【獣医師が解説】保護猫をはじめて動物病院につれていくときに知っておいてほしいこと

春になると動物病院には、「仔猫を保護した」といって来院される方が増えてきます。保護猫はまずは自宅で慣らし、動物病院につれていくのはその後にしたほうがいい、というお話をします。

子猫を保護したら、まずは自宅につれて帰りそっと様子を観察しよう。

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自宅の周辺や職場付近、公園などで外猫が生んだ仔猫を保護することがあるかもしれません。保護した仔猫を、我が家にペットとして迎え入れる方も多いですね。

仔猫を保護した場合は慌てず、猫をよく観察してみてください。そして、猫に怪我もなく元気そうであれば、そのまま自宅につれていってあげたほうがいいと思います。

まずは動物病院に行って健康状態を診てもらったほうがいいんじゃないの?、と思われるかもしれません。

では、なぜ動物病院へ直行はおすすめできないのでしょうか?

保護したばかりの仔猫を動物病院につれていった場合の問題点

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保護したばかりの猫には名前もついていない事が多いです。

これから飼い主になる方も診察する獣医師もわからないことだらけなのです。

獣医師に伝えられる情報が少ない

診察室でよく交わされる会話。

獣医師:「猫の食欲はどうですか?しっかり食べますか?」
飼い主:「いやぁ先生、今保護してきたばかりだから、まだフードは与えてないし分かりませんよ」

そこで、私がおいしそうなフードを与えてみても猫は見向きもしません。

慣れない環境下では無理もないことです。

保護猫は、猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症といった病気にかかっていることもあります。

これらの疾患は人の風邪のように目やに、鼻水、くしゃみといった症状がみられることが多いです。

飼い主さんに、くしゃみはしていますか?と聞いても「わからない」といった答えがかえってきます。

今、出会ったばかりの猫なので仕方ありません。

つまり、保護してすぐに連れてこられた場合には、猫に対する情報があまりにも少なく、診察する獣医師も苦慮することになります。

もし、飼い主さんが10日ほどでも自宅で飼育した後に動物病院につれてきたのならば、元気なんだけど時々くしゃみをするんだよね、などといった情報が得られ、スムーズな診断につながります。

動物病院はストレスがいっぱい

動物病院は、慣れてない猫にとって大きなストレスがかかる場所です。

これは大事なポイントなので、ぜひ覚えておいてもらいたいと思います。

ほかにも猫が来ていますし、犬が吠えていることもあります。

ましてや、今日突然人間に保護され車に乗せられて、といった状況ではストレスもピークに達していることでしょう。

飼い主さんにはワクチン接種を希望されることもあります。

しかし、このようなストレス下において、食欲があるのかもわからずに、初めてのワクチンを打つことは獣医師としてはためらわれます。(ワクチン自体が多少のストレスになり得ます)

動物病院をトラウマにしない

保護されたばかりの猫の便をもってくる人はいません。

獣医師は検便のため、採便棒という棒を仔猫のおしりに入れます。

寄生虫などの検査のため必要なことではありますが、猫にとっては嫌ですよね。

また、保護猫のなかには人に全く慣れていない仔もいます。

そういう仔の場合、検査どころかキャリーから出すことすらできない、といった場合もあるのです。

無理に出した猫が病院中を逃げ回り、捕まえようとした飼い主が手を噛まれてしまった、ということがありました。

このような体験をした猫は終生、動物病院嫌いになってしまうこともあります。

動物病院にたいして、あまりにも嫌な感情をもってしまうと、そのあと苦労することになりかねません。

病院につれていこうとキャリーを見せるたびに、飼い主の視界から消えていなくなる、なんてことになったら面倒です。

まずは猫を飼い主の環境に慣らしてから、つれて行くことをおすすめします。

猫が飼い主さんの膝にのってくるようになれば大丈夫です。

まとめ

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  • ペットショップで購入してきた猫とちがい、保護猫には健康状態の情報がすくない。
  • 保護した猫は自宅でそっと休ませ(あまりかまいすぎないこと)、咳はしていないか、下痢はないかなどをじっくり観察する。
  • 保護されたばかりの仔猫はおびえていて、ストレスをかかえていることが多い。そのような状態で動物病院という、猫にとって怖いところへすぐ連れて行くと、病院嫌いの猫になりかねない。

以上、保護猫を初めて動物病院につれていく時は猫をまずは飼い主の環境にならし、状態を観察してからにするといいというお話をしました。

ただし、猫が明らかに具合が悪そうだったり、ノミやダニがついている場合は動物病院にいって適切な処置を受けてください。

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