教育の質をどう守るのか? 新人教員の4.9%が1年以内に退職 過去10年で最も高い離職率 東京都知事選

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2024-07-05 17:40

あさって投開票を迎える東京都知事選の重要テーマを取り上げます。今回は「教育の質をどう確保するか」です。東京都では新人教員の離職率が過去10年で最も高くなっています。

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都内にある公立中学校の教員・五十嵐夕介さん(40)。担当科目は体育で部活の顧問もするなど、新人の頃から長時間勤務が続いていました。

都内の公立中学校 五十嵐夕介 教諭
「『こういう世界なんだな』と、当たり前のように働いていた」

去年の手帳を見てみると、「5月125時間、6月99時間、7月113時間」。過労死ライン(月の残業80時間)を大幅に超える残業時間が並びます。

若手をサポートする「主幹教諭」の立場になったことでさらに仕事が増え、去年、体調を崩しました。診断された病名は「適応障害」でした。

「意欲低下・倦怠感・集中力低下といった抑うつ症状が認められる」

都内の公立中学校 五十嵐夕介 教諭
「自分のプライベート、睡眠時間を犠牲にしてるという実感がありました。持続可能性がないということを強く感じました」

職場にかけあい、自ら「降格」を申し出たことで、今は定時で帰れるように。しかし、他の多くの教員たちは長時間労働が続いているため、自分のように体調を崩す教員がまた出てくるのではと危惧しています。

都内の公立中学校 五十嵐夕介 教諭
「やらなければいけないことにひっ迫されて、やりたいこと、授業準備になかなか時間が取れない」

知り合いの教員は、テストの問題を間違えてしまったとき、生徒にこんな言葉をかけられたといいます。

都内の公立中学校 五十嵐夕介 教諭
「『先生、寝不足で作ったからしょうがないよね』という声が実際聞かれた」

ブラック職場とも言われる教育の現場。そんな中、東京都では昨年度に採用された新人教員のうち、4.9%が1年以内に退職しました。

過去10年で最も高い離職率となったのです。

教育の質を落とさないために、どう対応するのか。都知事選の候補者は。

小池百合子氏は、「教員確保に関する経験者採用枠やメンター制度の導入など、現場の負担を軽減する」としています。

一方、蓮舫氏は、教員の負担軽減のため「DXやサポートスタッフの活用で、講師の付随業務を減らし、子どもとの時間を増やすこと」を掲げています。

また、前安芸高田市長の石丸伸二氏は、「市長時代、学校用務員などを配置し、教員免許を必要としない業務を教職員から分離させ、働き方改革を実現した」と実績を強調。

元航空幕僚長の田母神俊雄氏は、「成績管理や学級通信の下書きなど、パソコンやAIを活用しての事務負担の軽減はモデル事例を活用するなど、大いに改善の余地がある」としています。

このほか、都知事選には52人が届け出ていて、あさって(7日)に投開票です。

東京都知事選挙 立候補者(届け出順)
 野間口翔氏、沢繁実氏、大和行男氏、木宮光喜氏、小池百合子氏
 内海聡氏、石丸伸二氏、小野寺紘毅氏、新藤伸夫氏、竹本秀之氏
 桜井誠氏、ドクター・中松氏、安野貴博氏、清水国明氏、AIメイヤー氏
 桑原真理子氏、後藤輝樹氏、河合悠祐氏、福本繁幸氏、黒川敦彦氏
 桑島康文氏、田母神俊雄氏、蓮舫氏、内藤久遠氏、内野愛里氏
 石丸幸人氏、尾関亜弓氏、小松賢氏、加賀田卓志氏、福永活也氏
 犬伏宏明氏、武内隆氏、遠藤信一氏、上楽宗之氏、二宮大造氏
 中江友哉氏、舟橋夢人氏、山田信一氏、加藤英明氏、草尾敦氏
 津村大作氏、久保田学氏、前田太一氏、南俊輔氏、福原志瑠美氏
 木村嘉孝氏、三輪陽一氏、松尾芳治氏、穂刈仁氏、小林弘氏
 加藤健一郎氏、ひまそらあかね氏、向後真徳氏、牛窪信雄氏、古田真氏
 相川絹二郎氏