第二次世界大戦中、ドイツとイギリスの両海軍に属して艦船に乗り、3回沈没したものの生き延びて活躍を続けた猫がいます。その名は「不沈のSam」。彼の名声は80年を経た現在も語り継がれています。
ネズミ退治のために乗船
第二次世界大戦中に船に乗り、3回沈没したものの、いずれの場合も生き残ることができた有名な猫「不沈のサム」をご存じですか?
「オスカー」という別名をもつこの白黒猫は、ドイツ海軍と英国海軍の両方に所属した経験のある、ユニークな存在でした。
ドイツの戦艦「ビスマルク」の乗組員が、おそらくネズミ退治のために猫を戦艦に持ち込み、重巡洋艦「プリンツ・オイゲン」とともに、連合国からイギリスへの通商破壊を目的とした「ライン演習作戦」のために出航したときも、その猫が乗船していました。
ビスマルクは2日間にわたる激しい戦闘の末、5月26日に英国軍艦の砲撃を受け、翌日の交戦により沈没しました。2200人以上いた乗組員のうち生き残ったのはわずか115人でした。
救助され英国海軍へ
沈没から数時間後にイギリス駆逐艦「コサック」の乗組員が海に浮かぶ板の上に猫がいるのを発見し、救助しました。そしてこの猫を、国際信号符号の「O」(Man Overboard:落水者の略)にちなんで「オスカー(Oscar)」と名づけたのです。
オスカーはそのままコサックに乗艦し、北大西洋と地中海で船団護衛任務に就くことになりました。1941年10月24日、この船はジブラルタルからイギリスへ移動する船団を護衛中に、ドイツの潜水艦U-563の攻撃を受け、破損してしまいます。このとき159人の乗組員が死亡しました。
静かな余生を楽しんで…
しかし幸運なことに、オスカーは生き延びて駆逐艦「レギオン」に移されました。すでに当時「不沈のサム」として有名だったこの猫はその後、航空母艦「アークロイヤル」に移されました。
1941年11月14日にマルタ島から戻る途中、この船はUボートの魚雷を受けて大きな損傷を被り、ゆっくりと沈んでいきました。オスカーと乗組員たちは、海に浮いた板にしがみついているところを救助されたのです。
このときオスカーは「すごく機嫌が悪かったものの、まったく無傷だった」そうです。その後もこの猫は ライトニングやレギオンに乗船しましたが、やがて引退してジブラルタル総督のもとに送られた後、イギリスに渡り、ベルファストにある船員の家で静かな余生を過ごし、1955年に亡くなりました。
「不沈のサム」の伝説は、まさに「猫は9つの命を持つ」ことを証明するかのようですね。
出典:The Legend of Unsinkable Sam: Did This Death-Defying Cat Really Exist?
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