就任から8日、石破総理は宣言通り衆議院を解散し、事実上の選挙戦が始まりました。「解散詔書、見たことある?」と驚く閣僚に、自民党幹部からの突然の「非公認」通知に「いい加減にしろ」と憤る人も…。“戦後最短”の解散の裏で起きていたこととは。
【写真を見る】「解散詔書、見たことある?」紫色の袱紗に包まれた解散詔書
引退の二階氏「派閥は悪くない」戦後最短で衆院解散
閣僚が待機する部屋に丁重に運び込まれた紫色の袱紗(ふくさ)。
包まれているのは「解散詔書」です。
村上誠一郎 総務大臣
「解散詔書ってあれですか。みなさん見たことある?」
「ない」「ない」「ない」
この詔書を議長が読み上げた瞬間に、衆議院の解散となります。
額賀衆院議長
「日本国憲法第7条により衆議院を解散する」
ヤジ
「7条?」「第何条だ!」
「おかしい!」「何条だ!」
戦後最短となる、総理就任からわずか8日での解散。この瞬間、衆院議員は全員失職し、議員バッジを外しながら議場を出る人も。
「ここで外すのか」
「外すと国会の中歩けない」
初当選から40年以上。二階元幹事長も9日をもって引退となります。
自民党 二階俊博元幹事長
「政治に金をかけようと思っている人は誰もいないんですよ。そんな博打打ちみたいなこと考える人は誰もいないんです」
派閥の政治資金パーティーをめぐり、3526万円が不記載となっていた二階氏。
派閥の元会計責任者らが立件された責任をとり、不出馬を表明。処分は見送られました。
裏金事件後、ほとんどの派閥が解散を決めましたが...
自民党 二階俊博元幹事長
「世間的にいろいろご批判を受けるようなことを取り除いていけば、派閥は何も悪いことでもなんでもない」
“裏金議員”非公認の線引きは?
異例の早期解散に踏み切った石破総理。
9日夜、会見でこう強調しました。
石破総理
「この解散は『日本創生解散』。日本の社会の在り方を根本から変えていく。そのための取り組みに対して国民のご信任を賜りたい。勝敗ラインは自民党・公明党で過半数を目指したい」
9日から事実上スタートする選挙戦。
自民党は西村元経産大臣や萩生田元政調会長など、重い処分を受けたいわゆる裏金議員6人を非公認とする方針でしたが、このリストに新たに6人を追加しました。
【重い処分を受けた裏金議員】
100万円不記載 西村康稔氏
476万円不記載 下村博文氏
1019万円不記載 高木毅氏
2728万円不記載 萩生田光一氏
1817万円不記載 平沢勝栄氏
2954万円不記載 三ッ林裕巳氏
【非公認に新たに6人追加】
1860万円不記載 中根一幸氏
1289万円不記載 菅家一郎氏
1240万円不記載 小田原潔氏
564万円不記載 細田健一氏
220万円不記載 今村洋史氏
84万円不記載 越智隆雄氏
【非公認】安倍派・564万円不記載 細田健一氏
「朝、報道で知ったんですけども相当びっくりしたのが正直なところ」
Q.党から非公認に関して何の連絡もない?
「ないですね」
Q.解散当日の決定のタイミングは?
「正直勘弁してほしいと思いますね。正直いい加減にしろという気持ちはありますけど」
Q.ポスターも準備していた?
