猫もオトナになると、大切な存在を守ろうとするようになります。メスは自分の子猫を守り、オスならテリトリー意識からテリトリーに入ってくる外敵に対し防衛行動を取ります。しかし、飼われている猫の多くは不妊手術をされ、室内で生活しているでしょう。そこで猫が守るものは飼い主さんとその家族になります。愛猫が、家族を守っているときの行動を確認してみましょう。
1.家族の声にすぐに反応する
単独で生活する猫にとっては、いくら大事な存在であっても常にベッタリということは、あまりありません。
まだ独り立ちできない子猫を連れた母猫でさえ、一日に数回離れることがあります。その代わり、呼ばれたらすぐに駆けつけるのです。
家族を守る猫は、飼い主の声にすぐに反応します。たとえば、足をぶつけて「痛ッ!」と叫んだときに、猫がすぐに駆けつけて様子を見に来たり、飼い主が咳き込んだ時に心配そうに寄り添ってくれたりすることがあります。
また、ちいさな子がいる家庭では、子どもの泣き声に反応して、そばで見守るような行動を取ることも珍しくありません。
愛猫は家族の一員として、困っている家族やちいさな子を守ろうとしているのです。
2.知らない人に威嚇する
家族にはフレンドリーな猫でも、家族を見えない危険から守ろうとするときには、防衛行動として威嚇することがあります。特に知らない人に対する威嚇は、自分と家族から遠ざけようとする行動です。
猫が威嚇する背景には、縄張り意識があります。見知らぬ人を「自分の縄張りに入ってきた侵入者」だと認識して追い出そうとするのです。
シャーシャーという威嚇行動は、相手に「これ以上、近づかないで」の表現で、実際の攻撃を避けるための警告です。
子猫を持つ母猫が、ほかの猫を追い払う行動と同じです。しかし、威嚇自体は猫の警戒心が大きいときにもしますので、個体の状況に応じた判断が必要になります。
3.狩りの教育をしてくれる
飼い猫も外におでかけしていた時代には、捕まえた獲物をお土産に持ってくる話題がよくありました。
最近は室内飼いがスタンダードなので、飼い主さんが部屋で瀕死の小動物を発見して息をのむような状況も少なくなりましたが、代わりに猫はおもちゃを持ってくることがあるかもしれません。
愛猫がおもちゃを持ってきて、目の前で遊び始めたことはないでしょうか。猫にとって狩りをして獲物を仕留めることは、生存に必要なスキルです。
猫が獲物やおもちゃを持ってくるのは、飼い主が「猫として一人前になるため」に持ってくるという説があります。猫によるこの教育は、家族に愛情を感じるが故に、生きるための技術を教え、その命を守ろうとする親心なのです。
4.外出や入浴をやめさせようとする
猫にとっては、大切な存在が自分の目が行き届かないところへ行ってしまうことは不安です。
愛猫が、外出時に玄関ドアの前で鳴いたり、体をすり付けたりして引き留めようとすることがありませんか。
また、入浴時には浴室のドアを開けようと引っ掻いたり、絶え間なく鳴いたりすることもありますが、これらは飼い主を守ろうとするあらわれです。
飼い主の入浴は猫にとっては水に濡れる不快な経験と同じこと。そして、声の届かない場所へ勝手に行ってしまうと、予期せぬリスクを負うかもしれません。
そのため、家族を守ろうという意識の高い猫ほど、飼い主さんの入浴や外出をやめさせようと邪魔をしてしまうのです。
このような行動が見られた場合、飼い主は猫の気持ちを理解し、安心させることが大切です。外出前や入浴時には、優しく声をかけたり、短時間の留守や入浴であることを示すサインを作ったりすることで、猫の不安を軽減できる可能性があります。
愛猫の行動を理解し、適切に対応することで、より強い信頼関係を築けるでしょう。
まとめ
猫は縄張りを持つため、自分を中心とした世界を大切にする動物です。自分の仲間と認めた飼い主は、猫にとって大切に守るべき存在になるのです。
猫が飼い主を守っているときの行動は、一見すると、ただの甘えん坊な行動に見られるかもしれません。声にすぐ反応したり、おもちゃを持って来たりすれば、遊んでほしいのだろうと考えてしまうものです。
しかし、猫はわたしたちが考えるよりもずっと成熟した考えを持っているようです。家族という仲間を守るために、猫なりに一生懸命考えて行動しているのです。
飼い主を守ろうとする行動は、裏を返せば不安な要素があるということです。たとえば、来客があるとき猫を隔離したり、入浴時は浴室のドアを少し開けて声をかけたりして、愛猫の気持ちに寄り添ったフォローをしてあげるようにしましょう。
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