![ヒカキンさん所属「UUUM」らが“誹謗中傷”対策強化を発表 投稿者に「重い結末を」 中傷と戦う医師「半数は過激化して攻撃ひどくなる」【news23】](/assets/out/images/jnn/1185884.jpg)
ネット上の誹謗中傷が深刻化する中、人気動画クリエーター「HIKAKIN」さんらの所属事務所などは、対策を強化する発表しました。一方、ワクチン接種に反対する人らから攻撃を受ける医師は、投稿者に裁判を起こすなど責任を追及しているものの、個人の対策には「限界がある」と話します。
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HIKAKINさん事務所ら “誹謗中傷”対策強化
いつもは楽しいHIKAKINさんの動画。この日の内容は少し違いました。
Youtubeチャンネル「HikakinTV」より(2月24日投稿)
「たしか、2012年くらいから2014年くらいまでかな?いやもうオレのこと人間だと思ってないでしょ!ってくらい叩かれてたんですよ!たしか!」
明かしたのは、過去に受けた誹謗中傷のこと。
Youtubeチャンネル「HikakinTV」より(2月24日投稿)
「『新潟県上越市震度5弱!?みんな大丈夫か!?』、地元で地震が起きたってことで大丈夫かな?と思ってつぶやいたんですけど、それに対しての返信が『しね』、『大丈夫なワケないでしょ。ふざけないで』、『地震で死ね』、『いい奴ぶるな』、『大爆笑した』。これ、上から5個全部これだからね!よく耐えられたよね?」
「死ね」という言葉が大量に送られてきたことも。
Youtubeチャンネル「HikakinTV」より(2月24日投稿)
「ツールか何かを使って、もうマジでね、秒刻み!当時日本一多分“死ね”って言われてたと思うんですよね!」
22日、HIKAKINさんが所属する事務所「UUUM」らは、「誹謗中傷対策を強化する」と発表しました。
UUUM 竹川洋志さん
「いわゆる権利侵害に当たるものに関しては、プラットフォームへの削除依頼など必要な対策をとるのと同時に、直接警告をする」
UUUMで対応してきた誹謗中傷は過去4年間で287件。
UUUM 竹川さん
「断固とした法的措置の事例というのも積み上がってまいりました。賠償請求、和解金支払いというような、投稿者にとって非常に重い結末をもたらすような動きをしっかりと取れているかなと思っています」
誹謗中傷と戦う医師 “3年間で5000件”の投稿
誹謗中傷に対し、個人で戦う決断をしたのは、感染症専門医の岡秀昭教授です。
コロナ禍ではテレビなどを通じ、ひっ迫する医療現場の現状やワクチン接種の必要性を訴えてきました。
すると、ワクチン接種に反対する人などから、「とても残念な人相 医師を射殺」、「お前の住処を焼く。お前は丸焦げだ」など、人格を傷つけるような投稿は3年間で約5000件にのぼったといいます。
岡教授は特に悪質な約60件について、2023年5月以降、発信者情報の開示を東京地裁に請求。その結果、謝罪や投稿削除の申し出があれば、和解や示談に応じる一方、そうでない人には損害賠償を求める裁判を起こし、徹底的に争っています。
埼玉医科大学総合医療センター 岡秀昭 教授
「今後同じ立場になって情報発信する側になるであろう人が、今後の状況において、言論を封鎖されるようなことがないようにしっかり(裁判の)判例を作っていく」
しかし、このやり方では限界があると話します。
埼玉医科大学総合医療センター 岡 教授
「半分ぐらいは速やかに謝罪して示談交渉になるんですけれども、約半数はさらにそこから投稿などが過激化して攻撃がひどくなるケースがあります。まず誹謗中傷の侮辱、あるいは名誉毀損に該当する投稿を減らす必要がある。そのためには(SNSなどの)各運営会社には厳しい規制を設けて対応していただきたい」
ネットの誹謗中傷に進む対策 改正法成立も実効性に残る課題
藤森祥平キャスター:
インターネット上での誹謗中傷は大きな社会問題になっています。国が委託する違法・有害情報相談センターに寄せられている相談件数は毎年5000件を超えているそうで、2022年度は5745件。「削除の方法を知りたい」という相談が67%と、かなり多くを占めています。
トラウデン直美さん:
多くの人が「ない方がいい」と思っているはずなのに、減っていかないのが本当に不思議です。「気にしないのがいい」、「無視するのが一番」、「見ないようにするのが一番」というのが、おそらく最善だとされているし、自己防衛をするためにそれ以外に方法がないようにみえますが、それではいけないと思います。
こういったもの(誹謗中傷)は、目に入ってしまうとどんどん蓄積して長年のダメージになりますし、最悪のケースに繋がることも現実に起きています。誹謗中傷を現実の世界で面と向かって人に言ったら大きな問題になりますから、「SNS上であれば簡単に言って良い」というのは違うと思います。今回の法改正が進み、良い方向に動いてほしいです。
小川彩佳キャスター:
HIKAKINさんの所属事務所が行った会見で紹介されたデータでも、1件の炎上投稿にネガティブなコメントをする人は実はネットユーザーの40万人に1人にすぎないということです。限られた人数でも、SNS上では大きな声として響いていく特性がありますから、プラットフォームの責任というのは大きいです。
藤森キャスター:
こうした状況を受け、国会でSNSの運営事業者に対応を求める法改正が行われました。“誹謗中傷対策”改正法(通称:情プラ法)の中身を見ますと、Facebookなどを運営するメタやX(旧ツイッター)など、大手プラットフォーマーを念頭に置いて、▼削除する窓口の設置を求める、▼申請があった場合には対応結果を原則1週間以内に通知する、▼削除基準の策定や公表などを義務付けるなどという内容になっています。
違反した場合、▼総務省は事業者に対して是正勧告や命令を出すことができ、▼命令に応じない場合は1億円以下の罰金など、罰則を設けたということです。
ただ、この法改正は実効性に課題が残るという指摘もあり、ネット中傷事件を多く担当している田中一哉弁護士によると、今回の改正法は事業者側に削除を義務付けるものではないので、「あくまでも削除に応じるかどうかは事業者側の判断に委ねられる。実際に削除につながるケースが増えるかどうかは不透明」だということです。
トラウデン直美さん:
根本解決にならない方向ならすごく悲しいですが、やはり1人1人が認識することもすごく大事だと感じます。小さな箱の中の世界だけがすべてではないというところを、みんなでお互いに守り合っていくというのは大事だと思います。
小川キャスター:
共有していかなければならないことです。5月23日は誹謗中傷が原因で亡くなったプロレスラーの木村花さんの命日でもあります。
「ネット上の誹謗中傷」などについて「みんなの声」は
NEWS DIGアプリでは『ネット上の誹謗中傷』などについて「みんなの声」を募集しました。
Q.ネット上の誹謗中傷を減らすには?
「情報開示請求の迅速化」…24.3%
「開示しない事業者へ制裁金」…18.7%
「悪質な投稿の削除」…19.3%
「個人情報登録の厳格化」…18.4%
「侮辱罪の厳罰化」…16.6%
「その他・わからない」…2.7%
※5月22日午後11時12分時点
※統計学的手法に基づく世論調査ではありません
※動画内で紹介したアンケートは23日午前8時で終了しました。
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<プロフィール>
トラウデン直美さん
慶応大学法学部卒
環境問題やSDGsについて積極的に発信