猫は『自分や家族の名前』を理解している？科学的な根拠や、覚えてもらいやすい人の特徴をご紹介

呼びかけたら、「ニャー」と鳴いたり、面倒くさそうにしっぽを振ったり、愛猫の反応を見る限り、何となく自分の名前をわかっている感じです。本当のところはどうなのか、飼い主さんも気になるところでしょう。今回は、科学的根拠に基づいた実験結果を簡単に紹介します。

猫は自分の名前を理解していた！

結論から言うと、最近の研究結果から、猫は自分の名前はもちろん、同居猫やいっしょに暮らす家族の名前も識別していることがわかっています。ただし、人間のように言葉を意味としてとらえているわけではなく、音の響きや呼ばれたときの状況などにより、総合的に判断していると考えられています。

驚くべきなのは、同居猫や家族の名前を呼んだとき、猫の脳裏に、呼ばれた当事者のイメージが浮かんでいる、ということです。次項では、その事実を裏づける研究例を解説します。

心理学的手法を使った2つの実験

京都大学、上智大学、麻布大学による共同研究では、猫カフェ所属のネコ（以下、カフェネコ）と多頭飼いネコ（以下、家庭ネコ）、両者を対象に、「期待違反法」という手法で2つの実験を試みました。

人間であれ、動物であれ、想定外の事態に直面したとき、対象物をじっと見つめる傾向があります。「期待違反法」とは、その特質を応用した心理学的アプローチです。

最初の実験では、カフェネコに対し、仲間猫の名前を4回呼びます。直後、モニターを通じて、名前を呼んだ仲間猫の写真、それとは異なる猫の写真を提示すると、モニターを見つめる時間に差はなし。

一方、同じ実験でも、家庭ネコの場合、呼ばれた名前と写真が一致しない状況下では、モニター注視の時間が長かったと言います。

2つ目は、家庭ネコだけを対象にした実験です。同居する家族の名前を理解しているかどうか、前述の「期待違反法」で調べました。すると、飼育歴が長く、家族人数が多い猫ほど、呼ばれた名前と写真が一致しないとき、モニター注視の時間が長くなる、という結果に。

この実験結果は、飼育歴と家族人数の程度によって、名前の記憶定着率が変わってくる、という可能性を示唆しています。言い換えれば、長期間に渡って呼ばれる回数が多い名前ほど、猫の記憶に残りやすいということです。

名前を覚えてもらうためには…

他の家族の名前は覚えているのに、なんで自分だけ無反応…同じ愛猫を愛する者としては、やはり、切なくなるはずです。

科学的根拠はないものの、一般的に猫が覚えやすいとされる名前にはいくつか特徴があります。代表的なのは、「2～3文字で短く」「濁音や半濁音を含み」、なおかつ「同じ母音が続く」という3つ。もちろん、これは愛猫に自分の名前を覚えてもらうときにも有効です。

一例として、最新の人気名前ランキング（順不同）を挙げると、「ココ」「モモ」「ムギ」「ソラ」「モカ」「ユズ」「ラテ」などの名前が入っています。どれもシンプルで、飼い主さんも呼びやすい名前です。おそらく、愛猫にとっても聞き取りやすいのでしょう。

上記の観点から、愛猫に自分の名前を覚えてもらうためには、聞き分けが簡単で、短い名前が理想的です。手っ取り早いのは、もともとの名前を2～3文字に短縮すること。たとえば、「けんたろう」だったら「けん」、「まさみ」なら「まさ」です。

それでもしっくりこないときは、家族それぞれの干支で呼び合うと、簡潔で響きも良く、猫も覚えやすいかもしれません。ひつじは「ひつ」、いのししは「いー」に変えてみてください。

ただし、この呼び名システムを導入した場合、同じネコ科動物ゆえに「とら」は熱烈に愛され、逆に「いぬ」や「みー（へび）」はなぜか敬遠されがち、「うー（うさぎ）」や「ねー（ねずみ）」にいたっては執拗に追いかけ回されるなど、家庭内で愛情格差が生まれるかもしれません。ご注意ください（科学的根拠は一切ありません）。