マスターズ優勝は「寸分の狂いないことが必要」 松山英樹も「欠点ない」と大絶賛の東京五輪金・シャウフェレが語る難しさ

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2024-04-09 06:00
マスターズ優勝は「寸分の狂いないことが必要」 松山英樹も「欠点ない」と大絶賛の東京五輪金・シャウフェレが語る難しさ

11日(日本時間)から行われるゴルフの世界最高の夢舞台「マスターズ」。東京五輪金メダリストのザンダー・シャウフェレ(30、アメリカ)は、マスターズについて「正確さ、寸分の狂いないことが必要」とその難しさを語る。2021年に優勝した松山英樹(32、LEXUS)とは2日間共にラウンドし3位。松山も「欠点がない、争うのは嫌」というほどの実力者だ。母は日本育ちで、日本にもなじみ深いシャウフェレ。7回目の出場で悲願の初優勝へ、思いを語った。

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Q:自身のコンディションはいかがですか?

ザンダー・シャウフェレ:安定しています。物凄く調子の良い日があると思えば、翌日にはパットが上手くいかなかったり、ドライバーが上手くいかなかったり。総合的に見れば正しい方向には進んでいると思います。今シーズンが楽しみですし、練習にしっかり取り組んでいきたいと思います。

Q:マスターズはあなたにとってどんな大会ですか?

シャウフェレ:とても特別な大会です。ゴルフ界の中でも特別な意義を持ち、毎回あの場に入るとオーガスタ・ナショナルでプレー出来ることを大変光栄に感じます。

Q:実際に芝生の上に立った時というのはどういう気持ちですか?

シャウフェレ:初めは緊張と興奮が入り交じりました。子供の頃、ソファに座って父といつも見ていた大会でした。何度か経験をすることで緊張よりも楽しさが上回ってきました。良い一週間を送りたいと願い、良いスタートを切れればと思います。

Q:マスターズをこれまで見ていて、何か記憶に残っている場面はありますか?

シャウフェレ:2019年のタイガー・ウッズの逆転優勝です。(最終日を2位でスタート、12番で首位に並ぶと16番でバーディーを奪い単独首位となった)優勝を決めた後に子供達とその瞬間を分かち合っていたのは見ていて本当に特別でした。

Q:マスターズでご自身の思い出に残るプレーはありますか?

シャウフェレ:ここまで6回出場していて、何度か優勝するチャンスもありました。良い時も悪い時もありました。(松山)英樹とプレーした時(2021年)は惜しかったです(松山が優勝、シャウフェレは3打差で3位タイ)。タイガー(・ウッズ、48)が優勝した時(2019年)もその日は競っていて、最終的には2位(1打差)で終わりました。おそらくその2つのどちらかですね。

Q:松山とプレーした時を振り返ってどのような想いでしたか?

シャウフェレ:楽しんでいました。不安、緊張と楽しさがありました。メジャー大会を制覇するチャンスがあり、しかもマスターズでした。ラウンドに入る前に気持ちの高まりもあったことを覚えています。酷いスタートを切ってしまい、最終日のフロント9では英樹が安定したプレーをしていました。6打差をつけられていたと思います。その時はリードからかなり離れていましたが、緊張がほぐれた状態からバック9でバーディーを4つ決めてプレッシャーをかけることが出来たのはよかったです。

マスターズは「正確さ、寸分の狂いないことが必要」

Q:オーガスタ・ナショナルで好きなホールと嫌いなホールは何番ですか?

シャウフェレ:全部好きです。他に比べて難しいホールもあり、パーやバーディーを狙うべきホールもあります。最もストレスと刺激があるホールはよく言われている通りアーメン・コーナー(11番~13番ホール)です。非常に困難でレイズクリークが流れ、木があのコーナーに立ち並んでいると全く別の方向に打っていても、同じ方向に全てのショットを打っているように感じてしまいます。風も巻き込むように吹き荒れ、刺激の多いコースです。

Q:長いホールですね。

シャウフェレ:長いホールであり、多くを求められます。非常に難しく、正確でなければいけません。

Q:18ホールを回るのに丘を超えていく負担などはいかがですか?

シャウフェレ:みんなが想像する以上に急な登りです。テレビで見ているとその急な斜面はあまり分かりません。特に18番。ティーのボックスを出ると大きな丘を下り、そこから一歩ずつ登っていかなくてはいけません。自然に出来たコロシアムのような空間で芝生の上にみんな椅子を置いています。日曜日に最終組に入っているとグリーンに向かっていく時に素晴らしい光景が広がります。

Q:興奮も高まりますか。

シャウフェレ:もちろんです。

Q:オーガスタ・ナショナルで優勝するためには何が必要だと思っていますか?

