犬へのしつけの手段としてエアスプレーを使い、困った行動をやめさせるという方法があります。この方法であれば犬を痛めつけるわけではないので問題ないと考える人は少なくないですが、考えるべきは痛みがあるかないかではありません。あくまでも犬にとって快か不快かで考える必要があります。
犬のしつけでエアスプレーを使うのは虐待に値する
犬のしつけでエアスプレーを使うのは虐待に値すると考えられます。
理由はそれを使うことで犬に不快感を与え、ときには不快感を通り越し怯えてしまう子もいるからです。
つまりこれは犬にとって嫌悪刺激になるものであり、動物福祉にも反する行為であることを認識しなければなりません。
最も侵襲性の少ない方法を考えていくのが飼い主としての責務
犬をしつける場合に限らず犬に何かアプローチをするからには、最も侵襲性の少ない方法を考え選択する必要があります。
それは治療でもトリミングでもなんでもそうですが、最も侵襲性の少ない方法というのは簡単に言うと犬が最も嫌だ・不快だと感じなくて済む負担の少ない方法だからです。
また、治療などではどうしても犬が嫌がっていてもやらなければならないときもありますが、それでも必要に応じて鎮静や麻酔をかけたり、できるだけ早く解放してあげられるように努めます。
それはその子のQOLや福祉を向上させるためにはそれしかなく、それをしなければその子のQOLが低下し放っておくこと自体が動物福祉に反するからです。
ですが犬のしつけにおいてはそんなエアスプレーといった不快を感じるような方法を選択しなくてもいい方法があり、それは行動分析学という学問の知識を利用することで叶えることができます。
犬のしつけにエアスプレーは必要ない
行動分析学による正の強化のアプローチ、つまり犬が困った行動をしなくて済むように環境を整え、そのうえで人間にとって助かる行動を犬にとってうれしいご褒美を与えることでその行動を強化していきます。
この現象を利用することでほとんどの困った行動というものを減らし同時にうれしい行動を増やしていくことができるため、嫌悪刺激となるエアスプレーを使った方法は必要ないのです。
しかし同時にこれは非常に人間が頭を使って試行錯誤をしていかなければいけないため、楽な方法とは言えません。
なぜならエアスプレーのようにとりあえず罰を与えて抑制するほうが圧倒的に楽だからです。
ですがそれはすなわち犬と向き合わずいたずらに犬を傷つけ、人間が楽をすると同時に叱る依存状態を作り出してしまうことを意味するため、双方にとっても副作用の大きい方法でもあります。
これが環境設定と正の強化によってなされるアプローチであれば、思考し試す必要はあれど叱る必要はなくむしろ犬にとってもうれしいことを人間がどんどん提供する方法なので、人も犬も楽しみながら取り組むことができるのです。
まとめ
犬のしつけでエアスプレーを使うということは犬に不安や恐怖などの嫌悪刺激を与えることになるため、虐待になると考えられます。
これを虐待かそうでないかを決めるのはそれを受ける側の犬であり人間ではありません。
しかしそれを決めるためにわざわざ不快と感じるようなことをする必要はありませんし、そもそも犬のしつけにおいてエアスプレーを使用する必要はないのです。
何かをやめさせたいのであれば何かできることを増やしていく。そのできることを増やすためにも環境設定と正の強化による取り組みが大切です。
犬を傷つけるのではなく大切に守りポジティブな経験をたくさんさせてあげながら、人も犬も楽しく暮らせる工夫をしていきましょう。
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