匂いを嗅ぐ行為は、猫にとって日常のあいさつであり、コミュニケーションのひとつです。今回は、鋭い臭覚を武器に、愛猫が飼い主さんの匂いを嗅いでくる状況について、3つのシーンを紹介します。クンクンしながら読んでみてください。
1.「ただいま~」
毎日、愛猫のお出迎えが楽しみ、という飼い主さんも多いことでしょう。たとえ外でイヤなことがあっても、たちまち吹き飛んでしまう魔法の一瞬です。
ドアを開けると同時に、ナデナデする飼い主さんの足元や身体をクンクン嗅ぎながら、早速、愛猫の匂いチェックです。
臭覚の鋭い猫は、人間と比べると、数万倍から数十万倍もの匂いを嗅ぎ分けられる、と言われています。匂いを感知する猫の嗅細胞は、人間の約500万個に対し、約6000~7000個。飼い主さんからすれば無臭でも、愛猫はしっかりと匂いを嗅ぎ取っています。
愛猫が匂いを嗅げば、飼い主さんの一日の行動記録も丸わかりです。帰り道に、家族に内緒で美味しいたこ焼きを頬張り、別の店でクレープまでたいらげたことも、愛猫にはわかっています。もちろん、行きつけの猫カフェでヨソの猫たちと浮気したことも。
浮気をとがめることなく、愛猫は自分の匂いを飼い主さんにせっせと上書き。作業が終われば、「所有権」は無事に愛猫へと渡ります。
2.「スッキリした~」
風呂上がり後も、愛猫の匂いチェックの時間です。ドアの前で、ときにヘソ天しながらのんびりと待ち伏せ。飼い主さんが出てきたとたん、匂いのプロフェッショナルとして電撃的に活動します。
匂いを嗅ぎつつ、スリスリも怠りません。いつもはツンな子でも、風呂上がり直後に限っては甘えん坊になることもあります。
愛猫からすると、風呂上がりは、飼い主さんの匂いが変わってしまうタイミングです。ふんわり漂うボディーソープやシャンプーなどの香りに対し、「いつもと違う!」と愛猫は判断します。
猫は変化に敏感な動物ですから、すかさずスリスリを繰り返し、気の済むまで飼い主さんの身体に匂いづけ。ミッション後、デレタイムはあっけなく終了し、「あー、スッキリした~」と愛猫はクールに撤収していきます。
3.「ごちそうさま~」
食後、愛猫が寄ってきて、飼い主さんの口まわりを嗅ぐのは、「何を食べたのかな?」と気になるからです。猫は、食への関心が強いうえに、好奇心旺盛な一面もあります。
クンクン嗅ぎながら、帰り道のたこ焼き、クレープを言い当て、さらに夕食のお好み焼きと白ごはんセットまで特定します。「グレインフルだニャ~」と愛猫。飼い主さんが無類の穀物好きなこともちゃんと見抜いています。
一日の最後を締めくくるのは、寝る前です。いつものように愛猫がそばまで来て、飼い主さんの顔まわりの匂いをしきりに嗅ぎます。これで生存確認と本人認証も完了。「本日も異常なし!」で「おやすみ~」です。
まとめ
人間は視覚世界の住人ですが、猫は、「匂いの世界」で生きる動物です。人間とは異なる方法で世界をとらえています。
今回は、飼い主さんの匂いを嗅いでくるタイミングとして、3つのケースを挙げました。例からもわかる通り、愛猫が匂いを嗅いでくるのは、飼い主さんの匂いが変わってしまう場面です。
とりわけ、帰宅後と入浴後は、愛猫にとってきっと無視できない変化なのでしょう。すかさず自分の匂いをスリスリして、飼い主さんを「自分のもの」にします。
そのとき、飼い主さんの顔には、甘い甘いデレデレとニヤニヤが浮かんでいるはずです。
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