1月といえば、大学受験生にとって「天王山」の時期。共通テスト(1月17・18日)や私立大学の一般入試、さらには国公立大学の二次試験(2月)と、重要な試験が次々と控えています。一方で、少子化が進む現代、「大学全入時代」ともいわれる状況が進展しつつあります。しかし、「大学に入りさえすれば良い」というわけではなく、進学先の選択肢を広げるために早期から受験対策を行う高校生が増加しているようです。株式会社TimeTreeが公開した『未来データレポート 2025年1月版』では、TimeTreeのユーザーによる予定データを分析し、受験生たちの計画的な行動や最新の傾向を明らかにしています。この記事では、そのデータから見える「未来の受験事情」を掘り下げていきます。
【早期化する受験対策】高校1年生から進む塾通いとオープンキャンパス参加
少子化の進展により「大学全入時代」が叫ばれていますが、難関大学への進学を目指す学生たちの受験対策はむしろ早期化が進んでいます。TimeTreeのデータによると、現在の高校3年生が高校1年生だった2022年度から2024年度にかけて、「塾」に関連する予定登録数を集計した結果、高校1年生時点で登録された「塾」関連の予定が、高校3年生の約8割に達する水準を維持していることが分かりました。早期から塾に通うことで、難易度の高い大学への合格を目指す動きが一般化していると考えられます。
さらに、「オープンキャンパス」の予定も増加傾向にあります。特に、高校2年生のオープンキャンパス関連予定は、高校3年生に迫る水準まで増加。背景には、推薦入試や総合型選抜の条件として参加が求められるケースが増えていることが挙げられます。コロナ禍による一時的な減少から復活し、早期から大学を意識した計画的な進路選択が行われています。
【お金の悩みと向き合う受験生】奨学金関連予定が増加傾向
受験生にとって避けて通れないのが「お金」の問題です。TimeTreeの分析によれば、奨学金に関連する予定は直近5年間で58.2%も増加しました。大学在学中に奨学金を受給している学生が増えている中、入学前から奨学金の申し込み準備を進める動きが活発化しているといえます。
さらに、国公立大学と私立大学の関連予定を比較すると、私立大学の予定登録数が右肩上がりで増加していることが判明しました。近年の物価高や授業料の差が私立大学への進学に影響を与えており、奨学金の必要性がさらに高まっていることがうかがえます。
【受験後の高校生活】ラストスパートの後に広がる「楽しい予定」
受験のプレッシャーから解放された高校3年生たちは、3月になると充実した予定を楽しんでいるようです。2024年3月に高校3年生が登録した上位50件の予定を分析すると、「アルバイト」「旅行」「レジャー」「運転免許取得」といったアクティビティが多く見られました。厳しい受験期間を乗り越えた後の高校生活を満喫する姿が垣間見えます。
■ TimeTree未来総研所長 深川泰斗氏のコメント
昨今大学受験は多様化しており、推薦入試や総合型選抜などの「年内入試」で大学に進学する人がたくさんいると言われています。しかし、以前と変わらず一般選抜で多くの方が大学を受験していることも事実です。
今回の調査からは、勉強面でも勉強以外の面でも、頑張る受験生の姿が垣間見えました。少子化が進み大学受験者数が募集定員を割ったとしても、希望する大学への入学に向けて受験生が勉強を頑張ることは変わらないでしょう。
TimeTreeはみなさまの日常をサポートするカレンダーサービスとして、受験生の皆様がそれぞれ大輪の花を咲かせて充実した予定をたくさん登録してくださることをお祈りしています。
未来を見据えた計画の大切さ
今回のデータレポートを通じて感じたのは、高校生たちが未来を見据え、計画的に行動している姿です。大学全入時代といわれる現代ですが、目標を持ち、それに向けて努力を続ける彼らの姿勢には心を打たれます。特に、早期から進路を考える動きや奨学金を含めた現実的な準備は、これからの社会を生き抜く力の表れでもあります。
しかし、その一方で、受験競争の厳しさや家計負担の増加など、教育環境の課題も浮き彫りになりました。少子化が進む中でも、教育格差をなくし、すべての若者が平等に夢を追いかけられる社会を作ることが求められているのではないでしょうか。
高校生活という限られた時間の中で、計画を立て、目標に向かう若者たちをサポートする仕組みの重要性を改めて実感しました。今後もこうしたデータ分析を通じて、教育や進路選択に役立つ情報を発信していく意義を考えさせられる内容でした。