猫の寿命はさまざまな要因で決まりますが、近年、『品種』でも異なることが発表されました。そこで今回は、品種別に見る「猫の平均寿命」について解説します。具体例として3つの猫種の平均寿命と、少しでも長生きしてもらうためにできることを紹介します。
1.バーミーズ
イギリスの研究チームが発表した論文によると、最も長寿な猫種は『バーミーズ』なのだそうです。
シャムとバーマンを交配して作出されたバーミーズは、丸みを帯びた頭部と短毛が特徴の猫種です。日本では知名度が低いものの、アメリカではペルシャやシャムに並ぶほど親しまれています。
分析されたのは約8000匹の飼い猫で、全体の平均寿命は11.74歳だったとのこと。12品種の猫種が調査の対象となりましたが、その中で最も平均寿命が高かったのが『バーミーズ』の14.43歳でした。「平均よりも約2.69歳長生き」という結果は、猫の寿命においては小さなものではないと言えます。
ちなみにバーミーズには、元となった『アメリカンバーミーズ』と、より毛色のバリエーションを増やした『ヨーロピアン・バーミーズ』の2種類があります。体質は異なりますが、今回は1つの品種として分析しているようです。
2.ペルシャ
日本でもよく知られる『ペルシャ』の平均寿命は、10.93歳です。全体の平均寿命11.74歳と比較すると、やや短めといえます。こちらも前述の研究チームが発表した結果ですが、全品種の比較表の中ではちょうど真ん中にあたります。
高貴な長毛と潰れたような鼻が特徴のペルシャは、「最も古い歴史を持つ猫種」としても有名です。アフガニスタン土着の猫をイギリスで繁殖させたことは分かっているものの、それ以前の起源については今もって謎に包まれています。
ちなみに猫種の中でも、短毛より長毛の方が寿命が短いというのはよく知られた話です。これは長毛種の方が毛玉症になりやすいことが影響していると言われています。また、日本においては熱中症にも気を付けたいところです。
3.スフィンクス
論文によると、猫種の中で最も短命だったのが『スフィンクス』でした。その平均寿命は6.8歳と、全体の平均寿命よりかなり短命です。スフィンクスは世界的に人気の猫種のため、意外に感じた人も多いかもしれません。
スフィンクスは人工的に作出された猫種であり、遺伝子に異常を残したまま広く流通してしまったことが原因とされています。先天的な心臓疾患や筋疾患のリスクが高い傾向があり、これらの遺伝的な要因が短命につながっていると考えられます。
短毛の猫種の方が長毛の猫種よりも長寿の傾向があると前述しましたが、スフィンクスは「無毛」です。これは劣性遺伝により発生した突然変異によって誕生したもので、この点を短命と紐づける声もあります。
健康寿命延伸のためにできること
品種で寿命が変わることが分かりましたが、だからといって短命の品種の猫すべてが長生きできないわけではありません。
まず、去勢・避妊手術の有無が寿命に影響することが分かっています。去勢・避妊手術をした猫は、全体の平均寿命と比べると1.07年長生きするという結果が出ているのです。
また、肥満体型の猫が標準体型の猫より短命であることは想像に難くないでしょう。痩せすぎにも同じことが言えます。
愛猫に去勢・避妊手術を済ませ、適切な食事管理によって体重をキープすることで、愛猫の寿命を延ばせる可能性があるということですね。
その他に、無添加キャットフードを与える、ストレスのない生活をサポートするなど、寿命を延ばすために飼い主が尽力できることはたくさんあります。
まとめ
猫種による寿命の違いが判明したことで、心配が増えたという方もいるかもしれません。しかしこの研究はシニア期におけるそれぞれのリスクの差を示すものであり、より愛猫に適した環境を与えられるとも言えます。
愛猫と過ごせる時間が有限であることを意識し、幸せな暮らしをサポートしてあげてください。
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