獣医師に聞いた狂犬病ワクチン【ひるおび】

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2024-04-12 17:01
獣医師に聞いた狂犬病ワクチン【ひるおび】

みなさん、毎年4月1日から6月30日まで狂犬病予防接種月間であることはご存じですか?
狂犬病予防法という法律で接種が義務付けられている狂犬病のワクチンですが、今年2月にワクチン接種を受けていない犬が人に噛みつき、けがを負わせた事件は記憶に新しいかもしれません。
群馬県伊勢崎市の公園で男女合わせて7人が犬に噛まれ怪我をした事件で、警察などによるとこの犬は狂犬病の予防注射を打っていないということでした。その後の検査で陰性だということがわかっています。

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ペットを飼う人たちの声は…

この事件を受けてペットを飼っている人たちはどう感じているのか、ひるおびは都内のドッグランを訪れている方にインタビューしました。

50代主婦 
Q:狂犬病のワクチンを打たない飼い主についてどう思われますか?
A:「日本では今狂犬病が出てないからきっと大丈夫だと思って(ワクチン接種を)されてない方もいらっしゃるのかもしれないですけど、いろんな動物が外から入ってきて、いつ病気が入ってくるか分からないので接種しておいた方が安心かなと思います。」

60代女性 
Q:狂犬病のワクチンを打たない飼い主についてどう思われますか?
A:「無責任だと思います。自分のところだけで済む問題じゃないので、(ワクチンを)ちゃんと打っていただきたいです。」

Q:ドッグランなど、ワクチンを打っていないと入れないということに安心感はありますか?
A:「安心ですね。一緒に遊んでるときに間違って何かあったりするじゃないですか。そうしたときに、やっぱり狂犬病のワクチンを打っているということが分かっていると安心ですよね。」

やはり狂犬病のワクチンの未接種に不安な声が多く見られます。
では、狂犬病とはどういった病気なのでしょうか。

狂犬病とは・・・

狂犬病とは、狂犬病ウイルスを保有するイヌ・ネコ・コウモリを含む野生動物に咬まれたり、引っかかれたりしてできた傷口からの侵入、および稀ではあるが、濃厚なウイルスによる気道粘膜感染によって感染する人獣共通感染症です。(国立感染症研究所より)
主な症状は、発熱・頭痛・おう吐・幻覚・けいれん・恐水症などで、最悪の場合、昏睡状態に陥ったり呼吸不全で死に至るなど、致死率100%の感染症とされています。

大阪府獣医師会によると日本で狂犬病の流行が記録されているのは18世紀以降で、八代将軍徳川吉宗が治めた享保年間(1716~1736年)には狂犬病の大流行がみられ、イヌ・ウマ・キツネ・タヌキなどが多数犠牲になったことが記されています。
1893年2月、長崎市に外国人が持ち込んだイヌから狂犬病流行が発生し、5月までにイヌに咬まれた被害者は76名、狂犬病による死者は10名に達しました。この間、市民はイヌを撲殺したため、殺されたイヌは735頭を数えたといいます。
また、1911年には東京で狂犬病が大流行し、その他地方でも感染がみられ、明治時代末期の狂犬病感染増加の傾向は大正時代に入ってより顕著となりました。
1918年に神奈川県で、1919年には東京都で集団予防接種を開始し、その効果は狂犬病のイヌおよび咬傷被害者の減少として現れました。
1922年には家畜伝染病予防法が制定されましたが、関東大震災による混乱により、狂犬病発生件数が726件にまで激増しました。1925年から飼い犬の予防接種と野犬の取り締まりが強化されたことにより、以降、明らかに発生件数が減少しました。
現在では、国内の狂犬病の発生がなく、オーストラリア、ニュージーランドなどとともに厚生労働省の狂犬病清浄地域に指定されています。

では、狂犬病ワクチンの接種率はどうなっているのでしょうか。
厚生労働省によると1989年は99.2%でしたが、2022年には70.9%と30%近くも低下しています。
WHOのまん延を防ぐ接種率の目安は70%としており、このままでは目安を下回ってしまう可能性も。

なぜ狂犬病ワクチンの接種率は低下しているのか・・・

年々低下している狂犬病のワクチン接種率。なぜワクチンを打たせない飼い主が増えているのか、神奈川県横浜市にある「ながつた動物クリニック」院長・獣医師の濱田 宇広先生に話を聞きました。

Q:そもそもなぜ狂犬病のワクチンの接種が必要なのですか?
A:「国内での発症例はほぼなく、検疫で海外からの侵入をかなり防いでいます。
しかし、狂犬病のウイルスが侵入してきた場合、ウイルスが蔓延しないようにあらかじめ予防しておくことが(ワクチン接種の)意味だと思います。」

Q:狂犬病のワクチンの接種をさせない飼い主が増えているが、なぜだと思いますか?
A:「国内での発症例の報告がほとんどないので、安心されているということが大きな理由だと思います。加えて、海外からの侵入を防ぐということが有効に働いているので、それらを考えると打たなきゃいけないのかと疑問を持つ方がいても不思議でないと思えます。また、狂犬病の危険性について周知がされていない、説明があるとすれば動物病院か飼い始めに自治体へ登録するときだが、その登録すらされていないケースもあるので、(危険性について)あまり伝わっていないというのもあるかもしれない。」

国内での発症例が少ないこと、海外からの侵入を防ぐことが出来ていること、狂犬病の危険性が周知されていないというこれら3点が、狂犬病のワクチンの接種率が下がっている大きな理由ではないかということでした。
では、狂犬病のワクチンはどこで接種することができるのでしょうか。

気になる予防接種の方法は?

狂犬病のワクチンは、居住する市区町村が行う集団注射または、動物病院にて接種することができます。
生後91日以上の犬には早めに予防接種を打つことが必要であり、
その後は1年に1回の予防接種で免疫を補強することができます。

接種の際に気を付けるべきことは?

濱田 宇広先生によると、
「予防接種なので、体調が万全であるということを気を付けて見ていただくこと、心配事がある場合には接種する前に獣医師に相談・報告していただくことが大事です。」

また接種後は、
「確率はかなり低いが、アレルギー反応が出る可能性もゼロではないので、接種後は半日から1日くらいは(ペットの)様子が見れる体制で臨んでいただいた方がいいと思います。」

ワクチンを接種する日はペットも人間も万全の状態であることに気をつけなければなりません。

さいごに

毎年4月1日から6月30日は狂犬病予防接種月間です。
ワクチンの接種は法律で義務付けられており、飼い犬に予防接種をしていない場合20万円以下の罰金の対象になります。
狂犬病のまん延を防ぐためにも、犬を飼っている方はこの期間に自治体に登録・狂犬病予防接種と犬鑑札・注射済票の装着を実施しましょう。

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