『春眠暁を覚えず』
春の夜の眠りは心地よく夜が明けたことも気づかない…という意味ですが、
最近よく眠れていますか?
ぐっすり眠って目覚めスッキリ!快眠に繋がる様々なポイントを、東京疲労・睡眠
クリニックの梶本修身院長に教えてもらいます。
【写真を見る】「5分で眠れる」「スヌーズで二度寝」は要注意!?ポイントは“朝の行動” 睡眠の質を上げる方法【ひるおび】
「質の良い睡眠」とは?
そもそも睡眠の目的は、体を休息させ、脳の疲れをリセットすること。健康状態を高く保つために最も大切なものです。
東京疲労・睡眠クリニックの梶本修身院長によると、質の良い睡眠は
▼スムーズに寝付き▼ぐっすり寝て▼スッキリ起きる
具体的には
▼布団に入って10分前後で寝付く
▼寝ている間途中で何度も目が覚めない、かついびきをかかない
▼朝起きたとき、体がすっきりしてだるくない、体が重くない
これがまさに質の良い睡眠ということになります。
睡眠の質をチェック!
〔1〕いびきをかくことが多い
〔2〕起床4時間後に眠気を感じる
〔3〕休日に昼まで寝ている
〔4〕うたた寝をよくする
〔5〕布団に入るとすぐ眠りに落ちる
〔6〕目覚ましのスヌーズで二度寝する
梶本医師によると、上記6項目でどれか1つでもあてはまるものがあれば睡眠の質が悪い可能性があります。
〔1〕いびきをかくことが多い
⇒いびきをかいているときは酸素をなかなかうまく吸えないので、脳が一生懸命血圧や心拍を上げている。眠っているにも関わらず運動しているような状況なので、回復につながらない。
〔2〕起床4時間後に眠気を感じる
⇒実は起床4時間後が一番覚醒していなければいけない時間。そこで眠気やだるさを感じているということは、夜の睡眠がうまくいっていないということを示している。
〔3〕休日に昼まで寝ている
⇒普段の平日の睡眠が足りていない。睡眠負債の状態にある可能性が高い。
〔4〕うたた寝をよくする
⇒電車やバスで隣に着くまでに寝てしまうような人は、実は寝つきがいいわけではなく覚醒を維持できていない。
〔5〕布団に入るとすぐ眠りに落ちる
⇒うたた寝と同じで、布団に入って5分以内に寝てしまう人は、睡眠負債に陥っている可能性が高い。寝るまでに10分ぐらいはかかるのが普通。
〔6〕目覚ましのスヌーズで二度寝する
⇒朝はだんだん脳が覚醒していく方向にある。そこで1回で起きれないというのは睡眠が足りていなくてまだ体が起きようとしていないということ。
安眠できるかは、朝の行動で決まる!
質が良い睡眠のためには、朝の行動が大事です。
【目を覚ましたら太陽光を浴びる】
目に光が入ることによって交感神経が刺激され、目覚めのスイッチが入ります。分泌されたセロトニンが夜になってメラトニンにかわり、眠気を催してくれるのです。
カーテンを開けて窓の近くできちんと光を浴びる。直射日光ではなく、部屋に差し込む光で大丈夫です。
恵俊彰:
目が覚めたらということは何時でもいいんですか?
