「センスよりも…」“くる恋”担当のプロのスタイリストが「その人の服を見てわかる」こと

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2024-05-01 12:00
「センスよりも…」“くる恋”担当のプロのスタイリストが「その人の服を見てわかる」こと

放送中のドラマ『くるり〜誰が私と恋をした?〜』。春らしい華やかな装いが一際目をひくが、本作を担当するスタイリスト・池田友紀氏が直面したハードルなど、ファッションのプロが日々向き合う“洋服”とはどういうものなのかを紐解いていく。

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池田氏が直面した「くる恋」最大のハードル

まずは、生見愛瑠が演じる記憶喪失のヒロイン・緒方まことの前に現れた“自称”イケメンたちの衣装について聞いてみよう。

「変わり映えしないように見える公太郎の衣装だけでも120着は用意しているんです」。瀬戸康史演じるフラワーショップの店主で、まことの自称元カレ・西公太郎。ダークグレーのジャケットや白いシャツ姿など、素人目には気付けない部分とは?

「シンプルでナチュラルな色合いや素材感を重要視してスタイリングしています。監督との事前打ち合わせで、“花が映える衣装で”と言われ、当初はベースカラーを白にしていました。でも、デニム生地やグレー、ネイビーなどでも花々の色味と調和が取れますし、男性らしさが出るのではないかと、色味に関してはこちらからも提案しました。ただ、ワイシャツっぽい色やリネンの洗いざらし風、麻みたいな素材感など、同じ“白”のトップスだけでも20着は用意して。襟の有無やボタンの色違いなど、そういう細かな部分でもイメージがグッと変わりますし。洋服持ちキャラではない公太郎でもこの量ですから」と、衣装合わせ当時を振り返りながら語る池田氏。その中でも監督が特にこだわったエプロンは、当初10着もの数を用意し、その中からセレクトしたという。

とはいうものの、膨大な数の衣装を用意するだけがスタイリストの正解ではないと池田氏。

「絶対にこれで間違いないと、自信を持った上で一着だけ持っていくときもありますよ。第1話放送前に行われた『TBS DRAMA COLLECTION 2024 SPRING』では、「“膝丈でピンクのイメージカラー”というキーワードだけで、これを生見さんに着せたいという1着を用意しました」と言い、さらに「これを絶対に着せたいというプレゼンの仕方も大切」と、その時々で仕事のやり方を工夫していると語ってくれた。

続いて、まことの元同僚で自称・唯一の男友達・朝日結生の衣装について。
「朝日役の神尾楓珠さんご自身から滲み出る、“影のある色気”を抑えるのが課題として常にあります。まことを見守る唯一の男友達という設定もですが、会社でも“ブランケット男子”と呼ばれている性質上、スタイリングに一番悩みながらも安心できる男友達に見えるよう心掛けています」。

常にスーツ姿の朝日だが、スーツには“色気のある大人の男性”を彷彿とさせるという側面もあり、その苦労はひとしおで「使っているもの自体はシンプルなのですけどね」と苦笑する。

そして、第4話でついに登場した朝日の私服姿。「ずっとスーツを着ている朝日の私服姿に、周囲の反応をドキドキしながら撮影を見守りました。スタッフから“朝日の私服姿を見てドキッとした”と言っていただけたので、成功ですかね(笑)」と教えてくれた。

最後は年商20億の若手IT社長・板垣律。
「プロデューサーから“律は若いしお金がある分、着たいものを好きに着てファッションで遊んでいる”というベースでと相談されました。高価な服を買うときは、無難な白とか黒を選びがちじゃないですか?でも律には、チャレンジできる色や柄を敢えて選ぶことで、お金持ち感が出るようにしています」。さらに、演じる宮世琉弥について「何でも着こなしてくださるので、難しい形の服や買うのを躊躇してしまうような柄をどんどん着せています(笑)。単純にパーカーを着ているだけでもコーディネートに遊びが入っているので、気付いていただけたら嬉しいです」と語る。

男性陣の中で唯一華やかな格好で「とてもやりがいがある」という律の衣装だが、本作中の最大の壁も、また律にあったのだとか。

「木に登っているという強烈な登場だったんですけど、監督から“幹の茶色や葉っぱの緑が周囲にあるから、そこに映える色で”と言われて…。“THE律”というスタイリングは既に決まっていたのですが、トップシーンにハマるコーディネートが見つからず…後日に持ち越しです」

あの撮影の裏では「印象に残るということを考え、宮世さんじゃないと似合わないピンクのセットアップを着せたいと、それはもう必死に探しました。仕事仲間にリサーチをして、やっと見つけたのが海外ブランドからのお取り寄せ。3週間かけて届いたものの撮影日ギリギリで。でも宮世さんに着ていただいたらもうバッチリ可愛くて。着こなしてくださってありがとうございますって、感謝感激でした(笑)」と言い、「監督と私のこだわりで本当に大変だった」と、当時を振り返った。

コーディネートの仕方からその人が分かるのではなく
ポイントはその“お手入れ方法”にあり!

様々な角度からの視点を持ってコーディネートをしている池田氏。ファッションのプロだからこそ、劇中で、丸山礼が演じるまことの隣人・平野香絵が話していた「服を見たら自分のキャラがわかる」というセリフに対し、どのような見解を持っているのか聞いてみると、「個人的には、センスよりも洋服のお手入れ方法からその人の生活状況を察することが多いかも」という。

「少しシワの寄った服を着ている方を見ると、今お忙しくてバタバタしている状況なのかしらとか、サイズ感が合っていない服を身につけている方を見ると、随分前から気に入っていて手放せない1着なのかなとか。もしくは洋服にあまりお金や時間を使わないタイプなんじゃないか、とか。オシャレに正解はありませんが、そのお手入れ方法から伝わることって意外と多いんですよ」と教えてくれた。思わず自身の洋服に目を向けるほど、ドキッとした意見が飛び出す。当たり前のように着ている服が、手入れ方法ひとつで相手にどのような印象を与えるのかを改めて考えさせられる内容だ。

さらに季節は春。新学期、新入社員、入学など、何かと新しい気分にさせられる今日この頃。思い切ったことをしたい人も多いのでは。イメチェンしたいけど一歩踏み出せない人はどうしたらいいのか。

「多分、他の人からの意見や視線が気になっちゃうんですよね。まさにイメチェンの弊害。まことがそうですが、自分の信じている人の言葉にだけ耳を傾けるのが一番。否定する人の言葉を気にする必要はないですし、そんな言葉が気にならないくらいテンションの上がる洋服を身に纏えば大丈夫。それでも不安なら、ショップスタッフやファッションに詳しい人からアドバイスをもらうだけでも、十分素敵になるし自信にもなるはずです」

続けて、「実は私、似ている洋服を着ている子が多いなって常々感じていて。だからこそ、ドラマでは色使いの多いコーディネートをしたいんです。難しい色でも、この色を合わせればいけるのかって少しでも参考になればいいな。ファッションが好きな皆さんがもっと冒険してもらえるヒントになるような、そんなスタイリングをこれからも提案していきたいです」と締め括った。

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