日常生活でも度々耳にする言葉、それが「葛藤」です。
この言葉は迷いを表現する言葉として頻繁に使用されます。
しかし、そもそも「葛藤」はどこから来た表現なのでしょうか?
今回は「葛藤」の意味と由来について解説します。
「葛藤」とは
ここでは「葛藤」の意味を解説します。
感情としての葛藤
「葛藤」は感情が交差して選択に迷うことを指します。
そのほとんどは迷っている状況で使用されるのが特徴です。
特に感情としての表現であれば「これは自分の人生における最大の葛藤だ」などのように使用します。
例えば、みなさんが大手企業とベンチャー企業の両方から内定をもらったとしたらどちらに就職したいと思うでしょうか。
人によっては安定感抜群の大手企業を選ぶ人もいますが、逆に不安定でも挑戦できるベンチャー企業を選ぶ人もいるでしょう。
ただし、そう簡単に進路は選べない人がほとんどです。
このように特定の選択において、ある感情が入り乱れて迷ってしまうことを「葛藤」と表現します。
とても端的に表現するなら単なる迷いよりもさらに深く迷うことを「葛藤」と表現すると覚えておきましょう。
人間関係における葛藤
「葛藤」は自分の感情や欲求が入り乱れて選択に迷うことを意味します。
ただし「葛藤」という言葉には他にも意味があるので要注意です。
現に人と人が対立して互いに譲らずいがみ合うことも意味します。
そういった人間関係における意味も持っているのが「葛藤」という言葉です。
この場合、私たちが普段使用している意味合いとは変わるので注意しましょう。
「葛藤」の語源になったのは2つの植物
では「葛藤」という言葉はどこから来たのでしょうか。
ここでは「葛藤」の由来となった植物について解説します。
由来となったのは「葛」と「藤」
「葛藤」はある2つの植物が由来となった熟語とされています。
それが「葛藤」は「葛(カズラ)」と「藤(フジ)」です。
現に「葛藤」はこの2つの植物から成り立つ言葉となっています。
両者はどちらも草の一種で、絡み合う性質を持っています。
そのため「葛」と「藤」が絡まるとなかなかほどけません。
昔はそのような状況を例えて「葛藤」と表現したのだとか。
転じて、選択できずに迷うことを「葛藤」と表現するようになったとされています。
「葛藤(ツヅラフジ)」という植物もある
「葛藤」は「葛」と「藤」の2つの植物から成る言葉です。
しかし、実は「葛藤(ツヅラフジ)」と呼ばれる植物もあります。
植物としての「ツヅラフジ」はツヅラフジ科に分類される植物です。
在来種ということもあり本州(関東地方南部以西)で見られます。
他にも四国や九州、沖縄などにも分布しているとされています。
さらには中国をはじめインドやネパール、タイなどのアジア地域にも生息しているのが特徴です。
「葛藤」の由来は仏教用語
「葛藤」は2つの植物が絡み合う様子を表現した言葉ですが、もともとは仏教用語から来たとされています。
仏教における煩悩をあらわす用語から来た
「葛藤」は「葛」と「藤」の2つの植物から成り立つ言葉です。
しかし、この言葉はもともと仏教用語から来た言葉だったとされています。
仏教用語における「葛藤」は正道を妨げる煩悩を意味します。
仏教の世界では「葛」や「藤」などの植物が樹木にまとわりついて枯らしてしまうこと「正道の理解を妨げて修行の邪魔になる煩悩」に例えていたそうです。
仏教において「煩悩=人を迷わせるもの」です。
その解釈から、次第に迷うことを「葛藤」と表現するようになったようです。
まとめ
「葛藤」は感情が交差して迷ってしまうことを意味する言葉です。
この言葉は「葛」「藤」という2つの植物が絡み合っている状況から生まれた表現とされています。
それが仏教の世界で「煩悩」に例えられたことで、世間一般にも広まったとされています。
現代では深い迷いを表す表現とされるので、ぜひみなさんもその由来については覚えておいてはいかがでしょうか?
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