猫にとって大切な『縄張り』知っておきたい5つの知識 どれくらいの広さ?家の中にもある?

2024-04-21 17:00

猫は群れを作らずに縄張りを守りながら暮らすため、犬のような社会性がないと誤解されていますが、他者の侵入を決して許さないエリアや他者と上手に棲み分けながら共有するエリアの双方を縄張り内に持ち、猫なりの社会性の下で、極力平和を保てるように暮らしています。そんな猫の縄張りに関する基礎知識をご紹介します。

飼い主として知っておきたい猫の「縄張り」に関する基礎知識

スプレーをする猫

猫は単独で縄張りを持ち、その中にいることで安心して暮らすことができる動物だということが知られています。猫の縄張りの中には、決して他者の侵入を許さないエリアや上手に他者と共有できるエリアがあり、猫社会のルールやマナーに則って平和的に暮らしています。

それは、野良猫でも飼い猫でも、基本的には同じです。つまり完全室内飼いの猫は、家という縄張りの中で飼い主さんや一緒に暮らす他の猫たちと上手に共存しながらも、それぞれの縄張りを守って暮らしているのです。

今回は、飼い主さんが愛猫と一緒に快適に暮らすために知っておきたい、猫の縄張りに関する基礎知識をご紹介します。

1.自分の縄張りを他者に知らせるための方法

人は塀や表札などの目に見えるものを使って自分の敷地を主張します。猫は、目に見えるもので縄張りを主張することはありません。変わりにニオイで縄張りを主張します。

ニオイをつける主な方法は、尻尾を高く掲げて後方の上側に勢いよく噴霧する、スプレーと呼ばれるおしっこが有名です。スプレーは主にオスが行いますが、スプレー以外にも、爪とぎや体のこすりつけといった方法で、猫たちは縄張りのパトロール中に自分のニオイを縄張り内の境界や要所に残します。これを、マーキングと言います。

マーキングに関してはいくつかのルールが知られています。例えば、ニオイは新しいものほど他者への侵入を強く警告するサインとなっていて、1日以上経過したものよりも新鮮な方を先に嗅ぐのだそうです。

また、新しいスプレーの上に自分のスプレーを重ねることはせず、2日以上経過したものの上にだけ重ねてスプレーをするといった行動も観察されています。

2.縄張りの範囲の決め方

基本的に、オスはメスの約3.5倍の広さの縄張りを持っていると言われています。広さに違いが出るのは、縄張りの決め方がオスとメスで異なるからです。

基本的に、縄張りは食料や繁殖相手を獲得するためのエリアです。特にメスは餌の量で縄張りを決め、オスは繁殖相手の数で縄張りを決めることが知られています。

猫は一夫一婦制ではないため、オスはより多くのメスと繁殖する機会を得るために、複数のメスの縄張りを取り囲むように自分の縄張りを作るため、メスよりも広くなるのです。

また、野良猫と比べると、自由に外に出られる飼い猫たちの縄張りは、総じて狭いことも分かっています。これは、家に帰れば飼い主さんが用意している餌を食べられるからだと考えられています。

3.縄張りの中にも異なるエリアがある

一口に縄張りと言っても、その中には猫たちが日常的に生活するための「ホームエリア」と、餌や繁殖相手を得るための「ハンティングエリア」に分けることができます。

ホームエリアは猫が普段生活するためのエリアなので、ごく狭く、また他者の侵入を強く拒むエリアです。

ハンティングエリアは餌や繁殖相手を確保する広いエリアなので、他者と上手に棲み分けて共有しながら縄張りとして守るエリアになります。

4.多頭飼育における縄張り

威嚇し合う猫

完全室内飼育で、複数の猫を飼育されているというご家庭もあるでしょう。その場合も、よく観察してみると、猫たちが共に仲良く過ごしている場所と、それぞれの子のお気に入りの場所があることに気付くと思います。

この部屋は太郎くん、あの部屋は花子さんといったように、きれいにスパッと棲み分けているわけではありませんが、北側は太郎くんが、南側は花子さんがいることが多く、真ん中の居間では太郎君も花子さんもくっついてお互いにグルーミングしている姿が見られるといったような感じです。

我が家は3匹の猫と一緒に暮らしていましたが、居間はみんなでくつろぐ部屋、長男猫は北側の部分、次男猫は南側の部分、末娘猫は寝室という具合に、それぞれがよくいるエリアがありました。夜は皆で同じ布団に寝ていましたが、それぞれ私の右側、左側、股の間と、寝る位置も決まっていました。

5.猫にもあるパーソナルスペース

初対面の方に、顔を近付けられたり肩などに触られたりして、不快に感じたり警戒したりした経験をお持ちではないでしょうか。人には「それ以上近付かれると不快に感じる」というパーソナルスペースがあり、その領域に踏み込まれたため、不快になったのです。

猫も、人のパーソナルスペースと同じような距離感を持っています。

見知らぬ猫や人がいると愉快ではないが我慢できる「社会的距離」、無用なケンカを避けるために逃げ出してしまう「逃走距離」、やむを得ず攻撃に転じてしまう「臨界距離」、ごく親しい間柄の猫や人にしか接近を許さない「個人的距離」などが知られています。

家に迎えたばかりの猫は、簡単に撫でさせてくれません。しかし、少しずつ時間をかけて信頼を勝ち得ることで、徐々に猫との距離を縮めることができ、最終的には個人的距離への侵入も許されて、撫でさせてもらえるようになるというわけです。

