■パリオリンピック™ スポーツクライミング女子複合決勝(日本時間10日、ルブルジェ・スポーツクライミング会場 )
スポーツクライミング女子複合で、日本代表の森秋彩(20、茨城県山岳連盟)は五輪初出場でのメダル獲得はならず、合計135.1点で4位に終わった。前半のボルダーで39.0と低い得点に終わったことが響き、後半のリードで96.1の高得点をマークし暫定首位に立ったが、後続の選手に抜かれメダルまでは届かず、日本女子2大会連続の表彰台はならなかった。
約5mの壁に設定された4つの課題をいくつ登れるかを競う「ボルダー」と、12m以上の壁を制限時間6分以内にどこまで登れるかを競う「リード」、2種目の合計点で順位が決まる。1つの課題を完登すると25点入るボルダーは、制限時間4分以内であれば落下してからの再トライも可能。一方、リードは落ちたら終わりの一発勝負。決勝は8人で争われる。
準決勝を全体の4位で通過した森は、前半のボルダーに挑んだ。しかし、1つ目の課題は最初のホールド(突起物)が高い位置にあり、154cmの森は何度もジャンプするが届かない。そのまま制限時間の4分が経過し、ポイントを獲得することができなかった。
第2課題も途中で落下してしまい、完登はできず9.7点で暫定8位となった。続く第3課題では、指だけの力で体を支え会場を沸かせた森。難しい課題を最後まで登り切り、初の完登を達成した。第4課題では遠いホールドをめがけて、体を振り上げるようにして飛び移るが、届かず落下。何とかチャレンジして成功するが、その後を登ることができず、森は39.0点の暫定7位でボルダーを終えた。
3位との差は20.7点。昨年の世界選手権で優勝している得意種目・リード。森は最大傾斜42度のそり立つ壁に挑んだ。序盤、順調に登っていく森に、場内からは手拍子が起こる。小さな体を精一杯使ってホールドを確実に掴みながら移動していく。指先だけで支え、体を引きつけて必死に上を目指す。そして、トップホールドに手をかけた所で惜しくも落下。それでもここまでの最高得点96.1をマークし、ボルダーの得点と合わせて135.1と暫定首位に立った。しかし、後の選手に抜かれ最終的には4位に終わった。
「表彰台を逃してしまったので、かなり悔しい思いが強いですけど、なるべくしてなった成績かなと思って素直に受け入れようと思います」と悔しさを露わにした森。それでも「オリンピックという大きな舞台で自分らしくのびのび登れたのは、これまでいろんなことを乗り越えてきた成果だと思うんで、そこは自信をもっていいかなと思います」と胸を張った。
森は東京五輪出場は叶わなかった。昨年の世界選手権で3位に入り、パリ五輪出場権を獲得。前回の東京大会では女子の野中生萌が銀メダル、野口啓代が銅メダルを獲得している。今大会では安楽宙斗(17、JSOL)が日本勢初となる銀メダルを獲得した。