猫が好きな時に自由に食べることは、一日分を何度にも分けて食べる猫にとっては、自然な食行動にマッチしています。しかし、それは自然界で小動物を獲る場合の話。キャットフードを与えられている飼い猫にとっては、置き餌は「置きっぱなしの食事」と同じで、私たちが、夕食を朝から食卓に並べておかないのと同じように、猫の置き餌も避けるべき理由があるのです。
猫の置き餌が危ない理由3つ
毎日の忙しさや少食な愛猫に配慮して、置き餌にしている人もいるかもしれません。しかし、この方法は、猫の健康にもデメリットがあります。
ここでは、置きっぱなしごはんが危ない理由を3つ紹介します。
1.肥満のリスク
キャットフードを計量せず器に盛り、猫が好きなときに好きなだけ食べられる環境は食べ過ぎにつながります。猫の食事量を、適切にコントロールがしにくいことが原因です。
朝、起床後にザラッとフードを器に出し、帰宅後になくなっていたら追加するというような給餌方法では猫が実際にどれだけ食べているか把握できません。追加する量がすこしずつ増えていけば、猫も出された分を食べてしまうようになるでしょう。
食べ過ぎは吐き戻しの原因になりますし、糖尿病や関節炎、心臓病などの疾患は、太りすぎにより悪化する危険性があるとされています。
猫は運動では痩せることは難しく、食事管理が大切なためダイエットするのは本当に大変なので、日頃から給餌量を守り、太らせないようにしておくことが肝心です。
2.食事の鮮度が落ちる
置き餌にするのがドライフードであっても、一日の寒暖差や酸素に触れる時間が長くなり、酸化しやすく風味や栄養価が劣化します。また、猫の被毛やホコリが入りますし、食べ残しによる唾液の付着も細菌が繁殖する原因のひとつです。
ウェットフードはさらに開封してからの傷みが早いため、食事の品質や安全性を考慮すると置き餌には不向きです。傷んだものを食べておなかを壊す危険があります。
ドライフードの場合は、寒い時期であれば夏場よりも長引いても問題ありませんが、ウェットフードは、冬でも1時間程度で片付ける必要がありますので置きっぱなしにしないようにしましょう。
3.適切な食事管理がむずかしくなる
多頭飼いの家庭での置き餌では、個々に食事管理の問題が生じます。
食欲旺盛な猫や支配的な性格の猫がいる場合には、置いてある食事を好きなだけ独占してしまい食べ過ぎ問題が生じますし、逆にのんびりしている猫は、一日分の食事量を守れない可能性があります。
また、健康上の理由で特別な食事が必要な猫にとっては、ほかの子が食べてしまう環境にそのまま置いておくのは適切な給餌方法ではありません。
特に療法食を与えている猫が普通食を常食してしまうと、治療にも支障をきたす可能性があります。
置き餌をすることで、健康状態を考慮できないリスクにつながります。
置き餌にしない工夫・おすすめの方法
置き餌をしている家庭では、飼い主さんのお仕事などの都合によって仕方なくしていることもあるでしょう。
置き餌をやめたいなという場合には、次のような方法を試してみてください。
時間を決めて与える
一日に2〜3回、決まった時間に一日分の給餌量を分割して与えることで、置き餌のデメリットを一掃することができます。ただし、置き餌歴が長い場合には、慣れさせるために、すこしずつ練習していく必要があります。
具体的には、朝起きたら一日分の半分の量を与えて一時間ほどで片付けます。これは、同じ時間に食べる練習なので、ウェットフードなど猫の好みのものを添えてもいいでしょう。夜も同様に決めた時間に食事を出します。
最初は出したときに食べなければ、いつもより少ない量を置き餌に出しておきます。また、昼間にお腹が空きすぎるようなら、栄養バランスが崩れない程度の少量のおやつを与えても構いません。
急激な食事の変化はストレスになるため、完全に移行するには3〜4週間くらい見ておくとよいでしょう。
自動給餌器の利用
飼い主さんの生活の都合で、決まった時間に給餌するのが難しい場合には、自動給餌器を利用してもよいでしょう。
最新の自動給餌器には、細かい給餌量設定や食べている様子がスマホで見られる見守りカメラ機能がついたものなど、安心して使える製品が多数出ています。
もちろん、多機能な製品は価格も高いので、時間を決めて食べることに慣れるまでの間だけ、タイマー式の単純な自動給餌器を併用するというのもアリでしょう。
はじめて自動給餌器を使う際も、猫が慣れるまで何度か練習してみる必要があります。そのため、最初のうちは飼い主さんが見ているときに、自動給餌器を使って食べさせるようにしましょう。
また、機械ものは、万が一のトラブルも起きかねません。フード詰まりや停電時に止まってしまうリスクも考えながら製品を選ぶようにしましょう。
まとめ
毎日忙しく過ごす飼い主にとって、猫の食事を置き餌にしておくことは、ちょこちょこ食べる猫にも都合がよく、人間にも効率的に感じるかも知れません。
しかし、実際のところ、栄養満点のキャットフードを与えられる飼い猫にとっては、一日2〜3回の決まった時間の食事でも十分なのです。
置き餌のデメリットは、食事量が把握しにくくなることや、フードの鮮度が低下してしまうことです。また、猫が食べる量やペースをコントロールしづらくなるため、肥満などの健康トラブルにつながるリスクもあります。
時間を決めて食事を与え、食べている様子をしっかりと観察するだけでも猫の健康を把握する助けとなります。
もちろん時間や手間はかかりますが、適切な食事管理と観察で、愛猫の健康と食の安全をサポートできます。必要であれば、自動給餌器なども活用しながら、無理のない範囲で実践していきましょう。
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