梶本医師:
起きる時間は、大体毎日同じ時刻なことが大事で、同じ時刻に起きれば同じ時刻に眠くなる。
たくさん寝たいときは、夜眠る時間を早くして起きる時刻は一緒にする。そうするとその日の夜も同じ時刻に眠くなるという感じですね。
【コップ一杯の水を飲む】
起きたらまずコップ一杯の水を飲んで、血流を良くするのが大切です。
眠って朝起きたときには、汗や尿により500CC程度の水が出ていきます。それを素早く補うことにより、血流を良くして自律神経を助けます。
常温の水か白湯がおすすめです。
目覚まし時計を使う際の注意点
【突然大音量で鳴る目覚ましは使わない】
梶本医師:
爆音の目覚まし時計は確かに起きますけども、「驚かされて起きる」起き方なわけです。言ってみれば動物だと殺される寸前の起き方をしているわけですから、自律神経に負荷がかかってドキドキした状態になって、朝一番から非常に疲れることになります。
なるべく穏やかな音やメロディーで、音量が徐々に大きくなる機能がついている目覚ましがおススメです。
スヌーズや複数のアラームは、目覚めが曖昧になるので使わない方が良いそうです。
【朝ご飯をしっかり食べる】
朝食を食べることによって胃が動き自律神経を優しく目覚めさせることができます。
朝食を摂ると体が温まるので、そのためにも肉類や大豆などのたんぱく質をとるのが効果的です。
また、良い睡眠のためには、乳製品やバナナなど、体内で生成できない必須アミノ酸の「トリプトファン」を多く含む食品がおすすめです。
睡眠ホルモンであるメラトニンの生成に役立ちます。
目覚めが良くなるストレッチ
梶本医師:
布団から出るのがそもそもつらいということがあると思うので、まず布団から安全に出てもらうためのストレッチです。横になったまま行ないます。
◆両手を頭上方向に伸ばし全身を伸ばす⇒力を抜く 【3セット】
◆手を上(天井方向)に上げて、手をグー・パーする 【10セット】
※グーのときに力を入れてパーで力を抜く
◆足を伸ばしたままクロスさせ、左右の足を上下入れ替えする【片足5秒×3セット】
梶本医師:
強いストレッチをやるのではなく、軽いストレッチであることは、非常に意味があります。
寝起きに急に活動すると、血栓が飛んだり塞栓が飛んだりして、いわゆるエコノミークラス症候群の症状が出ることがあるんです。朝は脱水があって血が固まりやすいので。
血圧や心拍が上昇してしまって心筋梗塞や脳梗塞を起こす方もいますし、起立性低血圧の方が立ち上がった瞬間にフラッときたりするので、軽くストレッチをすることによって自律神経を少しずつ目覚めさせることができる。安全な目覚め方ができるということです。
寝る前のポイント
【スマートフォンは、就寝1~2時間前は禁止】
梶本医師:
お風呂に入る前に置いて充電して、夜眠る前の2時間はもう触らない。
ブルーライトがメラトニンの分泌を抑制してしまいますし、1番よくないのはスマホを能動的に動かすことが多く、興味関心が尽きないのでエンドレスで、どんどん脳が活性化して覚醒度が上がってしまう。それによって眠気が来ないことがやはり一番大きな問題になる。スマホを置く習慣だけはしっかりしてほしい。
恵俊彰:
でも仕事上確認しなきゃいけない人とかいるんじゃないですか?
梶本医師:
そこのところはもう割り切っていただいて、夜10時以降は絶対見ないなど、自分の中でしっかり持ってもらった方がいいと思います。
弁護士 八代英輝:
ブルーライト防止のフィルムを貼って、タブレットで本を読むようにしているんですけど、それもやっぱりよくないんですか?
梶本医師:
結局興味関心が尽きないので、結果としてベッドの中で覚醒している時間が長くなってしまう。ベッドに入ったら眠るというのをしっかりと自分の中で暗示をかけるようにしてもらった方がいい。
もし本を読みたければベッドで読むのはやめた方がいいです。
【夕食は就寝2~3時間前まで】
夕飯は早めに済ませ、脂肪系・脂質系は控えめに。
消化のために内臓が動くと、眠りが浅くなります。
【入浴は就寝前2時間以内に】
38℃~40℃のぬるめのお湯に5~10分がおすすめ。
梶本医師:
ポイントはのぼせないことです。
のぼせるというのは自律神経がもう体温調節できないから勘弁してくれという一つのアラートです。自律神経が眠るリズムを作ることができなくなってしまうので、のぼせることは絶対に避けてもらう。
血流を良くすることは大切なので、そのためにはお風呂に浸かることは重要です。
水圧と浮力で血流が良くなり、深部体温を上昇させ、入浴後少し深部体温が下がってくるところで眠気をもよおしやすいので、そのタイミングで布団に入っていただくのがいい。
また、就寝の1時間程前から暖色系のできれば間接照明の部屋でゆっくりすると眠りに入りやすくなります。
梶本医師:
メラトニンの分泌は白色光によってかなり邪魔されます。メラトニンをちゃんと分泌して眠気を催したければ、やはり暖色系の明かりで、できれば間接照明で明るくない状態でくつろいでいただく。
自分がリラックスできる音楽などを楽しんでいただくというのは誘眠には非常に良いことです。
眠っている間は音楽をつけっぱなしにせず、タイマーなどで切れるようにしてください。
皆さんも、快眠に繋がる習慣作りを心がけてみてはいかがでしょうか?
(ひるおび 2024年3月15日放送より)