総量880トン「核燃料デブリ」の取り出しは? 福島第一原発 15年の歩み、日本の原発“現在地”【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-03-11 19:48

地震、津波、爆発を経験した福島第一原発。この15年はどのような歩みを進めてきたのでしょうか。

【地図で見る】全国の原発とその稼働状況(2026年3月11日時点)

福島第一原発 「核燃料デブリ」の総量880トン

テレビユー福島 渡邊文嘉キャスター:
福島県・大熊町にある、東京電力福島第一原発に来ています。

私がいま立っているのは、事故を起こした原子炉建屋から約100メートルの場所です。これだけ原子炉建屋に近い位置から中継が許されたのは、震災・原発事故後、初めてのことです。

この場所は、毎時15マイクロシーベルトほどの放射線量があります。これは事故直後の約80分の1にあたります。あれから放射線量はかなり下がっています。

また、作業環境は大きく改善しました。震災の翌年、この辺りに取材に入った時には、防護服に全面マスク姿でしたが、現在ではマスクもいらないほどの軽装になっています。

私の後ろには、水素爆発・メルトダウンを起こし、建屋が激しく損傷した1号機があります。こちらには現在、カバーが設置されています。2026年1月に使用済み核燃料を取り出すために設置されたもので、建屋が損傷した様子は見られない状態になっています。

福島第一原発の1号機、2号機、3号機ではメルトダウンが発生し、核燃料が溶け落ちてできた「燃料デブリ」の総量は880トン(推計)にも上ります。

試験的な取り出し作業するも…その量は“耳かき1杯分程度”

井上貴博キャスター:
燃料デブリの取り出し作業は、この15年でどの程度進んだのでしょうか?

渡邊キャスター:
核燃料デブリの取り出し作業は、あまり順調とは言えません。

これまで2号機で2回ほど試験的に取り出し作業を行いましたが、その量は合わせて約0.9グラムでした。これは耳かき1杯分程度で、燃料デブリ全体の880トンの10億分の1にすぎません。

東京電力 廃炉の完了時期の目標「2051年」除染土の処分場所も未定

井上キャスター:
ここから「次の15年」はどう考えていくべきでしょうか?

渡邊キャスター:
本格的な核燃料の取り出しが最大の焦点となります。東京電力は次の15年を待たずして、本格的な核燃料取り出しを始めたいとしています。

本格的な核燃料の取り出しは3号機で2037年ごろから始める予定としていて、東京電力は、廃炉の完了時期の目標を「2051年」と掲げています。

廃炉の時期について、東京電力の廃炉推進カンパニーの最高責任者・小野明プレジデントは、「いまの段階では目標を下げる必要はない」としていますが、実現できるかは不透明です。

この福島第一原発のある大熊町と双葉町の中間貯蔵施設では、放射性物質の付いたいわゆる除染土が保管されていますが、2045年までに県外で最終処分することが法律で定められているものの、いまも具体的な候補地すら上がっていません。

仮に、除染土の処分や廃炉作業がうまくいったとしても、その後の原発周辺をどのようにしていくのかという議論はあまりされていません。

住民の理解を得ることが大前提ですが、地域の未来を考えると今後この場所をどう使っていくのか、議論する時期がそろそろ来ているのではないかと感じています。

井上キャスター:
原発は“トイレのないマンション”と言われます。ゴミの最終処分場が決まらない。政治の力はもちろんのこと、ここの議論を避けては通れないということ。先々の日本はAI社会が加速するなかで、電力が圧倒的に足りないと言われています。

そういったなかで原発をどう稼働していくか。それとも原発依存を下げていくのか。この議論は冷静にしていくべきだと感じます。

全国で15基が再稼働 日本の原発の「現在地」

高柳光希キャスター:
東日本大震災から15年が経ち、日本国内での原発のあり方も大きく変わってきました。

2011年3月11日までは、日本全国で54基の原発が稼働をしていました。

しかし東日本大震災が発生して、日本全国で原発が一時停止をします。

月日が経ち2024年に、被災地では初めて、宮城県の女川原発2号機が再稼働しました。

女川原発2号機を含めて、全国で15基が再稼働しています。(2026年3月11日時点)

当時、私は12歳でしたが、日本中で「節電をしよう」という動きがあったことを覚えています。

スポーツ心理学者(博士) 田中ウルヴェ京さん:
「電気を使う」ことが、どういうことなのか改めて痛感せざるを得ない時期でした。

15年経ちましたが、人間が生活するということはエネルギーを使うということで、原子力発電はとても重要です。しかしどのようにエネルギーミックスをしていくのか、エネルギー政策について考えていかなければなりません。

