「スポーツハラスメントZERO協会」がスタート

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2024-08-26 14:29
「スポーツハラスメントZERO協会」がスタート

“スポーツハラスメント/スポハラ”とは…

“スポーツハラスメント”
思い浮かぶのは…例えばサッカーやラグビー、野球などのチームで、監督やコーチなど指導者が選手に対して、殴る・蹴るといった暴力を振るったり、「バカ野郎」「死んじまえ!」みたいな暴言を吐くことだと思います。

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それだけではなく、無視するとか依怙贔屓をするとか、試合で出場させないなどの行為も、“スポーツハラスメント/スポハラ”の範疇です。

また、加害する側は指導者とは限らず、チームメイトや先輩だったり、更には親など保護者の場合もあります。

スポハラが大きな問題となったのは、2012年12月に、大阪市立桜宮高校で2年のバスケットボール部主将の男子生徒が、顧問の体罰を苦にして自殺した事件がきっかけでした。

翌2013年には日本スポーツ界は「スポーツ界における暴力行為根絶宣言」を採択しました。

しかし、今年3月に発足した「スポーツハラスメントZERO協会」代表を務める、法学者の谷口真由美(たにぐち まゆみ)さんは未だに問題が解決していないと、指摘します。

谷口さんは2019年から21年までは、日本ラグビーフットボール協会の理事を務めたこともあります。

一般社団法人スポーツハラスメントZERO協会 代表 谷口真由美さん
「10年以上、スポーツハラスメントをなくしましょうという啓発活動をしてきたんですけど、功を奏したのかと言われると、少し疑問があって、やはり件数が増えている側面もあるんですね。それは可視化された部分もあるんですけども、それにしてもなくならないということは非常に問題だなというふうに思って、これは啓発だけだとどうもこうもならないと思い、特に大人の方がですね、勉強し直す機会ということで、“検定制度”とかを作って、アップデートしていった方が良いんじゃないかということで、スポーツハラスメントZERO協会を立ち上げました」

「検定」で何を問うのか?

「スポーツハラスメントZERO協会」による第1回の「検定」は、今年の秋の実施を目指して動いているのですが、その例題として次のような問題を、ホームページに上げています。

~大切にされたい。大切なものを奪われたくない。そんな「あたりまえ」を、私たちにもたらしてくれるものは何でしょうか?あなたの考えに最も近いものを教えてください~

(1)「自由」
(2)「社会的地位」
(3)「富」
(4)「人権」


「スポーツハラスメントZERO協会」の回答としては、4番の「人権」です。

これまで“ハラスメント”に関しての教育では、“ハラスメント”とは何か?からスタートしたのですが、そもそも根本的な“人権”というものに対しての意識がないと、知識が入っていかないだろう。まずは“人権”とは何か?から積み上げていこうというわけです。

その上で、「検定」に仮に合格したとしても、1年に2~3回程度は、「協会」で用意するオンライン講座を受けたり、3年後には“リフレッシュ”という形で、「検定」を受け直す体制になっています。

“スポハラ”に関しての考え方は日々アップデートされているので、それをちゃんと追っていけるようにして欲しいというわけです。

このように「人権の尊重」を中心に据える「スポーツハラスメントZERO協会」は活動の指針に、「3つの心がまえ」を掲げています。

一般社団法人スポーツハラスメントZERO協会 代表 谷口真由美さん
「大事にしている私たちの指針がありまして、一つ目が『裁かない』なんですね。私たちは別に裁判所でなければ捜査機関でもないので…。もう一つ、『居場所になりたい』というのがあるんですけど、皆様の居場所になれるような団体でありたいと思っています。3つある指針のもう一つが、『誰もが被害者にも加害者にもなる』。私たちがアプローチするのは、『あなたが悪い』ではなくて『構造が悪い』という、構造のアプローチなんですね」

1つ目の「裁かない」
加害者を「裁かない」、でも擁護するというわけではない。
きちんと自分で考えてもらって、行動変容を起こしてもらいたいという考えによります。

次に挙げた「居場所になりたい」
スポハラに苦しんでいる人、傷付いている人から、加害者になってしまったけれど、やり直したい人まで寄り添って居場所になるということです。

最後の「誰もが被害者にも加害者にもなりうる」
「加害者」はかつての「被害者」だったかも知れず、また「被害者」が「加害者」になってしまうこともあるわけで、その人が「良い」「悪い」ではなく、なぜ起こるのか?その「構造」にアプローチしていこうということです。

「スポーツハラスメントZERO協会」の目指すところ

「スポーツハラスメントZERO協会」では“検定”だけでなく、スポーツチームなどを対象とした講座なども行っていきます。

先日は、埼玉県をホストエリアとするラグビーチームが設立した、中学生を対象としたユースチーム「ワイルドナイツジュニアユース」の選手たちとその保護者合わせて40名ほどを対象にした講座を実施しました。

その際の様子について、「ワイルドナイツジュニアユース」代表の三宅敬(みやけ たかし)さんに聴きました。

「ワイルドナイツジュニアユース」代表 三宅敬さん
「谷口さんのトーク術もありますけれども、子ども達非常に真剣に聞いてまして、皆さん非常に内容の濃い1時間を過ごしていただいたと思っています。やはりそのスポーツハラスメントというものに対して、真摯に取り組む私たちのチームにとって、安心できるチームに預けられたということもおっしゃっていましたし、ここまでわかり易く深く学んだことはなかったので親御さんたちは『学び直しになった』と話していました」

少子高齢化が進む日本社会の現状を考えると、旧態依然とした“スポハラ”が行われているような団体や競技は、今後参加者が離れてしまうことが考えられます。
須く変わらざるを得ないというわけですね。

最後に谷口さんに、「協会」の目標を伺っています。

一般社団法人スポーツハラスメントZERO協会 代表 谷口真由美さん
「私たちは“解散”を目指す団体なんですね。私たちがスポーツハラスメントが日本からなくなったら明日解散しようという風に思っているので、長く続ける団体になりたくないっていうのが、夢なんです。だからなるべく検定とかで、理解する方が増えて、で早めに解散したいっていうのを目標に掲げています」

(TBSラジオ「人権TODAY」担当:松崎まこと(放送作家/映画活動家))

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