バドミントン日本代表の新体制発表会見が21日、ナショナルトレーニングセンター(東京・北区)で行われ、新ヘッドコーチに就任した大堀均氏(56)が「人生最後の挑戦と大仕事」と位置付けた大役への意気込みを語った。
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■大堀均新ヘッドコーチ
現役選手時代はトナミ運輸で活躍。2006年に富岡高校に赴任すると、同校バドミントン部の監督を務め、東京・パリオリンピック™と二大会連続でメダルを獲得した渡辺勇大・(旧姓)東野有紗ペアをはじめ、男子シングルスで日本人初の世界ランク1位に輝いた桃田賢斗などを育成した名伯楽。2017年からトナミ運輸のコーチを務め、2020年からジュニアナショナルチームのコーチ、2022年からジュニアナショナルチームのヘッドコーチを務めていた。
【会見全文】
まず、今回ヘッドコーチという大任の打診をちょうどパリオリンピックの頃に頂きました。非常に悩みました。「こんな大きな仕事できるのかな」という不安ばかりで、妻や兄によく相談をしていました。ただ、これまでバドミントン競技というものが私の生業というか、私自身を成長させてくれた大きな競技であったということ。それから、若いころからこの日本バドミントン協会にも大変お世話になってきたその恩返しをする時が来たのかな、というのが一つです。それからもう一つ、やはりオリンピックなどを見ながら、試合にかける選手たちの思いとか、すべてを犠牲にして競技に取り組む選手、これにすごく感銘を受けて、この選手たちのサポートをしていきたいなという気持ちもあり、今回の話をお受けさせていただくということになりました。改めまして力不足ではあると思うのですが、何卒皆様にはよろしくお願いしたいと思っております。
さて、これから日本代表をどうしていきたいか、どういう日本代表チームになってほしいかというところについてお話しさせていただきます。まず私が掲げたいのが「強い日本」それから「カッコいい日本」これを柱にして掲げさせていただきたいなと思っています。そのために私が掲げたい三つのバリューがあります。一つ目が「人間力を高めていく」ということ。二つ目が「個々の選手を伸ばしていく」ということ。三つ目が「所属企業や所属クラブとの連携を密にしていく」ということ。この三つが、私の中では大きな柱となります。この三つがバリューとしてやっていかなければいけない所かなと思っています。
まず一つ目の「人間力」のところですが、バドミントンに限らずスポーツというのは強くなれば子供たちがその選手に憧れる、憧れを抱く。これはどの競技でも同じだと思うんです。その憧れを持った子供たちが、そして親御さんも含めた周囲の人間もバドミントンに興味を持つようになる。その結果、競技スポーツとしてのバドミントン、ひいては生涯スポーツも含めたバドミントンの競技人口増加にもつながる。そうすると、今度はバドミントンを見る人も増えてくる。これがメジャースポーツへの足がかりとなるのかなと思っています。そんな憧れを持つ子供たちのために、選手というのはカッコよくなければいけない。でもカッコいいといっても、僕のように容姿がいいとかそういうことじゃなくてですね、内面から出るカッコよさ。これを身につけていってほしいなと思っています。日本は古くから伝統精神として礼儀作法・感謝の気持ちを持つこと。それから立ち居振る舞いに至るところまで、我々日本人は古くから伝統精神として培ってきている部分があるかと思うのです。こういったものを大事にしながら、選手たちと共に私自身もそういう姿勢で臨むことによって、選手たちにもそういう姿勢が浸透していってほしいな、浸透してくれればうれしいなとに思います。それが後々将来日本を背負って立つような子供たちにも好影響を与えていく非常に大事な側面があると思っています。
それから、二つ目の「個々の選手を伸ばしていく」ことについてですが、我々この日本バドミントン協会ナショナルチームの強化においては、我々テクニカル部分のコーチ、それから分析班、メディカルチームやコンディショニングチームなど様々な角度から選手をサポートしていく体制がございます。そういった方たちとも連携を図りながら、それぞれの選手に対して、特性を生かすこと、課題を克服すること、そういったものを一人一人に目を向けながら情報共有をして進めていく。個々を伸ばしていくという部分を大事にしていきたいと思います。これが二つ目のバリューです。
三つ目のバリュー、「所属企業や所属クラブとの連携」という部分です。我々ナショナルチームというのは、日本の場合は一年間ずっとそのメンバーで活動するわけではございません。それぞれに所属チーム所属企業クラブがあり、そちらでの活動というのも半分近くあるわけです。なおかつ選手の生活基盤となる給料面ですね。その生業の部分は、各所属企業や所属クラブによるところです。そういった部分を我々ナショナルチーム、日本バドミントン協会として選手たちに給与を払っているわけではございません。ただ選手たちが夢に向かって活動し、それを全力でサポートしていくという姿勢においては、これは所属企業も同じだと考えていますが、実際給与を払ってくれている所属企業、さらに遠征面で所属企業やクラブにも協力を依頼していかなければいけないという現状も含めまして、企業との連携、企業とのタイアップというものが必要不可欠であるという状況かと思っています。ですので、この「所属企業や所属クラブとの連携」も大切に、これから実践していきたいというふうに思います。
以上、三つのバリューを大事にしながら「強い日本」、それから「カッコいい日本」を作っていければというふうに思っています。最後になりますが、私は今年57歳になるという説明が(企画本部本部長の)出井さんからありましたけれども、見た目ほど若くはございません。あれ、合っていますよね。見た目ほど若くはございませんが、「人生最後の挑戦」と「人生最後の大仕事」というふうに位置づけて、覚悟を持ってこれから取り組んでまいりたいと思っています。今後ともよろしくお願いします。お手柔らかにお願いしたいと思います。ありがとうございました。