伊豆半島東部の群発地震の予測などに活用されている、静岡県東伊豆町に設置された「ひずみ計」と呼ばれる観測機器が正常に機能しなくなったとして、気象庁は、別の観測機器を使い、過去に起きた群発地震のケースとデータを照合するなどの方法で見通しなどの予測を発表することを明らかにしました。
静岡県の伊豆半島東部では、群発地震が過去に繰り返し発生していますが、豊富な観測データや研究成果にもとづいてある程度の予測が可能だとして、気象庁は群発地震が発生した場合、「伊豆東部の地震活動の見通しに関する情報」を発表することにしています。
気象庁によりますと、その予測などに活用されている、東伊豆町に設置された「ひずみ計」と呼ばれる観測機器が10月12日から正常に機能しなくなりました。
「体積ひずみ計」は、地下の岩盤のごく僅かな伸び縮みを観測することができる精密な観測機器で、東伊豆町の「ひずみ計」のデータは伊豆半島東部の地下にあるマグマの量の推定に活用されていましたが、正常な観測ができなくなり、復旧も望めないということです。
そのため気象庁は、「ひずみ計」の代わりに「傾斜計」と呼ばれる観測機器を使って地殻変動を捉えるほか、過去に起きた群発地震のケースとデータを照合するなどの方法で地震の規模や最大震度、地震の回数などを計算し、見通しを発表することを明らかにしました。
「ひずみ計」を使った場合と比較して、予測精度は下がる可能性があるとしています。
また、東伊豆町のひずみ観測点のデータは南海トラフ地震臨時情報の発表にも用いられていましたが、気象庁は、障害が起きた東伊豆町のデータは使わず、ほかの複数の観測点のデータを含めて総合的に評価するため、臨時情報の発表に与える影響はほとんどないとしています。