「ディズニーが3万円超」歴史的円安の中、GWをアメリカで過ごした人から驚きの声 円が再び乱高下“不意打ち”3兆円規模市場介入か 秋以降に値上げラッシュ?【news23】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2024-05-03 13:40

2日も乱高下が続いた円相場。歴史的な円安に、ゴールデンウイークをアメリカで過ごした人からは切実な声が聞かれました。しかし、この秋以降、私たちの暮らしへの負担はさらに増えそうです。

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「ディズニーの入園料が1人3万円超」円安で海外旅行に大打撃

ゴールデンウイークを海外で過ごした人には円安の影響が直撃していたようです。

ロサンゼルスに7泊8日した20代旅行客
「(円安は)大打撃です。カリフォルニアのディズニーに行ったら、(入園料が)1人3万3000円で、そういうのが結構でかかった。

スーツケースの半分ぐらい日本食を持っていった。どん兵衛にインスタント焼きそばに味噌汁、これが7日分ある」

ペルーに4泊7日した20代旅行客
「2人で総額だと180万円ぐらい。(経由地のアメリカで)水は2〜3ドル、日本円換算で500円弱ぐらい。スターバックスのご当地限定のカップを買おうと思ったんですけど、1個あたり大体3000円弱ぐらい。日本に比べて手が出しづらい」

“不意打ち” 3兆円規模市場介入か

こうした中、5月2日、円相場にはサプライズがありました。それは日本時間2日未明に行われたアメリカのFRB・パウエル議長の会見後のことでした。

23ジャーナリスト 経済担当 片山薫 記者
「パウエル議長の会見というのはほぼ想定内で、為替もほとんど動かなかった。ところが、会見後30分ぐらいで急に円高になった。1秒ごとにどんどん円高になっていくのが40分ぐらい続いた。市場関係者には『何が起きたんだ』という驚きがあったんじゃないかと思います」

1ドル=157円台だった円相場は円高方向に振れ続け、一時153円に。静かな相場が一変、3兆円規模の市場介入があったとみられています。

片山記者
「本当にこのタイミングで為替介入するのかという不意打ちをかけた。3の矢、4の矢があるんじゃないかと市場関係者を怖がらせる狙いがあると思う」

ただ、その後3円ほど円安に戻す展開になり、円安局面を転換させるほどの力はないとみられています。

「高!と思ってやめる」「果物は買わない」2倍以上 値上げも

止まらない円安は家計を圧迫する一方です。横浜市内のスーパーで話を聞くと…

買い物客(30代パート)
「手を伸ばして高!と思ってやめてしまうことはあります」

買い物客(40代パート)
「果物も少し高いので、買っていない。子どもは食べたいと言うけど、あんまり買ってない」

輸入果物などを中心に価格が高騰しています。

1年前、98円だったキウイは159円、アボカドは倍以上値上がりし、2023年の128円から259円になっていました。

セルシオ和田町店 池川啓一さん(青果担当)
「(ゴールドキウイだったら)1日、この箱で5ケースとか売れていたのが、今は1日1ケースくらい。価格は、本当だったらもうちょっと上げたいくらいですけど、売れなくなってしまうので」

「家族50人」円安が海外へ仕送りする外国人労働者にも影響

東京・新大久保にある送金所「KYODAI 新大久保駅前支店」では、外国人労働者らが給料として受け取った円を自国の通貨に換え、家族らに送金していました。

ギニアにいる家族に毎月300万ギニアフランを送っている男性は…

担当者
「いくら送りたいですか?」

男性
「これいくら?向こうのお金で」

担当者
「日本の金額は5万8384円です」

5月2日のレートでは約5万8000円でした。

ーー払う円が多くなってると思うが?

男性
「結構厳しい。(きょうは)5万8000円だね。前は5万4000円とか」

ーー家族は?

男性
「家族全部合わせて50人くらい」

ーー送るお金は減らさない?

男性
「親のためにも減らせない」

10万円を送金しに来た日本人の男性は、フィリピンにいる娘と孫に定期的に仕送りをしています。

フィリピンに送金する日本人男性
「現地受け取りが3万5862ペソです。ここ数年で一番低い。(手数料込みで)10万円送ってもここまで低いことがなかった。家族の側でも稼いでもらうとか、節約してもらうとかそういうことも考えないとダメになってくる」

送金方法の相談に来たインドネシア人の技能実習生も、今はお金を送るタイミングではないと話します。

インドネシア人技能実習生
「(4か月前)初めてお金をもらったときに半分送りました。(レートが)低いときは送りません。今は貯金したいです。ちょっと上がっている時にインドネシアに送ります」

「日本の対応、後手に回った」円安で秋以降も値上げラッシュか

藤森祥平キャスター:
今回、取材した横浜にあるスーパー「セルシオ和田町店」では、1年前の価格と比較すると、▼アボカドは128円→259円、▼パイナップルは398円→599円、▼キウイは98円→159円、▼オーストラリア産の牛肉切り落とし(100グラム)が159円→199円と、値上げされ、輸入品価格に円安が大きく影響しています。

小川彩佳キャスター:
私もキウイをよく買いますが、1個だと高いので、5~6個入りの少し安いものを買って、ちまちま食べています。

藤森キャスター:
今後、円安がどの程度暮らしに影響するのでしょうか。第一生命経済研究所・首席エコノミストの永濱利廣さんの試算によると、円安が年平均1円進んだ場合、食費や水道光熱費などの年間の負担は、4人家族で6031円、1人暮らしの場合は3319円増える見通しです。2円円安が進んだ場合、この金額が倍になるということです。

今の急速な円安が輸入品や光熱費などの価格に影響するのは約4か月後だということなので、秋以降に影響があるかもしれません。

小川キャスター:
ただでさえ物価高を実感している中、4か月後にはさらに値上げを実感することになりそうですね。

データサイエンティスト 慶応大学医学部教授 宮田裕章さん:
複合的な要因なので、何が原因かということは難しいですが、一つは世界各国がインフレ対策で利上げに進む中、日本の対応が後手に回ったということだと思います。強い力を持った長期政権のリーダーの名を冠していたのが、見直しに遅れをきたしたのかもしれません。

一方で、私たちの生活も関わりがあるように感じます。例えば、日本の企業のデジタル化が非常に遅れたという点です。素晴らしい産業はありますが、未来に大きく成長する産業がないと、海外のお金が呼び込めません。

この中で日本人が勤勉だという点は良かったのですが、生産性が上げられなかったように思います。デジタルを取り入れるとか、いろいろな関連にとらわれた働き方を変えていかないと、根本的な原因は解決しないのではないでしょうか。

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<プロフィール>
宮田裕章さん
データサイエンティスト
慶応大学医学部教授
科学を駆使して社会変革に挑む

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