食の安全を揺るがしている“紅麹ショック”。29日、小林製薬は、紅麹成分を含むサプリメントを摂取していた人が新たに1人亡くなったと発表。腎疾患を患っていたということで、これで死亡した人は5人となりました。今回の問題では、発覚から公表まで2か月以上かかり、「対応の遅れ」が指摘されています。
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紅麹サプリ 原因成分いまだ不明 今後、国の研究機関にも
日比麻音子キャスター:
3月29日に行われた小林製薬の会見によりますと、紅麹成分を含むサプリをめぐり、相談件数は延べ約1万2000件になっているも、電話対応が追いついていない状況だといいます。
また、これまでに入院した方は延べ114人、そして亡くなった方は5人となりました。「急性腎不全で死亡」、「腎臓にダメージあり」、「腎疾患を伴い死亡」が2人、「死因など不明」ということですが、いずれも「紅麹コレステヘルプ」を摂取されていたそうです。
被害は日本だけではなく、台湾でも起きています。現地メディアによりますと、70代の女性が、2020年頃から小林製薬の紅麹を原料とするサプリを摂取し、2023年3月ごろ、下痢や食欲不振などの症状が出て「急性腎不全」と診断されました。現在は透析を受けているそうです。
歴史・時代小説家 今村翔吾さん:
ビタミンなど慣れ親しんだ成分とは違い、今後、新しい成分が出てくると身構えるようになってしまう事案ですね。
南波雅俊キャスター:
しかも健康被害だけではなく、透析を受けることになったり、亡くなられている方もいます。
日比キャスター:
原因について、会見では「未知の成分」という言葉で表現をしていました。その「未知の成分」の特定ができているのかという質問に対して、▼構造までは見えてきているが、まだ解明はできていない、▼想定していない成分が悪影響を及ぼした可能性がある、▼今後は国の研究機関にデータを共有し、迅速に解明していくと話し、現時点で原因は不明だということです。
さらに「未知の成分」ついて、会見では 、▼小林製薬の大阪工場で作られたもの、▼2023年4月~10月に製造したものに集中している(過去の紅麹製品は解析済み)と説明しました。
小林製薬 なぜ公表遅れた?
会見では、公表までに時間がかかったことについての説明もありました。1月15日に医師から小林製薬に症例の連絡がありましたが、最初の会見は約2か月後の3月22日です。
理由として、▼紅麹が原因なのか、わからないという状況だった、▼当社のガイドラインや社外の弁護士などの意見を踏まえ判断をした、▼最初のうちは個別に起きている事象で回収する判断には至らなかったということです。
小林製薬の対応について、企業統治に詳しい青山学院大学の八田進二名誉教授は「被害を拡大させないために、迅速な情報開示が必要だった。社外役員がいるのに全く機能していない。会社のガバナンスが完全に崩壊してしまっている」と指摘しました。
歴史・時代小説家 今村さん:
新しく発売されたものとは違い、このサプリは2021年ごろから販売しているとのことなので、「まさか」と油断してしまい、特定していくのが非常に難しかったのかなとは思います。
南波キャスター:
医師からの連絡があってから、最初の会見までの2か月間に、さらなる健康被害に繋がる恐れもありました。厚生労働省も「調査している間に行政への情報提供を行わなかったのは遺憾だ」としています。なぜ迅速にできなかったのかなという気持ちはありますね。
歴史・時代小説家 今村さん:
まずは第一声を出しておけばと、本当に悔やまれますね。