不具合にデータ不正…信頼ゆらぐ原発に我々はどう向き合うか

高柳キャスター:
政府は、震災から3年後の2014年に「原発依存度を可能な限り低減する」と掲げました。

しかし現在は原発を巡るニュースが続いています。

新潟県の柏崎刈羽原発では、2026年1月の再稼働直後に、制御棒の引き抜き作業中に不具合が発生し、原子炉を停止しました。

静岡県の浜岡原発では、再稼働を巡る審査の中で耐震設計のデータに不正が見つかるなど、原発をめぐって問題が相次いでいる現状もあります。

私達はどのように原発と向き合っていけばいいのでしょうか。

資源なき日本 どのようにエネルギーと安全を確保するか

高柳キャスター:
エネルギー政策に詳しい国際大学の橘川武郎 学長は、「資源がない日本にとって、原子力は必要」とした上で、「太陽光や風力などの再生可能エネルギーをメインにして、原子力を選択肢の一つとしてとらえることが重要」と話します。

日本にとってエネルギーは欠かせません。ただ安全は第一で、どうバランスをとって進めていくかが重要です。

スポーツ心理学者(博士) 田中ウルヴェ京さん:
東日本大震災のときに、「想定外だった」という言葉が記憶に残っています。

自然災害は想定外が多いので、「想定外なことがあったときにどうするか」、できる限り最悪を想定し、「想定内にする」ということをし続けなければいけないと思います。これは、私達が考えなければいけないことだと思います。

高柳キャスター:
15年の節目を、エネルギー政策について見つめ直すきっかけにしていただければ幸いです。

==========
<プロフィール>
田中ウルヴェ京さん
スポーツ心理学者(博士)
五輪メダリスト
慶應義塾大学特任准教授
こころの学びコミュニティ「iMiA(イミア)」主宰

記事全文を読む
  1. 今日、地震がおきたら…あなたの備えは万全? 経験者語る在宅避難のリアル、東日本大震災「15年を生きる」【Nスタ解説】
  2. 14歳が伝えるあの日…震災の5か月後に生まれた語り部 きっかけは能登半島地震、東日本大震災「15年を生きる」
  3. 震災翌日に生まれた命 当時は暖房使えず…助け合ったあの日「頑張って産んでよかった」 中学卒業の節目迎える【東日本大震災から15年】
  4. 中国と北朝鮮を結ぶ国際列車が6年ぶりに運行再開へ 往来活性化か
  5. 台湾・頼総統が東日本大震災の犠牲者を追悼「防災や人道支援などでの協力深めたい」
  6. 【 くりえみ 】 「頚椎ヘルニアの可能性」明かす 首が「激痛になって」悶絶 「腕の痺れがもう限界」「痛みに耐えるので疲れて何も出来ない……」
  7. 【ミラノパラ】クロカン10kmクラシカル 川除大輝が4位、“レジェンド”新田佳浩7位、女子では阿部友里香4位、岩本美歌7位
  8. 東日本大震災「15年を生きる」午後2時46分に黙祷 約5年ぶりに行方不明者の捜索活動“震災を経験していない世代”の思いは
  9. 体を寄せ合う姿が『ハート型』だった2匹の赤ちゃん猫→成長した結果…尊すぎる『現在の光景』に絶賛「大きくなったんだね」「みっちり可愛い」
  10. 「戻りたい」「戻れない」福島・双葉町の今、増える除染土 見通し立たず…東日本大震災「15年を生きる」
  1. 【速報】埼玉県立小児医療センターで“抗がん剤注射”した10代男性が死亡 ほか2人が重篤な症状で意識不明の重体 患者の髄液から別の薬液が検出される
  2. 目を疑う光景…大阪中心部の道路に“巨大パイプ”突出 地面から十数メートル 大渋滞も発生
  3. 踏切を横断中に転倒し立ち上がれず…80代くらいの女性が列車にはねられ死亡 東京・西日暮里
  4. 部屋にメモ「もう2人とも限界でした」 千葉・船橋市のマンションに男女2人遺体 男性が女性の首絞めて殺害後に自殺か 千葉県警
  5. 【速報】ペルシャ湾で商船三井のコンテナ船が損傷 けが人なし・自力航行可能 船員「振動を感じた」損傷の原因不明
  6. イランがホルムズ海峡に機雷敷設か すでに数十個敷設との報道も トランプ氏が軍事的報復を警告 イラン側は「戦争屋どもにとって敗北の海峡に」
  7. 休暇使い果たして「109日間」世界一周クルーズ旅行 “14日間欠勤”で群馬県職員が停職3か月の処分に
  8. 【速報】ペルシャ湾で商船三井所有のコンテナ船が攻撃受け船体の一部損傷か イギリス紙フィナンシャル・タイムズ
  9. そのまま残されたがれき…12mの津波に襲われた学校 「伝承館」が現在に伝える震災の教訓 宮城・気仙沼市から中継【東日本大震災から15年】
  10. 【 やす子 】5日間の予備自衛官・招集訓練修了を報告 「マイスーパーエンジェルゴッド…」と帰宅後の愛猫「アビシ」とのラブラブ姿を公開
  11. 【 野々山さくら 】 医師免許を持つ俳優 芸能活動休止を発表 「みなさまのこころのすみっこで、きっとまたお会いできますように」
  12. 『最後だとわかっていたなら』生徒の心に響く“被災者の後悔”動画の授業「最後だとわかっていたら、お弁当作って見送ったかな」【東日本大震災から15年】