シャウフェレ:全てです。正確さ、マネジメントも寸分の狂いないことが必要です。コースの中ではフェアウェイが一番寛大。いくつかのホールではフェアウェイに打つことが重要ですが、それ以外では打ち込んでも良い方向があります。グリーンは非常に難しい。チップも難しい。そしてアイアンも難しい。

Q:どれだけ難しいか?

シャウフェレ:本当に正確さが求められます。オーガスタ・ナショナルではホールの逆側に打ってしまうと、丘を越えて転がすのは難しい。絶対ではないですが、パーを取るのに25フィート(約7.6m)ぐらいを決める必要が出てきます。グリーンは比較的良い状態なので、可能ではあります。見ている者はグリーンに乗る事が出来ないのでどれだけ難しく、急かが分かりません。実際に理解することが難しいところがあります。

Q:緊張したりしますか?

シャウフェレ:争っていたら尚更ですね。ゴルフは仕事として捉えていて、大好きな仕事ではありますが、高いレベルで仕事を遂行しようと考えています。

Q:みんながその難しさを話しますが、誰しもがプレーしたい場所としても、マスターズを語ります。それはあなたも子供の頃から同じですか?

シャウフェレ:間違い無く、ここに毎年来るのが夢でした。

Q:今年についての想いはどうですか?

シャウフェレ:いつもと変わらず楽しみです。ここからの大会をオーガスタ・ナショナルに向けての良い準備にもしたいと思っています。厳しいスロープから打たないといけない場面も多く、それが自分にとって最もユニークに感じる部分です。オーガスタでは平面にいることが全くないように感じます。常にフックスロープ、カットスロープ、ダウンスロープ、アップスロープに立っているように感じて、丘に対して打たなくてはいけない。正確にするためにはアイアンをしっかり決めていく必要があります。

Q:今回がオーガスタ7回目。何度もプレイすることで慣れてきましたか?それとも年々難しくなってきていますか?

シャウフェレ:両方です。何度か経験することで何が出来て、何が出来ないかが分かったかと思います。あとは、どのように計画通りにショットを打って遂行していけるかだと思います。

日本にルーツを持つシャウフェレ「常に感心」

Q:五輪について、東京では勝つことが出来ました。いかがでしたか?

シャウフェレ:本当に素晴らしかったです。とても特別で、家族には日本との繋がりを持つ者もいます。金メダルを表彰台で掲げることが出来たのは忘れる事のない出来事です。

Q:祖父母がまだ住んでいるんですよね?

シャウフェレ:はい、東京に住んでいます。

Q:何度か訪れていたこともありますか?

シャウフェレ:はい、何度かあります。オリンピックで東京に行くことが出来たのは嬉しかったですが、出来る限りPGAツアーの日本での大会には出場するようにしています。その時には友人や家族と日本でちょっとした集まりをします。帰ることが出来る機会はいつも嬉しく思います。

Q:奥さんも日本にルーツがありますか?

シャウフェレ:そうですね。日本とのつながりをより深くしてくれています。彼女は日本人のハーフです。沖縄で生まれました。色んなつながりがあります。

Q:家族についてはいかがですか?

シャウフェレ:私にとっては重要な存在で応援をしてくれる中心にいつもいてくれています。家族がいなければ今の自分はないと言えるかと思います。全ての歩みをともに歩んでくれています。今でもです。コースを離れた時には共に時間を過ごすようにしています。子供の頃はコース上で共に過ごすことが多かったので、今はゴルフも仕事となり質の高い時間をコース外で過ごすことを心がけています。仕事から離れ、家族の時間を作っています。

Q:日本の印象や訪れたときに感じることはありますか?

シャウフェレ:常に感心しています。文化や人、リスペクトの心、そして私が来日した際に見せてくれるホスピタリティーなど日本という国に敬意を持っています。本当に素晴らしく、毎年戻ってくるのを楽しみにしてくれます。

Q:好きな食べ物とかありますか?

シャウフェレ:全部です。お寿司、焼肉、ラーメン、お好み焼き、鍋焼きうどん。自分の前に出されたら日本にいるとなんでも食べてしまいます。

Q:そして次の五輪について。フランスにも家族の繋がりがあるんですよね。

シャウフェレ:はい、父がフランスのハーフです。私のバックグラウンドに新たな層をもたらす、自分の民族性に複雑さが増して混乱しますよね(笑)

Q:どこに行っても繋がりがあるのは良いですね。パリ五輪についてはどうですか?

シャウフェレ:とても楽しみにしています。五輪のような舞台で国を代表できるのは毎回素晴らしい名誉だと思っています。家族にとっても意味のある大会で特に父にとってはそうですし、国を代表すると同時に家族、そして父を代表したいと思います。予選突破をするために全力で挑み、良い結果を出したいです。

Q:最後にゴルフで何を達成したいですか?

シャウフェレ:全てです、全てのメジャー。年に複数の大会を優勝し、金メダルももう一度取りたい。高い標準と目標を持っています。

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