きょう10月19日は、「TOEICの日」。
英語学習初級者から中級者を対象とした、日常生活における活きたコミュニケーションに必要な、“英語で聞く・読む能力”を測定するテスト「TOEIC Program」を日本で実施・運営する国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)は、インバウンド需要が高まる日本国内で、おもてなし事業者に限らず、広く訪日外国人観光客へのおもてなしの輪を広げることを目的として、おもてなしの意思表示マークを活用した実証実験「I’m Omotenable! プロジェクト」を、訪日観光客でにぎわう鎌倉市内で実施した。
混雑緩和、英語でおもてなし
鎌倉市では、連日訪れる多くの訪日外国人観光客でにぎわういっぽう、混雑緩和が課題だった。
鎌倉駅前を中心に、道に迷った訪日外国人観光客が滞留する現象が起こり、鎌倉市・鎌倉市観光協会は、4月から多言語ボランティアガイド事業をスタートした。
今回、鎌倉市観光協会も協力し、鎌倉市内で「英語に自信はないけど積極的におもてなしに携わりたい人」におもてなしの意思を表す「Omotenableマーク」を着用し、訪日外国人観光客に英語でおもてなしに挑戦。
持続可能な観光地域づくりの一助を担うことをめざした実証実験が、この「I’m Omotenable! プロジェクト」というわけだ。
声をかけるきっかけに
ボランティアたちは、事前に英語学習初級・中級者向けのTOEIC Bridge® Listening & Reading Tests(以下、TOEIC Bridge L&R)を受験後、実証実験に参加。
この実証実験では、鎌倉駅前や小町通りを中心に、「Omotenableマーク」を着用し、合計11名の訪日外国人観光客へおもてなし。
「Omotenableマーク」とともに声をかけることで、スムーズにおもてなしの心が伝わり、観光地までの行き方など、訪問外国人観光客の困りごとを積極的に話してもらうことができた。
また、「Omotenableマーク」を着用することで、声をかけるきっかけをつくれるなど、相手とのコミュニケーションを円滑にしてくれる存在にもなることがわかった。
鎌倉駅は迷うインバウンドでいっぱい
当日は秋晴れの中、合計6名のボランティアが協力し、「I’m Omotenable! プロジェクト」を展開。
日本人・訪日外国人ともに多くの観光客が鎌倉を訪れ、歴史的遺産や街並み、グルメなどを楽しみ、にぎわっていた。
実証実験は鎌倉駅の西口前からスタート。バス停をはじめ、鶴岡八幡宮や小町通りといった人気の観光地は、鎌倉駅の東口にあることもあり、西口では、訪日外国人観光客が目的地へ向かうためにどちらの方向へ向かったらよいか迷っているようす。
たちまち笑いがあふれて……
そこでボランティアスタッフが訪日観光客に声をかけ、着用している「Omotenableマーク」の意図を説明すると、マークに書かれた「May I help you?」の文字に安心し、案内だけでなく、互いの文化交流まで会話が広がり、たちまち笑いがあふれて……。
もっとおもてなしを流暢にしたい
小町通りでは、「あいざ鎌倉」の「甘味処 こまち茶屋」や「花ほのお鎌倉-焼肉ジャンボProduce-」、「おもちゃのちょっぺ~」のほか、鎌倉エリアを人力車で案内する「人力車えびす屋 鎌倉店」も協力し、「Omotenableマーク」を着用し訪日外国人観光客へおもてなし。
普段からジェスチャーも使いながら英語でもてなすボランティアたちも、このプロジェクトを通して「もっとおもてなしが流暢にできるようになりたいと思いました」という気持ちに。
また、「Omotenableマーク」をきっかけにコミュニケーションが生まれる瞬間もあり、まさに訪日外国人観光客との架け橋という存在に―――。
参加ボランティアスタッフとして活躍した前橋佑樹さん、人力車えびす屋 鎌倉店 三田野慧さんは、実証実験を終えてこんな想いを伝えた。
もっと外国人と話せるようになりたい
「英語がすごく得意という訳ではないですが、もともと人と接するのが好きだったので参加しました。
今回、鎌倉駅の西口前でおもてなし体験をしました。鎌倉大仏に行きたいという方が多かったですが、バスに乗って向かうためには反対側の東口へ案内する必要があったり、大仏以外にもお寺に行きたいなどアクセスに関する困りごとが多く、慣れない異国の地でお目当ての場所へ迷わず行くことの難しさを改めて感じました。
また、Omotenableマークを見せながら「ホスピタリティ!」と伝えると外国人の方に「Oh! Thank you!!」ととても良い反応をもらえました。
相手から見たときに「この人は助けてくれる人」だということが分かりやすく、自分の気持ち的にもOmotenableマークがあることで声がかけやすかったので、お守りのような存在でした。
1日おもてなしをしてみて、もっと外国人と話せるようになりたいと思うようになったので、海外へ初挑戦するきっかけになった気がします。
また、地元も観光地で訪日外国人観光客 が多いので、ゆくゆくは 魅力を発信して色んな人に知ってもらい、地元に貢献していきたいなと思っています」(前橋佑樹さん)