愛猫と「縄張り」を共有するための秘訣

爪とぎでぼろぼろになったソファ

完全室内飼いの場合、猫の縄張りは家の中です。早期に去勢・避妊手術をしている場合、スプレーをすることはあまりないと思いますが、爪とぎや体をこすりつけるといった行動で、部屋の要所要所に自分のニオイでマーキングを行い、縄張りを主張します。

特に他の猫や飼い主さんと共有するエリアの境界には、頻繁にマーキングを行います。我が家も、猫たちが共有している椅子の脚や、居間とそれぞれの猫のエリアの境目となる柱やふすま、壁などは、爪をとがれてぼろぼろでした。

頻繁に爪とぎを行う場所は、個々の縄張りに関連していることが多いので、爪をとぐ場所を変えさせるのではなく、よく爪をといでいる場所に猫用の爪とぎ機を設置することが、家具への被害を抑える解決策になるでしょう。

また高い場所に、縄張りの広い範囲を見渡せる見張り台を作ってあげることも、上手に縄張りを共有することに役立ちます。縄張りの境界近くに棚などがない場合は、キャットタワーを設置するなどで、見張り台を作ってあげるとよいでしょう。

まとめ

棚の上の猫にシャーする猫

飼い主さんが問題だと感じる猫の行動の殆どは、「狩り」と「縄張り」に関する猫の習性に由来しています。今回は、その中の「縄張り」に関する基礎知識をご紹介しました。

猫の習性を理解することで、お互いに気持ちよく暮らせる方法を見つけられることでしょう。

関連記事

『子猫の日常』を撮影してたら…ママ猫が見せた行動が微笑ましいと5万3000再生「素晴らしい瞬間」「なんて可愛い家族」の声
猫が甘噛みをする6つの理由としつけ方法
『パンの被り物をかぶって激しく首をふる猫』が話題に…中毒性の高すぎる光景が128万再生「ヤバいかわいい」「ヘドバンww」の声
猫が見つめる理由とは?飼い主をじっと見る9つの心理
猫が鼻を「フンフン」鳴らす理由と注意すべきこと

  1. 石破総理が引っ越し開始 公邸へ複数の荷物を運び入れる 入居は年明けの見通し
  2. 旅客機墜落でロシア・プーチン大統領がアゼルバイジャン・アリエフ大統領に謝罪「悲劇的な事件」
  3. 歯の激痛を治療してもらえなかった犬…痛みから解放され幸せなゴールデンイヤーをゲット!
  4. 埼玉工業大学 自動運転AIバスが深谷市教育委員会主催フォーラムに参加、地元の子どもたちと“動く教材”で共感_企業 自治体 学校が視察 試乗 勉強会として活用し社会実装へ加速
  5. 「こんな奴が書いた告発文書なんて…」元県民局長のプライベートな情報、なぜ漏えい?県関係者が新証言【報道特集】
  6. 『猫嫌いのお父さん』に子猫を会わせてみた結果…想像もしていなかった『まさかの反応』に"驚愕"19万8000再生の反響
  7. おじいちゃんがソファでくつろぎ中→犬を抱っこした結果…見たことがない『衝撃的な方法』が134万再生「組体操で草」「クセ強すぎるw」と爆笑
  8. 猫のごはんを出しっぱなしはよくない?『置き餌』が危ないと言われる3つの理由
  9. 『寒さに耐えることができる』犬種4選 主な特徴や飼い方の注意点まで
  10. 実は危険な猫の『ヘッドプレッシング』知っておくべき3つの兆候と原因
  1. 「こんな奴が書いた告発文書なんて…」元県民局長のプライベートな情報、なぜ漏えい?県関係者が新証言【報道特集】
  2. 歯の激痛を治療してもらえなかった犬…痛みから解放され幸せなゴールデンイヤーをゲット!
  3. 埼玉工業大学 自動運転AIバスが深谷市教育委員会主催フォーラムに参加、地元の子どもたちと“動く教材”で共感_企業 自治体 学校が視察 試乗 勉強会として活用し社会実装へ加速
  4. おじいちゃんがソファでくつろぎ中→犬を抱っこした結果…見たことがない『衝撃的な方法』が134万再生「組体操で草」「クセ強すぎるw」と爆笑
  5. 猫のごはんを出しっぱなしはよくない?『置き餌』が危ないと言われる3つの理由
  6. 旅客機墜落でロシア・プーチン大統領がアゼルバイジャン・アリエフ大統領に謝罪「悲劇的な事件」
  7. 実は危険な猫の『ヘッドプレッシング』知っておくべき3つの兆候と原因
  8. 『猫嫌いのお父さん』に子猫を会わせてみた結果…想像もしていなかった『まさかの反応』に"驚愕"19万8000再生の反響
  9. 北朝鮮兵1000人以上死傷か 米高官が非難「北朝鮮兵を消耗品扱い」
  10. 伝統の魚醤「いしる」 復活への道 たったひとりで始めた作業 再出発に向け今は弟と2人3脚で歩む 能登半島地震から1年
  11. スヤスヤ寝ている犬の前に『お父さんの足』が近づいたら…まさかの『失礼すぎるリアクション』が55万再生「一目散w」「キレてるの草」と爆笑
  12. 『寒さに耐えることができる』犬種4選 主な特徴や飼い方の注意点まで
×