天ぷらや揚げ物の調理で使い終わった油をめぐって、激しい争奪戦が起きています。二酸化炭素の排出量が少ない航空燃料の原料になるとして、盗難も相次いでいます。
【動画】使用済み食用油→航空燃料の原料に!?争奪戦で取引価格上昇&盗難も…CO2最大8割削減で注目
多くの客で賑わう焼肉店。サイドメニューのフライドポテトにたこ焼き。これらを揚げる「油」に、いま熱い視線が注がれています。
「この油を業者に持って行っていただく容器に移し替えます」
「焼き肉きんぐ」などを展開するこちらの企業は、使用済み油の再利用で石油元売り大手のENEOSと連携すると発表。飲食店から出る年間およそ380トンの油を回収し、「SAF」と呼ばれる航空燃料の原料にリサイクルします。
物語コーポレーション 大多修平さん
「飲食としてたくさんの油を使っている。航空燃料は遠い話かもしれないが、違う業界にも活用してもらえれば」
「SAF」は化石燃料より二酸化炭素の排出を最大8割削減できるため、使用済み油の新たな活用方法に期待が高まっているのです。
再利用の動きは相次いでいて、三菱UFJ銀行はきょう、全国の社員食堂で使った油をSAFの原料に供給すると発表。
また、家庭でも…
「ゲソ揚げでしたね。油もの使った後とかに持ってきたりします」
川崎市では2007年から市民団体が民家や公共施設など、およそ150か所に回収拠点を設置。これまでは、工場でせっけんなどにリサイクルしていましたが、今後は「SAF」への活用も視野に入れています。
さらに…
かわさきかえるプロジェクト 大久保明美代表
「ちょっと驚きですよ。今までごみとして集めていて、それが今になって注目されて盗まれてしまった」
川崎市では2年ほど前から、使用済み油の盗難が相次いでいます。
使用済み油の取引価格は、2021年夏頃までは1キログラムあたり46円でしたが、1年で128円とおよそ2.8倍に上昇。今月時点でも105円となっています。
政府は2030年までに国内の空港で給油する航空燃料の1割をSAFにすることを石油元売り会社に義務付ける方針で、今後も使用済み油の争奪戦が続きそうです。