「当然です」
【非公認】安倍派・1240万円不記載 小田原潔氏
「記者から『ひどいですね』とショートメールが来て『何ですか?』と聞き直して、そういうことかと気付いた。その1時間後、幹部からお電話で通知を受けました。(幹部からは)自分の人間関係で選挙応援を頼む場合はよしなにやって聞かなかったことにすると。(非公認の)理由は説明は受けていません」
裏金議員はほかにもいますが、どこで線引きされたのでしょうか。
石破総理
「党においていかなる処分受けたか、どのような金額であったか、選挙区においてどれだけ信任いただいているか、総合的に判断をした」
党首討論 石破総理 “裏金議員”当選したら「公認ある」
解散に先立ち行われた党首討論でも、裏金事件への対応が厳しく問われました。
立憲民主党 野田佳彦代表
「いわゆる裏金議員、結局12人が非公認ということになりました。『相当程度非公認』と総理はおっしゃっていたと思います。『相当程度非公認』なんでしょうか?公認される人は30人を超えるんじゃないですか?正確な日本語で言うと『相当程度が公認』じゃないですか?もっと正確に言うと『大半が公認』じゃないですか?」
石破総理
「裏金っていうのは、私は決めつけだと思っています。不記載ということであって。大変つらい決断ではございましたが、公認しないという方を出しました。それが少ないとおっしゃいますけれども、それがどれほど厳しいものであるか、それぞれの人にとって、どれほどつらいものか、よくよく判断をした上のことでございます。最終的な判断は主権者たる国民の皆様方にお任せをいたします。しかし、私はこれが甘いとかいい加減だとか、そのようなことを一切考えておりません」
立憲民主党 野田代表
「非公認で立候補された場合、当選しますよね。追加公認されるんですか?」
石破総理
「全ての国民の代表者としてふさわしいと主権者たる国民の皆様方がご判断をされた場合には、それは公認するということはございます」
立憲民主党 野田代表
「早く総選挙をやって、みそぎを終わらせて、早く要職につけようというお考えだと私は思いました」
派閥による裏金作りがいつから始まり、何に使われたのかなど、明らかになっていないことは多くあります。
野田代表は再調査を行うよう迫りました。
立憲民主党 野田代表
「何度も何度も新しい事実が出てきたら再調査するとあなたは言っています。再調査すべきじゃないですか」
石破総理
「これから先、再調査ということも全く否定をするものではございません」
立憲民主党 野田代表
「再調査もしないでうやむやにして、早く解散をすると。裏金隠し解散じゃありませんか」
政策活動費について「使いみちには心して臨みたい」
続いて質問に立った日本維新の会の馬場代表は…
日本維新の会 馬場伸幸代表
「総理は総裁選の前・最中には、すぐに解散はやらないとおっしゃった。自分が総理になれば予算委員会を開いて、この日本の国内外の大きな課題を議論したいとおっしゃった。それはどこかにいってしまった。政策もそうですよ」
石破総理
「私どもは独裁政党ではございません。総裁が代表はこうだから、それがそのまま政策になるわけではございません」
国民民主党の玉木代表がただしたのは、政党から各議員に支給され、使い道を公開する義務がない「政策活動費」についてです。
国民民主党 玉木雄一郎代表
「この選挙に関して、1円も政策活動費は使わないと明言してください」
石破総理
「適法な範囲内において、現在許されております政策活動費を使うということは、可能性として否定はいたしません」
国民民主党 玉木代表
「これだけのことを自民党は起こしておいて、政治の透明性や資金の透明性や、政治の公平性ということが問われる中で、自民党は公開義務のかかっていない何十億と言われるお金を使って、間もなく始まる選挙を戦うんですか」
石破総理
「自民党は何でもやるのかというような指弾を浴びることがないよう、私自身、お金の使いみちには心して臨みたいと思っております」
共産党の田村委員長は、賃上げに向けて中小企業への支援が必要だと訴えました。
共産党 田村智子委員長
「これだけの物価高ですから、政治の責任でどうやって賃上げを進めるのか。中小企業への直接の支援。ここがカギだ、必要だ、不可欠だと思いますがどうでしょうか」
石破総理
「私どもは全体主義国家ではございませんので、社会主義国家ではございませんので、政府が主導して、そこに直接お金を払うやり方が必ずしも正しいと私は思っておりません」
衆議院選挙は15日公示、27日投開票です。