生き物と一緒に暮らしたことのない方は、衝動的に猫と暮らし始めてはいけません。物理的にも心理的にも準備不足で問題が起こりやすく、最終的に手放す事態になれば、猫もあなた自身もつらくて不幸になってしまうからです。衝動的に猫を飼った人に起こり得る問題をご紹介しますので、十分な準備と覚悟をしてから猫を迎え入れましょう。
1.お金の問題
とにかくびっくりするのが、お金がかかるということかもしれません。
日常的に購入し続けなければならないフードや猫砂、ペットシーツなどの他、食器、トイレ、寝床、キャリーバッグ、ケージ、爪研ぎ器、爪切り、キャットタワー、ブラシ、おもちゃなども、1度買った後も買い替えが必要になるものが多いです。
また真夏や真冬には、飼い主さんの留守中でも、猫のためにエアコンをつけっぱなしにしておかなければなりません。
災害対策の非常食や備品類も、猫用に別途用意が必要です。また後述する住宅問題への対策にも、結構費用がかかります。
そして最も高額なのが、医療費です。動物病院によって料金に大きく差がありますが、基本的には人間の医療費の3倍以上が必要になると考えておきましょう。
なぜなら猫には国民保険のような健康保険制度がないため、治療費は全額負担になるからです。最近はペット保険も充実してきていますので、ペット保険への加入はぜひ検討してみてください。
2.住宅問題
一緒に暮らし始めてすぐに実感する悩みが、住宅問題です。特に賃貸の場合は、最も神経をすり減らす要因になることでしょう。
猫は、自分の縄張りの境界線付近を中心に、頻繁に爪とぎを行います。壁紙、ふすま、障子、カーテン、畳、ソファや椅子などのクッションや脚の部分などは、傷だらけであっという間にボロボロになること間違いなしです。
また、猫は棚や冷蔵庫、レンジフードの上などにもやすやすと飛び乗ってしまうため、危険物の排除も立体的にチェックしなければなりません。
さらに多頭飼育の場合は、感染防止対策や相性問題の解決策として、隔離が必要になることがあります。狭いワンルームの間取りだと厳しいかもしれません。
窓やベランダの手すりなどから脱走される、排泄物のニオイが部屋中にこもる、隣近所から鳴き声や走り回る音がうるさいと苦情が寄せられる、棚の上などの装飾品が壊されるなど、居住スペースに関する問題を挙げるとキリがありませんが、これら一つ一つに対処していかなければなりません。
3.ライフスタイル問題
猫と一緒に暮らすためには、ある程度飼い主さんのライフスタイルを猫に合わせる必要も出てきます。
特に一人暮らしの場合は、趣味の旅行や会社の出張に行けなくなる、毎日ほぼ決まった時間に食事やケア、遊びなどの時間を作るため、規則正しい生活が強いられるなどです。
帰宅後に猫の世話ができなくなるほど酔って帰るというようなことも、できなくなります。
仕事の関係でどうしても出張を無くせないといったような場合は、それなりの対策をきちんと講じておく必要があります。
さらには、将来飼い主さんのライフステージが変化した時には、猫を適応させるためにも苦労が伴います。目先の対策はすぐにでも必要ですが、将来のことも考えた上で、猫と一緒に暮らせるかどうかをよく考える必要があるでしょう。
4.健康問題
猫の医療費が高額なのは前述の通りです。とはいえ、避けて通れないのが猫の健康問題です。迎え入れてすぐに必要なのは、健康診断、避妊・去勢手術、ワクチン接種です。その後も、ワクチン接種と健康診断は、最低でも1年に1回は必要になります。
また、猫の健康を維持するためには、毎日自宅でブラッシングや歯磨きをしたり、全身の状態をチェックできるようになることが必要です。猫との間に信頼関係を築き、全身を触らせてもらえるようになるためのトレーニングも欠かせません。
5.介護問題
人と同様に、猫も長生きの時代です。猫のシニア期は7歳頃から始まりますが、今や猫の平均寿命は15歳程度です。つまり、猫の生涯の半分は老後といっても過言ではないような時代なのです。
シニア期以降の猫は、思うように歩けない、ジャンプできない、見えない、聞こえない、ニオイがわからない、体温調整ができない等、さまざまな問題が出てきます。
免疫力が下がるため、持病の一つや二つはあって当たり前だと考えておいた方が良いでしょう。場合によっては、寝たきりになることもあります。
しかしその頃になると、飼い主さんの方も年齢を重ねているため、更年期障害や節々の痛みなどを抱えていて、愛猫の世話をするのがつらくなってきている可能性が十分に考えられます。
猫を迎え入れる場合は、猫とご自身の年齢のことも考慮に入れる必要があるでしょう。
まとめ
猫に限らず、動物は衝動的に飼うべきではありません。ろくに準備もせずに勢いだけで飼い始めると、今回ご紹介したようなことが「問題」に感じてしまうからです。
しかし、あまり考えすぎてしまうと、タイミングを逸して一生飼えなくなるかもしれません。そういう理由で、筆者はある程度準備をして覚悟ができたら、えいやっと飼ってしまうことも大切だと思っています。
大切なのは、準備段階から猫のことを知ろうとし、最期の日まで知ろうとし続けることです。子育てと同じで、猫との暮らしも「勉強と工夫とへこたれない気持ち」が何よりも大切です。
だからこそ、これから猫と一緒に暮らそうと覚悟した方たちへ送りたい言葉は、「頑張れ!」です。
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