台風5号 各地で大雨被害「ノロノロ台風+海洋熱波」が影響?海上には“台風の卵”も…今後の影響は【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2024-08-12 20:13

お盆を直撃した台風5号。自転車並のスピードで東北地方を横断。異例のコースをたどり、川の増水や道路の陥没などの被害が相次ぎました。
(8月12日「Nスタ」午後5時30分ごろの放送より)

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台風5号 東北を横断中 青森県内では記録的な大雨になる見込み

青森県深浦町からの報告です。

午後5時30分現在、深浦町では雨は降っていませんが、気象台によりますと、夜のはじめごろにかけて雨雲が広がってくるとみられています。

青森県内はこのあと津軽地方を中心に記録的な大雨となる所がある見込みで、町の人は「昼より夜に大雨となる方が怖い。懐中電灯などを用意するが、落ち着いて眠れない」と不安を口にしていました。

深浦町では2022年8月に発生した大雨により、各地で冠水や土砂崩れが発生し、家屋が倒壊したほか、一部の地域が孤立状態となるなど甚大な被害が出ました。

台風5号は東北を横断して日本海側に入ったあと、北上して熱帯低気圧に変わる見込みで、その熱帯低気圧の影響が長引くおそれがあり、住民たちは不安な夜を過ごすことになります。

岩手県の各地で「観測史上1位」の雨量 気象予報士「14日~15日にかけて警戒を」

ホラン千秋キャスター:
特に雨による被害が多かったようですね。

広瀬俊 気象予報士:
場所によっては2か月分の雨が1日、2日で降ったようです。これからも大雨が続きそうなので、14日、15日にかけては警戒が必要な状況です。

井上貴博キャスター:
12日午後4時時点の48時間雨量は、▼岩手県久慈市下戸鎖で480ミリ(観測史上1位)、平年8月の2倍以上となっています。▼岩手県・大槌で312.5ミリ(観測史上1位)、▼岩手県久慈市山形で283ミリ(観測史上1位)となっています。想定を上回った場所もあるのでしょうか。

広瀬気象予報士:
ピンポイントでみると上回った場所もあります。
全体としては24時間で300ミリほどの雨量ですが、条件が重なるとその予想を上回ってしまいました。

井上貴博キャスター:
“雨台風”ということで今回は特に雨が心配されています。

広瀬気象予報士:
今回は東北の太平洋側から上陸しましたが、普段あまり台風の影響を受けることが少ないエリアです。8年前に岩手県に上陸した台風がありましたが、沿岸部ではそれを上回るような大雨となっている状況です。

8年前と3年前に東北の太平洋側に上陸した台風がありましたが、東北の太平洋側から上陸するというのは、やはり20年前、50年前ではありえないことです。台風の特徴を見ても、最近は天気の状況が変わっている、と感じます。

台風5号は、なぜ大雨になっているのか、「海洋熱波」「ノロノロ台風」ということが影響しているのではないかと思います。

猛暑が続いており、2023年の夏の猛暑に暖冬も加わり、東北・北海道の南の海上は、海水温がかなり高くなっていて、それを海洋熱波といいます。海洋熱波が続き、雨雲が発達しやすくなっていて、スーパーコンピューターの予想よりも雨が強まっている状況です。

夏の台風の特徴でもありますが、台風5号は時速約15キロのスピードで進んでいます。時速15キロは、だいたい自転車で走るぐらいのスピードなので、湿った空気の流れ込みが続き、長い期間、大雨になって雨量が増えている状況となっています。

“ノロノロ”台風5号 13日にかけて日本海側にも影響か

井上キャスター:
影響が長続きするということですが、今後は太平洋側だけではなく日本海側にも影響があるのでしょうか。

広瀬気象予報士:
台風は勢力を落としつつ西へと進み、太平洋側だけではなく秋田や青森などの日本海側でも13日にかけて激しい雨が降るおそれがあります。

梅雨の末期に秋田県や山形県で大雨災害が発生しましたが、そうした被災地でも雨が強まって、土砂災害や河川の増水の危険度が高まっていく可能性があります。

実は台風が弱まっても大雨には関係なく、過去には何度も熱帯低気圧になってから大雨災害は発生していますので、油断せずに夜間はなるべく安全な場所で過ごすようにしてもらいたいと思います。

ホラン千秋キャスター:
2024年は暑さも言われている中で、まだ台風の発生個数が例年と比べて少ない印象だったので、「そうだ、台風の備えもしないと」と感じましたし、南海トラフ地震にも注意・警戒を呼びかけられていて、気にしないといけないことがたくさんあります。

プロ経営者 ハロルド・ジョージ・メイさん:
連日の猛暑やゲリラ豪雨、今回のように本来はあまり台風が来ない地域に来るなど、自然なことが自然ではなくなってきているように感じます。

だから備えることしかできない。いつどこで何が起きてもおかしくない世の中だという認識で、色々な備えをするべきだと思います。私は食料や水などの物だけではなくて、例えば保険や心構えという準備もしておくべきかなと思います。

ホランキャスター:
できるうちにできることをということだと思いますが、慣れない土地で天気の極端な現象に遭遇することもあると思うので、普段以上の備えなどが必要になってきますね。

広瀬気象予報士:
夏休み期間で、普段と違う場所で過ごしている人や、これからそういった場所に行くという人もいると思います。旅先や帰省先のハザードマップも今はスマートフォンで確認できるので、今一度確認してほしいと思います。

井上キャスター:
気象庁のホームページもスマートフォンで見られますので、キキクルなど逐一アップされる情報をご活用ください。
そして、週末ごとに台風が来そうですね。

低気圧にフタをする高気圧が“夏バテ状態” 次々と台風が発生しやすい状況

広瀬気象予報士:
今、高気圧が“夏バテ状態”になっていて、今回の台風5号、6号、そして新たに7号が発生する状況になっています。

台風同士が影響を及ぼすため、複数の台風が近くにあるときは予想が難しいです。

台風7号になりそうな熱帯低気圧は、北上して予報円の東に進んだ場合は影響は小さそうですが、西に進んだ場合は16日(金)に関東甲信や静岡にかなり接近して、大雨など大荒れの天気となるおそれがあります。

夏休み、お盆期間の予定も変更することになる可能性があることを視野に入れて、この先の台風情報に注意してほしいと思います。

井上キャスター:
高気圧が“夏バテ”すると、なぜ台風のたまごが生まれやすくなるのでしょうか。

広瀬気象予報士:
高気圧自体が、低気圧・台風を発生しないように抑制するパワー、蓋のようになっています。高気圧の蓋が外れているような状況なので、次々と台風(熱帯低気圧)が発生しやすい状況になっています。

井上キャスター:
その上、海水温が高いために発達しやすくなるということですね。

広瀬気象予報士:
2023年からの猛暑の影響が続き、海水温が高くなっていて海が湯たんぽ状態になっています。日本海も含めて、日本周辺にも平年と比べて4度ほど高くなっている海域もあります。

海の状況だけではなく、風がどのように吹くかということも台風の発達に影響しますが、どこから風が吹いても雨雲が発達しやすいので、日本海にも吹き返しの風が吹いて大雨となるおそれがあります。

==========
<プロフィール>
気象予報士 広瀬駿さん
1989年愛媛県生まれ
気象予報士・防災士・健康気象アドバイザー
横浜国立大学大学院で台風を研究

ハロルド・ジョージ・メイさん
プロ経営者 1963年オランダ生まれ
現パナソニック・アース製薬の社外取締役など

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