愛犬が「ふーっ」「ふんっ」などと息を吐き出すと、「どうしたの?」と心配になります。それは、つい人間のため息と重ね合わせてしまうからでしょう。確かに、犬も私たちと同じような理由でため息をつくことがあります。しかし、犬のため息にはいろいろな心理状態が隠されています。どのような心理が隠されているのか、探ってみましょう。
犬のため息とは?
私たちは、思い悩んだり失望したり落ち込んだりすると、思わず溜めた息を口から長く吐き出します。これが、ため息です。ため息をつくのは、ネガティブな心理状態の時だけではありません。ほっとしたり、緊張状態が解けて安堵した時にもつきます。
犬もときどき深く息を吐き出すことがあり、私たちは犬のため息と呼んでいます。ただし、人のため息とは異なる点があります。それは、口ではなく鼻から出すということです。規則正しい鼻息とは異なり、不規則に深く出される鼻息がため息です。
犬がため息をつく時にも、その裏には何らかの心理が隠されています。愛犬がため息をついたら、その場の状況や愛犬の様子から隠れている心理状態を探り、必要に応じて適切に対処したり、必要な配慮を行えるようになりましょう。
犬がため息をついた時の心理と対処法
1.満足
人間が安堵した時にため息をつくように、犬もリラックして満足感を味わっている時に、ため息をつくことがあります。
全身に余計な力が入っておらず、少しとろんとしたような表情で穏やかに過ごしながらついたため息は、「あぁ、満足!幸せだなぁ!」という気持ちの表れである可能性が高いでしょう。
美味しいご飯を味わった後や、思いっきり遊んだ後などに出やすいため息です。あまりちょっかいを出さずに、遠くから優しく見守ってあげましょう。また、飼い主さんの膝の上などでくつろいでいる時であれば、優しく撫でて分かち合うのも良いでしょう。
2.不安
いつもと周りの様子が変わってしまった、初めての場所に来た、とても居心地が悪いなど、犬が周囲の状況に馴染めずに不安を感じている時にも、ため息をつくことがあります。
ため息だけでなく、しきりに鼻先を舐めたり、地面のニオイを嗅いだりなど、同時にストレスサインを出していることも多いです。
愛犬が感じている不安の原因を探り、それを排除したり、排除できなくても和らげたりすることで、少しでも落ち着ける環境を整えるようにしましょう。また、できるだけコミュニケーションを図る時間を増やすなど、生活の見直しを行うのも効果的です。
3.イライラしている
期待外れのことが起きたり、飼い主さんに伝えたいことがなかなか伝わらなかったり、留守番の時間が長すぎて退屈になってしまったりなどのストレスでイライラした時にも、ため息をつくことがあります。
不安と同様に、ストレスの原因を排除したり和らげたりすることで、対処しましょう。また、普段からしっかりお散歩や運動をすることでストレスを発散させたり、スキンシップの時間を十分に取ったりして、ストレスを溜めさせないことも大切です。
4.落ち着こうとしている
私たちは、大事な試験や会議での発表などに臨む時、自分に喝を入れるために短くため息をついて気持ちを切り替えることがあります。犬も失敗をした時などに、気持ちを切り替えたり自分を落ち着かせたりしようと、ため息をつくことがあります。
側から見ていて明かに失敗したことがわかる時は、何もせずにそっとしておいてあげた方が良いかもしれません。
5.息苦しい
鼻が詰まって息がしづらくなると、私たちは鼻をかみます。同じような理由で犬が「ふんっ」と息を強く吐き出して、鼻の通りを改善しようとすることがあります。さらには、息苦しくなる病気が原因で、ため息ではなく息苦しさから鼻を鳴らしていることもあります。
頻繁なため息と同時に鼻水の症状も見られる場合は、鼻腔が狭くなり呼吸困難に陥る「鼻腔狭窄」かもしれません。
夕方から夜にかけてため息が多くなる場合は、炎症や異物誤飲などで気管や気管支が狭まる「気管狭窄」の可能性があります。ため息だけでなく全体的に不規則な呼吸をしている場合は、「僧帽弁閉鎖不全症」という心臓の病気が潜んでいることも。
このように、ため息のような症状が現れる病気は複数ありますので、異変を感じたらできるだけ早めに動物病院で診てもらいましょう。
犬がため息をついた時に飼い主がすべき配慮
犬のため息は、ポジティブな感情から出る場合、ネガティブな感情から出る場合、病気の症状として出る場合など、さまざまな理由が考えられます。愛犬のため息に気付いたらスルーせず、その場の状況や愛犬の全身状態や仕草などから、隠れている心理状態や体調を探りましょう。
ポジティブな心理から出たため息の場合は、一緒に喜びを分かち合ったり、気持ちに水をささないようそっとしてあげたり、その場にあった対処を心がけましょう。
ネガティブな心理への耐性をつけるためには、日頃から十分な散歩や運動でストレスを発散性させ、留守番時には退屈させないような配慮を行うと良いでしょう。室内を常に整理整頓しておくことで、気管狭窄の原因となる異物誤飲を予防することもできます。
いずれにしろ、日頃からしっかり愛犬の様子や行動を観察し把握しておくことで、異変に素早く気付けるようになれます。
まとめ
犬のため息は人間のため息とよく似ており、緊張から解放された安堵や気持ちを切り替えるため、イライラした時など、さまざまな心理状態が原因で出てくるものだということが分かりました。
また心理的なものだけではなく、病気が原因でため息のように見える場合があることも分かりました。心理的なため息は、そう頻繁には起こりません。あまりにも頻繁にため息をついている場合は、病気を疑い早めに動物病院で診てもらうことも大切です。
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