旅に関することわざ、それが「旅の恥は掻き捨て」です。
しかし、そもそも「旅の恥は掻き捨て」は何を指すのでしょうか。
今回はその意味はもちろん、類義語や対義語も併せて解説します。
「旅の恥は掻き捨て」とは
ここでは「旅の恥は掻き捨て」の肯定的な意味と否定的な意味の両方を解説します。
「旅の恥は掻き捨て」の肯定的な意味
「旅の恥は搔き捨て」は旅先では知っている人もいないから、どんなに恥ずかしいことをしてもその場限りのものであるという例えです。
旅先で恥をかいてもそれをネタに後々まで馬鹿にされるようなことにはならないので、その場限りと思って楽しむのが良いという肯定的な意味を持ちます。
旅先でのミスは忘れてしまおうというニュアンスがあります。
「旅の恥は掻き捨て」の否定的な意味
「旅の恥は搔き捨て」は旅先では恥をかいてもいいという意味がありますが、だからといって傍若無人に振る舞っても許されるわけではありません。
むしろ旅先では羽目を外して普通ならできないようなことを平気でやってしまうものですが、それは自分の良心に対して恥ずべきものであるという否定的な意味もあります。
地元なら顰蹙を買うようなことも旅先であれば許されるというわけではないので、その点は注意が必要となるでしょう。
「旅の恥は掻き捨て」の用い方・例文
「旅の恥は搔き捨て」は旅先で羽目を外す場面に対して使用します。
・例文1:旅先では旅の恥は搔き捨てと言わんばかりに飲んで歌って大騒ぎしたが、今思うと恥ずべきことをしていたのかもしれない。
・例文2:旅の恥は搔き捨てという言葉があるが、旅先では地元の方に迷惑を掛けないように行動するのが旅人たちの暗黙の了解である。
・例文3:世界遺産に落書きする行為は旅の恥は搔き捨てとは言わない。れっきとした犯罪行為なので絶対にやってはならない。
このように「旅の恥は搔き捨て」は旅先であれば恥ずかしいことをしても気にならないという意味で使用されます。
その一方で旅先では恥ずべきことをしてはならないという意味で使用されることもあるので注意が必要です。
現代ではむしろ恥ずべきことをする人に対する戒めとして「旅の恥は搔き捨て」という言葉が使用されることもあると言えるでしょう。
「旅の恥は掻き捨て」の類義語
ここからは「旅の恥は掻き捨て」の類義語を紹介します。
後は野となれ山となれ
「後は野となれ山となれ」は、目先のことが解決できれば後はどうなっても構わないということを例えたことわざです。
「やるべきことはやったのだから後のことは知らない」という開き直ったニュアンスで使用される言葉となります。
その点が「旅の恥は搔き捨て」と似ているのではないでしょうか。
ただし、使用する場面によっては気持ちの切り替えが早く潔い様子を意味する場合もあるので、必ずしも同じとは言えません。
当たって砕けろ
「当たって砕けろ」は、成功するか失敗するかわからなくても行動を起こしてみるべきであるということを例えたことわざです。
結果がわからないとしてもとりあえずはやってみろという励ましのニュアンスで使用される言葉となっています。
その点が「旅の恥は搔き捨て」に通ずるのではないでしょうか。
「旅の恥は掻き捨て」の対義語
ここからは「旅の恥は掻き捨て」の対義語を紹介します。
立つ鳥跡を濁さず
「立つ鳥跡を濁さず」は、退き際が潔いことの例えです。
立ち去る者は跡が見苦しくないようにすべきであるという状況を言います。
仮に旅に例えるとするなら「旅先では何も問題を起こさずに旅立つべきだ」という意味となるのではないでしょうか。
その点が「旅の恥は搔き捨て」と真逆の意味となります。
まとめ
「旅の恥は掻き捨て」は肯定的な意味と否定的な意味を持ちます。
肯定的な意味としては「旅先では知っている人もいないからどんなに恥ずかしいことをしてもその場限りのものである」となります。
しかし、否定的な意味で「だからといって旅先で傍若無人に振る舞っても許されるわけではない」ということも指すのが特徴です。
海外旅行などではつい羽目を外してしまいがちですが、常に「旅の恥は搔き捨て」という言葉は忘れないようにしたいところです。
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