余計なことをして厄災を受けることを指すことわざ、それが「藪をつついて蛇を出す」です。
しかし、このことわざはどのような状況を意味するのでしょうか。
今回は「藪をつついて蛇を出す」がどのような言葉なのかについて解説します。
「藪をつついて蛇を出す」とは
ここでは「藪をつついて蛇を出す」の意味を解説します。
「藪をつついて蛇を出す」の意味
「藪をつついて蛇を出す」は、余計なことをして災いを受けることの例えです。
必要のないことをしたためにかえって悪い結果を招いてしまうことを言います。
言葉自体は「わざわざ藪をつついて蛇を追い出したことで、その蛇に噛まれてしまうこととなった」という愚かさを表現したものとなっています。
転じて、いらないことをしてかえって災いを招いてしまうことの意味で使用されるようになったそうです。
「藪蛇」と略されることもある
「藪をつついて蛇を出す」は「藪蛇」と表現されることもあります。
文字通り「藪をつついて蛇を出す」の「藪」と「蛇」を取った形です。
日常会話では「藪をつついて蛇を出す」だと長いため「藪蛇」と短くして表現するのが一般的となっています。
「藪をつついて蛇を出す」の用い方・例文
「藪をつついて蛇を出す」は必要のないことをしたために災いを受けてしまったというニュアンスで使用することわざとなっています。
・例文1:円満離婚が決まったのに慰謝料を請求したことで、かえって離婚調停することになってしまった。藪をつついて蛇を出すとはこのことだ。
・例文2:自ら危険な場所に赴いて写真を撮ろうとするなんて、藪をつついて蛇を出すと言われても仕方ないのではないだろうか。
このように余計なことをしたことでかえって悪い結果を招いてしまうような場面で「藪をつついて蛇を出す」を使用します。
・例文3:苛立ちに任せて上司に普段から思っていることをぶちまけてしまったからか、部下として逆に気を遣われてしまっている。さすがに藪蛇だった。
他にも「藪蛇」と省略して使用することもできます。
「藪をつついて蛇を出す」の類義語
ここからは「藪をつついて蛇を出す」の類義語を紹介します。
寝た子を起こす
「寝た子を起こす」は、余計なことをして問題を起こすことを意味します。
眠っている子供は静かで快適ですが、ひとたび起こしてしまうと大変です。
転じて、必要のないことをして悪い結果となることを「寝た子を起こす」と表現するようになったそうです。
その点が「藪をつついて蛇を出す」と似ているのではないでしょうか。
手を出して火傷する
「手を出して火傷する」は、余計なことに首を突っ込んで、かえって痛い目に遭うことを指します。
火に手を出さなければ火傷することはありません。
逆に自ら手を出せば火傷しても仕方ありません。
転じて、必要のないことで痛い目に遭うことを「手を出して火傷する」と表現するようになったようです。
その点が「藪をつついて蛇を出す」と重なるのではないでしょうか。
「藪から棒」との違い
「藪をつついて蛇を出す」は「藪から棒」と勘違いされやすいです。
では「藪から棒」とはどのような言葉のでしょうか?
「藪から棒」とは
「藪から棒」は、言動が唐突なことを意味することわざです。
突拍子もない発言や行動に驚いている様子で使用される言葉となっています。
もともとは「藪から棒を突き出す」という言葉で、突然のことに困惑していることを指す表現として使用されるのが一般的です。
「藪をつついて蛇を出す」と「藪から棒」では用いる状況が大きく異なる
「藪から棒」と「藪をつついて蛇を出す」は同じ「藪」が入っている言葉です。
「藪蛇」と略せるところも似ていることから、混合してしまいがちです。
しかし、両者は使用する状況が大きく変わってきます。
「藪をつついて蛇を出す」は余計なことをして状況を悪くすることを言います。
対して「藪から棒」は唐突な言動などに対して驚きの感情で使用する言葉です。
その点は使用する状況が変わってくるので注意しましょう。
まとめ
「藪をつついて蛇を出す」は余計なことをして自ら災いを受けてしまうことを意味することわざとなっています。
この言葉は「余計なことさえしなければ何も起きなかったのに」というニュアンスで使用されるのが一般的です。
現代でも余計なことをして災いを呼ぶこともあるもの……くれぐれも突発的な言動には気を付けたいところです。
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