飼い主さんが脱ぎ捨てた服、あるいは飼い主さんが着ている服の中に猫が入り込み、くつろいでいることがあります。服の中は暗くて狭い、あまり居心地の良さそうな場所ではありません。脱ぎ捨てられている服であればまだ分からなくもありませんが、着ている服の中では窮屈だし自由も利きません。なぜ猫は飼い主さんの服に入りたがるのでしょうか。
猫が服に入りたがる?
大抵の猫は、家の中の許された範囲内という規制はあるものの、自分が過ごす居場所を自分の意思で決められます。
そのため、猫は「家の中で最も居心地の良い場所を見つける天才」だと称されているほどです。
猫が自分の居場所を決める基準は、「安全」であることと「快適」であることでしょう。安全で快適な場所だからこそ、安心してくつろげるのです。
ところが不思議なことに、あまり快適だとは思えない、飼い主さんの服の中で過ごしたがる猫がいます。
猫が飼い主さんの服に入るシーンとして挙げられるのは、下記の2パターンです。
- 脱ぎ捨ててある服の中に入る
- 着ている服の中に入る
いずれの場合も、その服の中は猫にとって「安全」で「快適」な場所なのだということでしょう。
それでは、飼い主さんの服の中のどの要素が、猫に「安全」で「快適」だと思わせるのかを考えてみましょう。
猫が飼い主さんの服に入りたがるときに考えられる理由
1.暖かい
たとえ脱ぎ捨てられていても、服の中は暖かいものです。
特に気温の低い冬であれば、ウール、ダウン、フリースといった暖かい素材の服が多く、中に入って全身を生地に覆われることで、ぬくぬくと過ごせます。
暑い夏でも、冷房が効きすぎている場合などは服の中で暖を取る猫も現れることでしょう。
2.狭い
猫の体格と比べれば飼い主さんの体は大きいですが、服の中となるとやはり狭い空間になります。
しかし猫は、自分の体がフィットするような狭い空間を好み、安心します。服の中のフィット感が、猫には心地よく落ち着けるのでしょう。
3.安心できる
猫が狭さ以上に心地よく感じる要素に、ニオイがあります。
自分や一緒に暮らす飼い主さんのニオイを嗅ぐと猫は安心し、見知らぬ人や動物のニオイがすると警戒心します。
そのため飼い主さんが脱ぎ捨てた洋服や着ている洋服の中は、飼い主さんのニオイに満ちていて安心できるのでしょう。
4.拘束されない
飼い主さんを信頼している甘えん坊の猫でも、抱かれることはあまり好みません。拘束され、自由が利かなくなるからです。
そのため、脱ぎ捨てた服にだけ入る猫は、暖かくて狭くて落ち着けることに加えて、「拘束されない」から居心地良く感じているのでしょう。
5.楽しい
逆に、脱ぎ捨てられた服よりも飼い主さんが着ている服の中にばかり入りたがる猫もいます。
その猫は、以前飼い主さんが着ている服の中に入り込んで楽しかった経験をしたことがあるのかもしれません。
着ている服の中に入り込まれた飼い主さんが、喜んだり可愛がってくれたりといった好意的な反応をしてくれたことを覚えていて、また飼い主さんと一緒に楽しみたいという気持ちで入り込んでいるのだと考えられます。
愛猫の行動パターンを変えたいなら試してみよう
着ている服の中に入ってきて欲しい場合
もし、愛猫に着ている服の中に入ってきて欲しいのであれば、次のことに気を付けて接してみてください。
- 着ている服の中に入るチャンスを積極的に作る
- 入ってきた猫に対して、抱きしめて離さないなどの「拘束」を行わない
- 猫が出たがったらすぐに出してあげる
着ている服の中に入ってきて欲しくない場合
- 猫が着ている服の中に入ろうとしたら、すぐに立ち上がる等の対策で阻止する
- もし猫が服の中に入ってしまった場合は、構わずに無視する ※叱ったり騒いだりすると、「喜んでいる」と勘違いされることがあるため注意しましょう。
寂しがり屋の高齢猫への対処
よく着ている服の中に入って甘えていた猫も、高齢になると足腰が弱り、服の中に入れなくなる日がきます。
寂しそうに鳴いて甘えたそうにしている様子を見ると、できるだけ体に負担をかけずに身近にいさせてあげたいと思う飼い主さんもいらっしゃるでしょう。
そのような場合は、愛猫に負荷をかけずに抱っこしたまま両手をフリーにして過ごせるペットスリング(ペット用の抱っこ紐のようなもの)を活用してみるのも良いでしょう。
まとめ
猫が飼い主さんの服の中に入りたがる理由をご紹介しました。
脱ぎ捨てた服に入りたがったり、着ている服に入りたがったりなど、猫の性格や飼い主さんのライフスタイルなどによって猫の反応もさまざまです。
服の中に入るか入らないかで、猫の飼い主さんへの愛情が測れるわけではありません。
他の猫の行動と比べるのではなく、愛猫と飼い主さんならではの特別な絆を結び、双方にとって幸せなコミュニケーションを図れるのであれば、それが一番幸せな形なのだと思います。
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