犬の嫌がるお手入れのひとつに『爪切り』があります。もともと足先を触られるのを犬は得意としませんが、爪ともなればさらに不快感を示すのはいたって普通です。しかし、「嫌がっているからといって爪切りをやめてしまうと、今後ももっとさせてくれなくなる」という話を聞いたことがある人もいるでしょう。なかには「嫌がったから辞めるということをすると、犬に舐められる」といった、上下関係の話も。ですが大事なのは全部これらの逆のことなんです。それがどういうことなのか、ここでは解説していきます。
犬が爪切りを嫌がってもやらなければいけないと言われる理由
「犬が爪切りを嫌がるのは当たり前。だからといって嫌がったら辞めるのはNG」という話を聞いたことがある人は、決して少なくないと思います。
その理由としては次のようなものがあるでしょう。
1.嫌がればやめてもらえると覚えてもっとさせなくなる
2.嫌がったからという理由でやめたら犬に舐められる
3.嫌がるからとやめれば爪が伸び放題になってQOLが低下する
確かに3番目のQOLに関しては、状況次第では犬に我慢してもらいながらも、爪切りをしなければいけません。
しかし、1番は半分正解で半分不正解であり、2番に関しては都市伝説の迷信です。
では1番はどういうことなのかというと、これは学習の仕組みを知っていると見えてきます。
単純に「嫌だ」と意思表示をしたことで、嫌なことをされなくて済むと学習すれば、今後も「嫌だ!やめて!」と意思表示をするようになりますよね。
ですが、「今後ももっとさせなくなる」という点については、必ずしもそうではないのです。
犬の気持ちを尊重することで協力につながる
「爪切りを嫌がっているからやめておこう」という判断は、実はすごく大切なことです。
これにより犬は「嫌だと伝えればちゃんとわかってもらえる」と理解するでしょう。
まずいのは「嫌だと伝えても伝わらない」と認識させてしまうこと。
こうなってしまうと、犬はより強い意思表示を選択するようになり、いずれは歯を使って意思を伝えるようになる可能性があります。
このような事態にならないためにも、犬の気持ちを尊重しなければいけません。
「ここまでなら大丈夫」と思ってもらえるレベルに落とし、コツコツと積み重ねる。その積み重ねの結果、犬自身が爪切りに協力してくれるようになります。
犬の爪切りに対する悪いイメージを払拭するためにも無理はだめ
無理やり爪切りを強行することで、どんどん爪切りに対するイメージは悪くなっていきます。
爪切りだけではなく、爪切りをする環境や人に対しても、ネガティブなイメージがついていく可能性もありうるのです。
犬に「爪切りを嫌がらずさせてくれるようになってほしい」と思うのであれば、決して無理はNGです。
「嫌だと言えばやめてもらえる」という学習は決して悪いものではありません。それは、どこまでならOKでどこからがNGなのかを犬が教えてくれるサインになるからです。
そして、すでに爪切りに嫌なイメージがついてしまっているのであれば、なおのこと無理は禁物です。
こんなことを繰り返していては、いっこうに爪切りができないのではないかと感じるかもしれません。
しかし、嫌なことはしないという約束のもとで正しいアプローチをしていけば、爪切りを嫌がることなくさせてくれるようになりますよ。
まとめ
犬が爪切りを嫌がったら、その時点で無理をするのはやめてあげてください。
そして、嫌だという前の段階から爪切りに対するイメージをよくしていき、最終的に爪切りが大丈夫なものとして認識してもらえるようにしましょう。
そのプロセスを正しく行い最短で結果につなげるためにも、応用行動分析学に詳しいドッグトレーナーや行動を勉強している専門家に、ぜひ相談してみてくださいね。
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