■大相撲春場所・14日目(23日、エディオンアリーナ大阪)
新入幕の前頭17枚目・尊富士(24・伊勢ヶ濱)が前頭筆頭・朝乃山(30・高砂)に敗れ、110年ぶりの「新入幕V」は千秋楽に持ち越しとなった。
星の差「2」で追う前頭5枚目・大の里(23・二所ノ関)が次の取組で阿炎を下し3敗を死守。これで尊富士の優勝決定はこの日に決まらず千秋楽へお預けに。また、結びの一番で同じく3敗の大関・豊昇龍(24・立浪)が琴ノ若との大関対決に挑んだが、寄り倒しで敗れ優勝争いから脱落した。
“世紀の優勝”へあと1勝とする尊富士だが、この日の取組後にまさかの異変が。大関経験者・朝乃山と初顔合わせの一番は、立ち合い鋭い出足でぶつかるが、朝乃山に右を差されて踏みとどまれず。そのまま一気に土俵の外へ寄り切られた。取り組み後、右足を引きずりながら土俵を降りた尊富士。さらに花道では自力で歩くことが困難となり付き人に抱えられた。その姿に会場はどよめく中、最後は車いすで真っ直ぐ医務室へ。
詳細は発表されてないが、右足の膝から足首までを固定し救急車で病院に向かったという。明日の決戦に向け心配な状況となった。
今場所、尊富士は初土俵から史上最速タイ(幕下付け出し除く)の所要9場所で“幕内デビュー”。持ち味の鋭い出足を武器に初日から破竹の「11連勝」を飾り、新入幕力士としては1960年初場所の大鵬以来、64年ぶりの快挙を達成した。12日目に大関・豊昇龍(24・立浪)に敗れ連勝街道はストップしたが、前日は関脇・若元春(30・荒汐)を圧倒し優勝に王手をかけていた。