文豪ヘミングウェイは猫を愛していました。とくに多指症の猫を好み、繁殖させて増やしていったのです。彼の自宅を改造した博物館には、多指症の猫を含め60匹の猫たちが手厚い世話を受けて暮らしています。
多指症の猫への特別な愛着
アーネスト・ヘミングウェイは20世紀の偉大なアメリカ人作家でジャーナリストでした。彼はハンターや漁師としても活躍したのです。しかし特筆すべきは、彼が大の猫好きだったということでしょう。
しかも彼のお気に入りは「多指症の猫」でした。これは足に通常(前足の指5本、後ろ足の指4本)より多くの指を持つ奇形なのですが、それ以外はまったくほかの猫と変わりがありません。
1961年7月2日に亡くなるまでに、フロリダ州キーウェストやキューバの自宅で彼は合計約200匹もの猫を飼っていました。
彼はなぜ多指症の猫を好んだのでしょうか。それは彼の情熱と関心が「航海すること」だったことと関連しています。
多くの船乗りが「多指症の猫は、船に幸運をもたらす」と信じています。あるときヘミングウェイの好みを知った地元のStanley Dexter船長が、彼に6本指の猫をプレゼントしました。その猫は「Snow White」と名づけられ、ヘミングウェイ一家と暮らし始めました。彼はこの猫を地元の猫たちと交配させ、多指症の遺伝子を持つ一族を繁殖し始めたのです。
博物館には60匹の猫たちが生活
現在、キーウェストにある「ヘミングウェイ・ハウス」は博物館になっています。ここを訪れた人々は、遺品を観察しながら彼の人生や作品について学ぶことができます。
敷地内には今でも猫が徘徊していますが、約半数が多指症の猫たちです。もちろんSnow Whiteの子孫もいます。ふつうに見える猫も、実はDNAに多指症遺伝子をもっています。つまり、4本指や5本指の猫でも、将来6本指の子猫を産むことがあるのです。
ここには約60匹の猫が暮らしています。メス猫には1匹だけ出産させ、その後は全体の数を維持するために避妊手術をするそうです。
耳ダニ駆除、ノミ駆除、駆虫などの日常的な処置は獣医が行います。あわせて毎年のワクチン接種や、定期的な健康管理も行なわれていて、猫たちは日々幸せに暮らしているのです。
有名人の名前をもつ猫たち
ヘミングウェイが生前に望んだとおり、猫たちには今でも作家や大統領など、有名人の名前がつけられています。たとえば「Hairy Truman」(毛むくじゃらのトルーマン。Harry Truman大統領をもじっています)といったように。
2003年になって、来館者が猫の福祉を心配して政府に苦情を申し立てたため、連邦政府が猫の管理を担うことになりました。
2017年にはハリケーン「Irma」のために猫の一部がこの場所から避難したこともあります。このとき避難できずに博物館に残った猫を10人のスタッフが世話をしながら守ったため、最終的にすべての猫が無事にハリケーンを乗り切ることができました。
ヘミングウェイ・ハウスで猫が亡くなると、裏庭に埋葬されることになっています。猫たちの小さな墓には、それぞれコンクリートの墓石が立てられています。
出典:
・Ernest Hemingway’s Cats
・Our Cats
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