「3~4割ほど価格上昇」待望の新米流通も 大幅値上げ、「概算金」上昇 背景に円安・集荷競争【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2024-09-03 21:33

スーパーなどでお米の品薄状態が続く中、待ちに待った「新米」が流通し始めました。
ところが、今年のお米、例年になく 高騰しているようなんです。

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9月20日ごろから“品薄状態”は解消か 昨年比+1000円の店舗増える

良原安美キャスター:
新米の季節がやってきました。

今年の新米について、日本米穀商連合会の相川英一専務は、猛暑や台風など天候の影響は少なく、順調に流通し始めているといいます。

さらに9月20日ごろからは、新潟や秋田などの新米が全国に流通し始める。今の品薄状態は解消していくのではないかということでした。

しかし、新たな心配事が出てきました。

きょう(9月3日)、番組スタッフが都内で買ってきた佐賀県産コシヒカリ(5kg)は3700円でした。去年は2925円と、800円近く値上がりしていることになります。

相川専務によると、1000円から1200円ほど値上がりしている店舗が多いということです。

井上貴博キャスター:
去年の価格と比べると結構上がっていることが多いですが、去年(2023年)はまだコロナ禍で需要が減って、値段が下がっていた。ある程度コロナ禍前を考えると、戻った銘柄もあれば、少し上がっているメーカーもある。その辺りをどう見るかですね。

元競泳日本代表 松田丈志さん:
先日、茨城に行ったときにお米を買ってきたという話をしましたが、そのとき一緒に行っていた女性の方とも「高いですよね」という話になりました。でも買わないとしょうがないので、やむを得ず買いましたけど、値段は上がっているなと実感はすごくあります。

ホラン千秋キャスター:
猛暑や台風など天候の影響はないけれども、「高いまま推移しそう」ということには理由があるわけですよね。

「1俵(60kg)あたり3000円上乗せ」 値上がりする概算金=価格の基準

良原キャスター:
なぜ高騰しているのか、終わりはいつやってくるのか、まずはコメの主な流通経路から見ていきます。

生産者から、各地域のJAなど集荷業者を経て、御売業者、小売業者なども経て、消費者の元に届きます。

その際に、集荷業者が出荷の際に、手数料などを差し引いた前払い金を支払っています。これを「概算金」といい、消費者が買う際の価格の基準になっています。

そして、概算金が値上がりしているというわけなんです。

実際に主要産地で引き上げられています。

【概算金 主要産地で引き上げ】
・新潟県 コシヒカリ 1万7000円 昨年比+3100円
・北海道 ゆめぴりか 1万7500円 昨年比+3900円
・北海道 ななつぼし 1万6500円 昨年比+4000円
・秋田県 あきたこまち 1万6800円 昨年比+4700円
※1俵(60kg)あたり 「JAcom農業協同組合新聞」より

例えば、新潟県の「コシヒカリ」は昨年比で3100円の引き上げ、北海道の「ゆめぴり」は3900円、同「ななつぼし」は4000円、秋田県の「あきたこまち」は4700円の引き上げとなっています。

日本米穀商連合会 相川英一 専務
「例年100円単位で上下するが、1000円単位の上昇は異例」

なぜここまで概算金が高騰しているんでしょうか。

ホクレン農業協同組合連合会によると、長引く円安などを背景に、肥料、燃料、農薬、農業機械などが10%以上値上がり(生産コストの上昇)しているそうです。

他の理由として、コメを集めるためにJA以外の業者が概算金を吊り上げて、これに足並みを合わせるようにJAも吊り上げざるを得ないなどの動きも出ているといいます。

また、概算金と別の動きがあると、北海道の農業関係者はいいます。JAグループのホクレンが農家に「早めの出荷」を呼びかけているそうです。

9月中に出荷すると、1俵(60kg)あたり3000円上乗せするとしています。やはり消費者の価格にも影響してきているわけです。

10月ごろには在庫過多か

良原キャスター:
では、いつまで高騰するのでしょうか。

日本米穀商連合会の相川英一専務によると、▼年内に価格は落ち着く見込みだといいます。ただ、去年より価格が高い状態が今後も続いていくだろうということです。

そして10月ごろには、▼品薄が解消して、▼新米を買わなくなって今度は在庫過多になるのではないかということです。価格をギリギリまで下げざるを得ない店も出てくるとみているそうです。

しばらくは消費者も、売る側もそわそわする状況が続きそうです。

井上キャスター:
今回の品薄問題もそうですが、コメは年単位や長期契約している小売店が結構ありますよね。でも、その都度購入している短期契約の店だと一気に品薄になる。その濃淡にかなり差がありました。結局、長い目で見ると、適正価格に落ち着くんだろうと思います。

元競泳日本代表 松田丈志さん:
やはり日本人にとって主食なので、安定的に供給できる状態は誰もが求めています。

コロナ禍との違いでいうと、インバウンドが好調で海外の方もたくさん日本に来てコメを食べていますし、おにぎりもブームになっている。そして、海外の方もコメ自体が健康で体に良い食べ物という認識を持っているので、ニーズは以前より増えているのではないかと思います。

ホランキャスター:
価格が安定しないと、買う側も、売る側も、生産する側も、本当に大変な状況だと思います。

今はコメがなくて大変と言われていますが、10月には供給過多になるという話もあって、計画が立てづらいですよね。

井上キャスター:
米農家も大変な状況ですよね。

元競泳日本代表 松田丈志さん:
ただ、新米が順調にできているのはちょっと嬉しいですよね。

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<プロフィール>
松田丈志さん
元競泳日本代表 五輪4大会出場 4個のメダル獲得
JOC理事 宮崎県出身 3児の父

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