モデル・俳優・ドラマーのちびたさんやカリスマ保育士 てぃ先生も登壇! 軟骨無形成症をテーマにしたオンライン市民公開講座

2024-12-04 07:15

軟骨無形成症という言葉を聞いたことはありますか? これは、手足が短くなる四肢短縮型の低身長を呈する骨の病気のことです。字面だけを見ると、軟骨の形成がない疾患と思われがちですが、軟骨が形成されていないわけではありません。そもそも軟骨というのは、骨の成長に関わる成長軟骨体のことを指していて、背が伸びるためにとても大切な部分なのですが、軟骨無形成症ではこの成長軟骨帯に問題が生じて骨の成長が妨げられます。子供の背が伸びるのは骨が伸びるからですが、軟骨無形成症で骨の成長が妨げられた場合、成人してからの平均身長は男性で131cm、女性で124cmと小柄になります。そして発症の頻度は、約25,000人に1人にものぼります。

そんな軟骨無形成症について学ぶ市民公開講座「家族と共に学ぶ軟骨無形成症」が、11月30日にオンライン開催されました。登壇したのは小児科専門医の北岡太一先生、モデル・俳優で軟骨無形成症の当事者でもある後藤仁美さん、そしてカリスマ保育士のてぃ先生の3名。医学的見地から、当事者の立場から、障がいのあるお子さんを預かることもある保育現場の立場から、それぞれの経験や意見が交わされました。

<出演者>

北岡太一先生
小児科医。医誠会国際総合病院に勤務。前職の大阪大学医学部附属病院では、軟骨無形成症をはじめとする骨系統疾患の診療に従事し、臨床研究や新規薬剤の治験に関わる。軟骨無形成症のこどもたちとの出会いは2004年。

後藤仁美(愛称:ちびた)さん
身長115cm の小さな体型と愛らしいルックスを活かして、2015 年からモデルとして活動を始め、2017 年からは俳優として舞台や映像作品に出演。ドラマーとしての顔も持ち、東京2020パラリンピック閉会式ではドラムを演奏した。軟骨無形成症の当事者や家族に向けてブログやSNSで情報や自身の日常を発信している。

てぃ先生
SNSの総フォロワー数が200万人を超えるインフルエンサーとして活躍する現役の保育士。テレビをはじめ、多数のメディアに出演し「一番相談したい保育士」「カリスマ保育士」として紹介されている。著書は累計70万部を突破し、育児本カテゴリ1位を獲得。

まず最初に行われたのは、北岡先生による講義『軟骨無形成症について知っておいて欲しいこと』。オンライン開催ということで、画面の向こう側には軟骨無形成症の当事者やそのご家族、または友人・知人などが多数参加していると思われますが、そんな人たちに向けて「軟骨無形成症ってどんな病気なのか」を最新の医療動向などを交えながら、わかりやすく解説してくれました。

続いてステージには、後藤さんとてぃ先生も登壇し、トークセッションがスタート。今回は「軟骨無形成症の当事者が直面する日常の課題について」と「軟骨無形成症に対する社会的サポートについて」のふたつのテーマについて話し合いが行われました。

軟骨無形成症の当事者である後藤さんにとって、日常の課題や幼少期に感じた苦悩や困難は3つ。まず最初が「周りからジロジロ見られる」こと。これは幼少期から現在までずっと続いているそうです。「やはり小さいだけでなく特徴的なカラダなので、その辺を歩いているだけでもいろんな人たちからの視線が感じられ、ストレスにもなっています」(後藤さん)。

続いて「学校」。学生時代に学校の行事で行動するときに、どうしても遅くなってしまうそうです。そのため「周りに迷惑をかけているんじゃないかな? 足手まといになっているんじゃないかな?」と色々と考えてしまい、楽しみたくても楽しめなくなってしまっていたこともあったといいます。

そして最後のひとつが「ファッション」。ファッション好きな後藤さんにとって、自分に合う服がなかったり、自分が着たい服を着れなかったりということはとても辛いこと。また「友達と買い物に行ったときに、自分だけ服が買えなかったりとかしたので、ちょっと寂しい気持ちになった思いがありました」と語ってくれました。

辛かったことを吐露してくれた後藤さんでしたが、「ジロジロ見られることに関しては自分には大切な家族や友達がいて、自分の味方でいてくれている」、ファッションについては「逆に強みとして、この体型じゃなきゃ切れないファッションとかを楽しもうと思ってやっています」と乗り越えた今の心境を教えてくれました。ちなみに後藤さんがこの日着用していた洋服は、軟骨無形成症に関わる受容体をモチーフにご主人が作ってくれたものだとか。

司会の方からの「軟骨無形成症などの身体的特徴のあるお子さんと接する機会は普段ありますか?」という質問に対し、てぃ先生は自分が勤めている保育園では軟骨無形成症のお子さんは通園していないとした上で、次のようにご自身の考えを教えてくれました。「過度な特別扱いっていうのを当事者の方々って求めていない人もいるんじゃないかなと思ってるんです。もちろん状況によって様々だとは思うんですけれども、全員が全員特別扱いをしてほしいってことではなくて、むしろ当事者の方々とお話をしていたりすると、「なんなら普通に接してくれることが一番心地よかった」という方もいらっしゃるんですよ」。

また「大人が考えている以上に、子供の世界って愛に溢れています。例えば、5歳ぐらいのお子さんたちのクラスで、言葉をうまく使いこなすことができないお子さんがいらっしゃったりすると、お互いフォローし合う場面が度々見られるんですね。その子が何か一生懸命訴えようとしている姿があると、先生よりも周りのお友達が先に気がついて、「先生、なんとかちゃんがこうやって言おうとしてるよ」って教えてくれたりとか。本当に大人が考えている以上に子供の世界って愛に溢れているので、そういう意味でもあまり特別視して、何かやんなきゃとか、してあげなければならないとかいう考え方はしない方がいいんじゃないかなって個人的には思っています」と語ってくれました。

トークセッションでは、ここで書ききれないほどたくさんの思いを3人とも話してくれましが、話を聞きながら記者は高校を卒業するまで暮らしていた九州の町のことが、ふと頭の中に浮かんできました。というのも、その町には障がいのある人が働き、生活する『太陽の家』という施設があったのです。記者が物心ついたときには存在していたので、もう60年近く前からあると思います。お店をやっていた記者の実家には、夕方になると仕事を終えた入居者の人たちが毎日のように顔を出し、楽しそうにおしゃべりしていました。そんなこともあって、町には障がいを持った人たちがたくさんいるこの町では、誰も特別扱いなんてしていません。だって、いるのが普通の光景だから。それに、障がいを持った人たちの誰も「特別扱いして」なんて言いません。「普通に接してくれることが一番心地よい」。この言葉をセッション中に聞いたことで、実家のお店によく来てくれていた障がいのある人たちが笑顔だった理由がわかったような気がしました。

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