9日に沖縄本島北部に線状降水帯が発生。沖縄を襲った大雨は各地に被害をもたらしました。11月に大雨特別警報が発表されたのは初めてです。なぜ、季節外れの大雨となったのでしょうか。(11月11日午後4時半ごろ放送)
【写真を見る】台風が“4つ同時”発生へ 11月で初の「クアドラプル台風」で影響は?【Nスタ解説】
沖縄・奄美で記録的大雨 一時「緊急安全確保」発表も
良原安美キャスター:
週末の湿った空気の影響で記録的な大雨に見舞われた沖縄・奄美地方について、また今後の天気についてみていきます。
まず、この週末はなぜこんなに雨が続いたのでしょうか?
広瀬駿 気象予報士:
予想以上に猛烈な雨が降り、大雨になってしまいました。特に9日(土)は、猛烈な雨が奄美地方や沖縄本島で降って記録的な大雨になりましたが、離れた台風22号の影響も少しあるように思います。
それだけ湿った空気というのは流れ込みやすく、地上では東風が吹いているのに上空では偏西風や西風が吹いている、という風向きのギャップが大きかったことが、雨雲が発達しやすい条件になってしまったのかもしれません。
11月は本来、冬を除くと一番雨の少ない時期です。「異常な」や「記録的な」という言葉が頭につくような暑さや大雨が、2024年は11月になっても続いているような状況です。
良原キャスター:
この大雨で、各地で被害も出ています。
【鹿児島県与論町】(9日)
大雨特別警報が出ました。
24時間降水量:594ミリ(8日の午前8時すぎまで)
年間降水量の3分の1にあたる降水量となり、浸水被害が出ています。
【沖縄県国頭村】(10日)
比地川が氾濫し、約50世帯のうち半数以上が浸水。
【沖縄県大宜味村】(10日)
田嘉里川が氾濫し一時、緊急安全確保が発表されました。
“4つ同時”の「クアドラプル台風」発生へ…影響は?
良原キャスター:
その一方で現在、日本の南海上では台風がいくつも発生しています。現状、すでに台風になっているのが22号、23号、24号です。さらに23号と24号の間に熱帯低気圧があり、これが台風25号になれば、4つの台風が同時に発生することになります。
これは2017年7月以来、7年ぶりのことで、さらに11月では初となる“4つ同時”=「クアドラプル台風」発生へ…といわれています。なぜこんなにたくさん台風が発生するのでしょうか?
広瀬駿 気象予報士:
やはり、「異常な状況が続いている」ということがどの説明にもついてしまいますが、太平洋高気圧が少し北にずれていて、そのふたが外れたところで雨雲が発達し、台風の渦巻き、雲の渦巻きができやすいような状況になっています。
台風は、発生した環境によって性格がある程度変わることがわかっています。
今回、南の地域は貿易風、東風が吹いているエリアで、それがうねうねと波打っているところで、台風が22号、23号、24号と発生しています。
こういった場合で発生したところでは、西向きに行って兄弟を作りやすい台風の特徴を持っているので、いくつも同時に発生していると考えられます。
井上貴博キャスター:
これまでの地球温暖化や異常気象が理由の一つだとしたら、それは2023年までもあったことだと思うのですが、2024年特有というのはどう説明できるのでしょうか?
広瀬駿 気象予報士:
今まで「記録的」というような表現がついていた過去の暑さを、2024年はもっともっと上回りました。それで海があたたまり、猛暑のツケとして11月の台風や大雨につながっているともいえるのではないでしょうか。
ホラン千秋キャスター:
台風が遠くを通るたびに大雨の影響を受けるとすると、地元の皆さんは心配ですよね。
産婦人科医 宋美玄さん:
台風がいつ来るかというのが、昔とすごく違ってきているように思います。台風が4つ同時にできるとなると、進路などにはお互いにどういう影響があるのでしょうか?
広瀬駿 気象予報士:
台風がお互いを干渉しあって、予想がその分わかりにくくなり、最新情報も更新されるたびにコロコロ変わる部分もあります。
心配なのは、もしかすると台風25号になるかもしれない熱帯低気圧の進路です。今は日本のはるか南の海上にありますが、だんだん進路を西から北へ変え、週末に沖縄県に接近する可能性が出てきました。
「11月なのに台風か」と皆さん驚かれるとは思いますが、やはり、近づくとまた大雨になる心配もあります。今週は沖縄・奄美でまだまだ油断できない状況が続くので、雨の降り方に十分に注意をしてもらえたらなと思います。
今週は秋のぽかぽか陽気続く 寒暖差に注意!
良原キャスター:
天気は今後、平年より暖かい日が続きそうということです。
広瀬駿 気象予報士:
台風がいくつもあるときは、北の高気圧が強まる性質があります。
それとは違う高気圧ではありますが、移動性の高気圧がだんだん近づいてきており、どーんと高気圧に覆われる状況が続きます。南から暖かい空気もどんどん入ってきやすい状況になるので、気温は高めということになります。
良原キャスター:
東京の最高気温は、10日(日)まで少し低めでしたが、11日(月)からどんどん暖かくなります。
広瀬駿 気象予報士:
平年の気温は置き去り状態になるというか、また20度を超え、週末は22度ぐらいになりそうです。身体もびっくりするような寒暖差に、皆さんご注意ください。
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<プロフィール>
広瀬駿 気象予報士
1989年愛媛県生まれ
気象予報士・防災士・健康気象アドバイザー
横浜国立大学大学院で台風を研究
宋美玄さん
産婦人科医 2児の母
女性の健康などのテーマを発信