もっと表現の幅を広げていきたい
「普段から訪日外国人観光客の方と英語で会話をし、鎌倉の魅力をお伝えできるようにおもてなしをしていますが、今回の実証実験に参加し、TOEIC Bridge L&R を受験して自分の点数を改めて知ると、単語や文法、言葉のつなぎ方などを学んで、もっと表現の幅を広げていきたいと感じました。
これからもっと訪日外国人観光客が増えてくると思います。日本はたくさんの伝えるべき魅力がある国だと思っているので、日本人としての誇りを持って、訪日外国人観光客に日本の魅力を伝えたい、おもてなしをしたいと思う仲間が増えてほしいと思っています。
Omotenableマークは人に対する思いやりを形にしたマークとして、その第一歩になってくれるといいなと思っています」(三田野慧さん)
―――そんなボランティアと訪日観光客の姿をみつめていた、鎌倉市観光協会 進藤勝 事務局長と、国際ビジネスコミュニケーション協会 松田隆 総務部 部長も、こんな想いを話してくれた。
少しでも多くの方がおもてなしの気持ちを
「鎌倉市観光協会では鎌倉駅周辺にある2か所の観光案内所と、鎌倉市観光協会の事務所で鎌倉へお越しいただいた方のご案内をしています。
多言語対応ができる職員を配置し、土日祝を中心に困っていそうな方へ積極的に声をかけてご案内したりと、鎌倉の魅力を最大限感じていただけるようお迎えしているのですが、鎌倉は観光資源が多いため、どうしても行き届かないところも多いです。
そのため、少しでも多くの方がおもてなしの気持ちをもって訪日外国人観光客の方に接していただけると、観光協会としてもとてもありがたい話なので、積極的に協力したいと思い、今回の実証実験に参加しました」(鎌倉市観光協会 進藤勝 事務局長)
声をかけるきっかけになれば
「英語が不慣れな方はとくに、困っている人を見かけても自分から声をかけにくいと思っている人が多く いらっしゃると思います。
このプロジェクトを通じて、英語が苦手でも、片言の英語や身振り手振りだけでも、ちょっとした ひとこと によって「私でも役に立つんだな」というところを見て、感じてもらって、少しでも多くの方が「自分もやりたい」と思ってもらえるような、声をかけるきっかけになればいいなと思っています」(鎌倉市観光協会 進藤勝 事務局長)
TOEIC Program が地域に貢献できること
「国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)は「人と企業の国際化の推進」という理念のもと、TOEIC Program を通じて日本人が国際的に活躍するためのサポートを行ってきました。
2024年のTOEICの日は、初級者・中級者向けの日常会話を扱ったTOEIC Bridge Testsをテーマにし、昨年の浅草に続き、TOEIC Program が地域に貢献できることは何かを考え、英語をアウトプットし、コミュニケーションを生み出す施策「I’m Omotenable! プロジェクト」を企画しました」(国際ビジネスコミュニケーション協会 松田隆 総務部 部長)
せっかく身につけた英語を……
「英語学習の一番の課題は、せっかく身につけた英語をアウトプットする場がないことです。
今回の実証実験で、「Omotenableマーク」がおもてなしを受けたい人とおもてなしをしたい人をつなぎ、コミュニケーションのきっかけをつくる架け橋になってくれたと感じることができました。
観光立国日本で暮らしている中で、我々がコミュニケーションの一端を支援できる存在になりたいと思っていますし、今後も活動を広げていけたらと思っています」(国際ビジネスコミュニケーション協会 松田隆 総務部 部長)
英語に触れ、楽しさを感じる機会を
TOEIC Programを実施する国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)は、毎年10月19日を「TOEICの日」と制定し、英語に触れ、楽しさを感じていただけるような機会を創出する施策を展開中。
2024年は、「日本語が話せず、困りごとを抱えた訪日外国人観光客」と「英語に自信はないけれど積極的におもてなしに携わりたい方々」を、インバウンド需要が高まる鎌倉市内でマッチングすることで、持続可能な観光地域づくりの一助を担っていくことをめざした実証実験「I’m Omotenable! プロジェクト」を実施。
今回、協力した人たちからは、訪日外国人観光客とのコミュニケーションにおいて、「Omotenableマーク」という意思表示のマークがあることで、相手へ「おもてなしをしたい・できる」という意思が伝わり、相手からも好意的にコミュニケーションをとってもらうことができた、という声もあり、訪日外国人観光客とおもてなしの意思を持った日本人をつなぐ架け橋としての大きな一歩になったと考える。
IIBC は、同実証実験から得られた知見、参加者から寄せられた声をもとに、今後も英語を使ったおもてなしに関わる活動を行っていくという。