこかに投資を促すということは絶対にあり得ないことです。
そして、こうした偽の記事だけでなく、有名人を騙って「必ず稼げる」と謳うものには絶対に近づかないでください。
また気になることがあれば、ご家族やご友人など周りの方に相談するなど十分に気をつけてください。