アフターコロナの花火大会に変化!花火大会の予定を入れるタイミングが早期化している理由とは?

2024-07-08 11:00
アフターコロナの花火大会に変化!花火大会の予定を入れるタイミングが早期化している理由とは?

夏の風物詩“花火大会”。コロナ禍の3年間は中止が相次いだが、コロナが5類感染症に移行した昨年より多くの会場で再開。人々が待ち望んだ花火大会の復活は喜びと盛り上がりを見せた。その一方で、コロナ禍を経て見えてきた運営側の課題や、それに伴う「観覧席の有料化」により、人々が花火大会の予定を入れるタイミングに変化が起きているようだ。

今回、全世界登録ユーザー5,500万人を超えるカレンダーシェアアプリ「TimeTree」に登録された90億超の予定データを統計的に分析する「TimeTree未来総合研究所」は、この度「花火」の予定について調査。それによると、花火大会当日から2ヶ月以上前の予定登録は、コロナ禍を経て約1.4倍と早期化の傾向にあり、今年も昨年並の予定登録傾向あることがわかった。

※同調査は、2019年1月~2024年5月の期間で登録されたデータを対象として分析(登録ユーザー数は2019年時点で1200万、2024年5月時点で5500万)

コロナ禍で発生した「観覧席の有料化」「長期間の大会中止」により花火予定の登録時期が大きく変化

2020年から始まったコロナ禍では、多くの観客が集まり感染リスクになり得る花火大会は開催中止や無観客開催といった対応を余儀なくされた。「花火」というキーワードを含む予定数の推移を見ると、2023年はようやく予定数がコロナ禍以前に戻りつつあることが読み取れる。

2023年に開催された花火大会数はコロナ禍前に戻りつつあるものの、コロナ禍を経て花火大会には新たな課題が生まれた。その一つが開催にあたっての運営資金の確保。花火の火薬代や、人が密集しない安全な大会運営のためにかかる警備費用などが、近年の物価や人件費の高騰の煽りを受けて膨れ上がり、クラウドファンディングや有料観覧席の増加といった手段で資金確保をする花火大会が増えている。

長岡花火や亀岡平和祭保津川市民花火大会、戸田橋花火大会といった歴史ある花火大会でも全観覧席を有料化する方針が取られた。このような運営の変更が生まれる中、花火大会の予定データを見ると、コロナ禍以前の2019年は花火大会直前に予定の登録が多かったのに対し、2023年はチケット販売開始時に予定登録タイミングが集中する変化が起きていることが見てとれる。

また、特に数年の中止を経て久しぶりに開催された花火大会においては、開催決定の情報が出るタイミングで予定登録が集中する傾向も見られる。例えば2023年に4年ぶりの開催で過去最高の103万人の動員を記録した隅田川花火大会に関して、2019年と2023年の予定データを比較すると、2023年は開催決定告知タイミングに予定登録が極端に集中し、花火大会への期待から予定登録時期が大幅に早まっていた。

こうした予定登録の早期化傾向は、個別の大会に限らず「花火」予定全体でも見られ、2019年と2023年で「花火」を含むキーワードでの予定登録タイミングを比較すると、登録タイミングが早い時期ほど2023年で登録率が増加しており、花火大会当日から60日以上前に予定を登録する人の割合は2019年が11.5%に対し、2023年は16.0%と花火大会の予定を早めに登録する人が増加したという変化が見られた。
予定を前もって登録するようになったことは、花火大会がコロナ禍を通して早い時期から計画され、楽しみにされるイベントとなってきた変化の表れとも考えられるだろう。

2024年も花火大会への期待感は継続。予定出現数TOP3は長岡花火、隅田川花火、なにわ淀川花火

最後に、今年の花火大会に関する期待感を計るために、2019年、2023年、2024年各年の5月31日時点で登録されている「花火」の予定について調査。結果は、2019年の登録予定1万件あたりの「花火」予定の出現数を100とした時に、2023年は135、2024年は128という数値になり、2024年は2023年とほぼ同水準で、早いタイミングで花火の予定を登録する人が引き続き多いことがわかった。

次に7月から8月に開催される花火大会のうち、5月31日時点で登録されている予定数が多かったものも2023年、2024年で調べたところ、順位の変動は多少あるものの2024年の上位10位以内にランクインした大会のうち7つが、2023年にも上位10位以内にランクインしていた。新しく10位以内にランクインした花火大会としては、2023年まで中止が続いていた「鎌倉花火大会」に加え「みなとみらい花火大会」や「北海道真駒内花火大会」などが挙がり、これらの花火大会への期待度の高さが伺える結果となった。

「TimeTree未来総合研究所」所長 深川泰斗氏は今回の調査結果を受け、「人は習慣化していたり、楽しみにしている予定ほど前もって入れるものですが、一般的にTimeTree内では、予定当日付近のタイミングで登録される予定が多い傾向があります。例えばTimeTreeで最も多く登録されるキーワードである『休み』の予定は、予定当日から30日前までに登録される予定が約7割を占めますが、花火大会の予定を入れるタイミングはそれに比べるとずっと早い時期から登録される傾向にあります。花火の予定がこれだけ早く登録されるのは、花火が世の中的に楽しみにされているイベントだからと言えるでしょう。今回の未来データレポートでは、コロナ禍が花火大会に及ぼした変化を『予定登録のタイミング』という側面から分析しました。大会運営面で様々な変化が起こっているのに対して、観客側の予定データからは予定登録のタイミングが早まっていることが読み取れ、コロナ禍以前に比べ、去年と今年は花火大会を楽しみにしている方が増えているのではないかと予想されます。大会運営者の方々の大変な努力と労力により、花火大会は実現されているものと思いますが、今後も花火が世の中の楽しみな予定として残り続けていくことを願っています」と、コメントしている。

今回、アフターコロナとなった昨年と今年は、コロナ前と比べて花火大会の予定を入れるタイミングが早くなっていることがわかった。その背景には、待ちに待った花火大会への期待度の高まりだけでなく、観覧席の有料化といった運営側の課題も影響していた。夏の風物詩とは言うものの、夏に花火が観られるのは当たり前のことではなくなってきている。物価高などによる費用不足に加え、後継者不足などで開催を断念するところもある。打ち上げられる花火に感謝と今後の存続を願いながら、今年の花火大会も大いに楽しみたいものだ。

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