先月、愛媛県と高知県で最大震度6弱を観測した、南海トラフ地震の想定震源域内の豊後水道を震源とする地震に伴い、1センチに満たないごく僅かな地殻変動が観測されたことがわかりました。
4月17日に豊後水道を震源とするマグニチュード6.6の地震が発生し、愛媛県愛南町と高知県宿毛市で震度6弱の非常に強い揺れを観測しました。
震源となった豊後水道は南海トラフ地震の想定震源域の内部にあることから、南海トラフ地震評価検討会は、きょうの定例会合でこの地震について検討を行いました。
その席上、国土地理院から、震源に近い愛媛県三崎の観測点が0.4センチ、高知県西土佐の観測点が0.3センチ、それぞれごく僅かに南東方向に移動していることが報告されました。
また、産業技術総合研究所の観測で、四国に設置された3か所の「ひずみ計」がごくわずかな変化を捉えましたが、いずれも地震の直接的な影響というよりは、観測点近くの地下水の状態などの変化を反映したとみられ、地震が発生した後にプレート境界の近くで「すべり」などの動きはなかったと考えられるということです。
南海トラフ地震評価検討会 平田直会長
「主として(豊後水道の)地震の規模が、プレート境界の固着状態を変化させるような大きさの地震ではなかった。(南海トラフ)地震がすぐに発生するっていうことを示すデータは得られませんでした」
評価検討会は、「現在のところ、南海トラフ沿いの大規模地震の発生の可能性が平常時と比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていない」とする評価結果を発表しました。
一方で、平田直会長は南海トラフ地震について、「おそらくほとんどの場合は何の前触れもなく、何の情報もなく、被害が出るような大きな地震が発生する」として、普段から地震への備えを意識するよう呼びかけました。