「誰かの日常に、そっと花を添えるように」高橋優さんがnews23エンド曲「キセキ」に込めた思い…MVに“きょうだい児”も【news23】

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2024-05-16 06:01
「誰かの日常に、そっと花を添えるように」高橋優さんがnews23エンド曲「キセキ」に込めた思い…MVに“きょうだい児”も【news23】

news23のエンディングテーマ「キセキ」は、シンガーソングライターの高橋優さんが、番組のために書き下ろした曲です。ミュージックビデオには、難病とたたかう妹がいる「きょうだい児」と呼ばれる高校生が登場します。歌詞や映像を通して伝えたかったこととは。上村彩子キャスターが聞きました。

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番組のために書き下ろした「キセキ」 曲に込めた思いは“寄り添う”

シンガーソングライターの高橋優さん。大学進学と同時に路上で弾き語りを始め、メジャーデビュー前から楽曲がCMソングに抜擢。地元・秋田県をはじめ、全国各地でライブやツアーを開催しています。

そんな高橋さんが歌うnews23のエンディングテーマ「キセキ」は、番組のために書き下ろされた曲です。

上村彩子キャスター
「書き下ろすにあたり、どんなことを意識したのでしょうか」

高橋優さん
「例えば、生きている環境。生活している環境が1人1人違っていたり、国が違っていたり、取り巻くものが違ったりしていても、人として共通しているものがあると思うんですよね。たたかれたら痛いし、寂しさ、喜び、悲しみなどの根底にある感情は、テレビに映っている人も、見ている人も同じなのではないかと思う。そういう人たちに、そっと花を添えるというか、日常にほんの少し寄り添えるような楽曲になるといいなと思って作りました」

「キセキ」MVに「きょうだい児」 妹が難病の高校生が出演

3月に公開された「キセキ」のミュージックビデオには、難病を持つ妹がいる高校生・愛媛県松山市の中山穂乃果さんが出演しています。

穂乃果さんのように、兄弟姉妹にケアが必要な重い病気や障害を抱える子どもは「きょうだい児」と呼ばれます。

なぜ、ミュージックビデオのなかで「きょうだい児」を取り上げたのか。監督・撮影を担った写真家の大橋仁氏から提案を受けたということで、高橋さんは…

高橋さん
「人間関係は1人じゃなくて、もう1人いて、その1人と1人が寄り添ったり離れたりしてずっと一緒に生きていく。ケアしている妹さんと穂乃果さんは、どんな人間関係なんだろうかというところにフォーカスが当たるといいなと思って」

穂乃果さんの地元・愛媛のあいテレビは、1年半前から穂乃果さんを取材しています。

妹・結衣花さんは、12万人に1人と言われる難病「メチルマロン酸血症」とたたかっています。生まれつき代謝に異常があり、お腹に開けた穴にチューブを通して栄養をとっています。その間、約1時間。暇を持て余さないように、穂乃果さんが率先して絵本を読み聞かせています。

穂乃果さんの母・理江さん
「妹ができてから、いろんな我慢をしてしまっていたのかなって。どうしても結衣花のほうにかかりきりだったので。(穂乃果さんが)『私なんか生まれてこんかったらいいんだろ』って半泣きで言ってきたことがあって、その時は『そんなことない』って抱きしめて」

――その時はさみしかった?

穂乃果さん

「さみしかった…のかな?」

妹のことを思い、感情を表に出さずに飲み込んでしまうこともあった穂乃果さん。

「きょうだい児」は、親の目が向きづらく、我慢や孤独を感じるケースも多いとされています。全国に「きょうだい児」が何人くらいいるのか、国も現状を把握していません。

穂乃果さんは今、難病の子どもや、そのきょうだい向けのワークショップに参加し、大好きなミュージカルに挑戦しています。きょうだい児の仲間と一緒に歌やダンスに取り組みます。

穂乃果さん
「隠していたことも我慢していたこともあるけど、病気をもっているきょうだいがいることで、一緒に出かけているとか、しゃべれているとか、苦労してきたからこそ嬉しいと思えるし、いろんな思いがあって、誰が悪いわけでもないからどうしようもないけど、こうして支えてくれる人と出会うことが大切だなって思います」

“大切な人を考える時間”のきっかけに 「誰かの日常に寄り添う音楽を」

上村キャスター
「きょうだい児について、どんなことを感じ、思いましたか?」

高橋さん
「『きょうだい児』という状況におかれている方々、きっと1人1人が見ている景色や感じることは違うと思う。大変なことも、悲しいこともあるかもしれない。でも、その人がどんな気持ちで生きているのか。笑顔で話していたら、それも真実だと思うし、その人が泣いていたら、その涙も真実だと思っている」

上村キャスター
「きょうだい児ではないのですが、私の姉が幼少期から心臓が弱くて、家族みんなでケアしていた過去があります。手術をすることもありましたし、入院することもあって、辛そうな姉の姿を見ているのが自分もつらくて、自分が代わってあげたいなって思うことも。(姉は今)もう元気なお母さんになっているんですけど、今回このミュージックビデオを見て、自分の記憶や心の中がすごく掘り起こされて。特に好きな歌詞が『誰も君のことを見ていないなら 特等席で見守っているよずっと』。私、涙が出てきてしまって」

高橋さん
「『特等席で見守っているよ』というのは、僕がステージで歌っていると泣いている人、笑っている人、いろんな人がいるんですけど、家族、友達、恋人のこととか、ほんのちょっとだけ自分の大切な人を考える時間を長く持ってもらえるきっかけに、この曲がなればいいなって」

上村キャスター
「音楽の力、役割、どんなことができると思いますか?」

高橋さん
「音楽なんて腹の足しにもならなければ、何の人の病気も治せないなんて言う人もいるけど、僕も音楽に何度も救われてきた人なので。具体的にどんな力があるのかはわからないけど、とにかく寄り添うこと。誰かの日常、悲しみでも喜びでも、そこに寄り添う音楽を奏でていくことで、力は見えていくんじゃないかと信じています」
「その人自身が“自分が主人公”と思って、自分の人生を生きていってほしいなと思います」

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