陸上風に言えば、猫の得意種目は短距離走と高跳びです。今回の記事では、高跳び、つまり、ジャンプ力に焦点を当てて解説します。人もうらやむジャンプ力にはどんな秘密が隠されているのでしょうか?ぜひ最後まで読んで、謎を解き明かしてみてください。
猫はビルの2階まで飛べるって本当?
結論から言うと、本当です。ただし、人間を基準にして測った場合に限ります。
猫種や個々の猫の身体能力にもよりますが、猫は体長の約4~5倍の高さまでジャンプできるとされています。実際の数字で示すと、約1.5~2mの計算になります。仮に身長170cmの人間に置き換えれば、ビルの2~3階の高さに相当するわけです。
たとえば、約130cmのサッカー少年が5m以上も飛び上がって、ヘディングシュートします。相手チームの選手たちも当然、同じ高さで競り合います。まるで少年スポーツ漫画の世界です。
そんな場面を想像するだけでも、猫のジャンプ力がいかに驚異的で、ちょっとシュールであるか、よくわかるはずです。
1.サバイバルの武器として進化
猫のジャンプ力は必要に迫られて発達しました。その起源は、猫の祖先、ミアキスの時代までさかのぼります。当時は、大型肉食動物全盛の状況下です。いくら俊敏であっても、油断すれば、まわりの天敵たちに命を奪われかねません。
そこでミアキスは、より安全で、ハンティングしやすい樹上に生活拠点を移します。日々の木登りや木々間の移動は、実践的な筋力トレーニングのようなものです。その積み重ねが、今に続く自慢のジャンプ力につながっているとも考えられています。
ちなみに、ミアキスは、犬と猫の共通祖先と考えられています。ミアキスは「動物の母」という別名も持っており、のちに、草原に進出した者が犬、森に残った者が猫、それぞれに分かれ、現在に至っています。
2.アスリート仕様の後ろ足と背骨
丸く縮んだかと思うと、地面を蹴って、想定外の高さまで一気に飛び上がる。猫がジャンプする様子は、まるで強力なバネ仕掛けのようです。
猫の身体的特徴は、後ろ足の筋肉が発達していることです。特に速筋と呼ばれ、「走る」「飛ぶ」など瞬発系の動きに使われる筋肉の発達が目立ちます。猫が天然のトップアスリートと評されるのは、この速筋にフォーカスして進化してきたからです。
猫のジャンプ力を語るうえで、しなやかで柔らかい背骨も外せません。猫の背骨の数は、人間よりも40本ほど多く、約240本もあります。しかも、骨同士がスムーズに連携し合っているため、伸縮自在です。
驚くべき跳躍力の背景には、バネのようにしなる背骨が大切な役割を果たしています。
3.秘技「空中立ち直り反射」
たとえ高く飛べても、そのたびに着地に失敗したら、話になりません。ハイジャンプと巧みな着地はワンセットです。この点に関しても、猫の能力は突出しています。
空中時の猫は、どんなにバランスを崩しても、身体を巧みにひねり、4本足で鮮やかに着地します。いわゆる「空中立ち直り反射」というもので、別名「猫ひねり問題」と呼ばれる行動です。
落下時の体勢維持で鍵を握るのは、三半規管です。三半規管は、身体の向きを瞬時に感知し、バランスを保つ役割を担っています。猫がヘンな体勢で落ちても、とっさに空中で反転し、ピタッと着地できるのは、発達した三半規管を持っているからです。
まとめ
猫の高い運動能力は、人類史上最速の陸上ランナーでさえ嫉妬するほどです。時速約50kmの脚力に加え、ジャンプ力も驚異的。抜群の能力を誇る裏側には、祖先から続く生態と行動様式、そして身体的構造の独自性が隠されています。
日頃、垣間見せる規格外のジャンプは、これまでの進化のたまものです。おうちにいながらにして、トップアスリートの動きを鑑賞できるのは、愛猫家の特権かもしれません。
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