石破総理「楽しい日本に」発言は「上滑り」と野党が批判 一方で「年収の壁」引き上げ巡り「150万円」案が浮上のワケ【news23】
国会では各党の代表質問が始まりました。「楽しい日本」を掲げている石破総理ですが、野党からは質問が相次ぎました。一方で、今国会の注目テーマである「年収の壁」の引き上げを巡り、「150万円」という数字が浮上しているといいます。肝心の財源はどうなるのでしょうか。
衆院で代表質問 石破総理「楽しい日本」に批判
立憲民主党 野田佳彦代表
「とても違和感のあった言葉が 『楽しい日本』。 内外のこの厳しい情勢から鑑みると、明らかに上滑りしていると私は思いました」
先週の施政方針演説で、石破総理が訴えた「楽しい日本」について批判した立憲民主党の野田代表。
アメリカの第2次トランプ政権や深刻化している物価高対策に、真剣に向き合わなければならない時だと訴えました。
選択的夫婦別姓制度の導入をめぐっては…
立憲民主党 野田佳彦代表
「30年来の懸案である選択的夫婦別姓については、向き合うのではなくて、立ち向かわなければいけない時だと思う」
石破総理
「選択的夫婦別氏制度の是非は、国民の関心が極めて高いテーマでもあり、いつまでも結論を先延ばしてよい問題とは考えていない」
石破総理は「党としての考え方を明らかにすべく議論の頻度を上げ、その熟度を高めたい」と意欲を示しました。
また、自民党の派閥の裏金問題をめぐり野田代表は、新年度予算案の審議を始める前に安倍派の元会計責任者の参考人招致を求めましたが、石破総理は「国会において議論・判断する事柄だ」と述べるにとどめています。
一方、日本維新新の会の前原誠司共同代表が、高校授業料の無償化を求めたのに対し、石破総理は、「地方自治体が独自に実施する支援とのバランスや、安定的な財源の確保といった論点も考える必要がある」と述べました。
「年収の壁」引き上げ150万円案も 財源は?
藤森祥平キャスター:
年収の壁の引き上げについて、おさらいします。
所得税が発生するいわゆる103万円の壁について、2024年12月、政府与党は123万円に引き上げようとしました。ただ、国民民主党は178万円を譲らないという姿勢の中、星さんの取材で浮上した数字が150万円です。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
去年の予算編成で、123万円ぐらいなら税収が増えるので、増税しなくても良い、または新しい財源を作らなくても済みそうだということでした。
ところが150万円ぐらいなら合意点かと浮上していますが、やはり約3~4兆円の財源が必要です。
この国会は少数与党という異例の体制でスタートしています。一方で、私は少数与党に向き合うのは責任野党であるべきだと思います。野党も年収の壁を上げようというのであれば、財源を示す必要性・責任が出てきています。その辺りが、これからの与野党の折衝の見どころかなと思います。
藤森キャスター:
国民民主は150万円で受け入れそうですか?
星さん:
仮に飲まないとなると、自民党は「維新と組む」という選択肢もあるので、国民民主としては、なかなか悩ましい局面になってきました。
AIエンジニア 安野貴博さん:
数値を調整するという政治コストがめちゃめちゃデカいということを改めて思いまして、ある意味絶対値を決めなくてもいいんじゃないかと。
つまり、物価がどんどん変わっていく中で、年金のマクロ経済スライドみたいな仕組みがあるわけなので、そういったインフレ率みたいなものをもとに自動的に変わっていくような仕組みを入れないと、今後も物価が変わったときに、また何万円にするんだという議論がどんどん出てくるので、政治のコストを下げていくことをぜひやっていただきたいなと思ってます。
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<プロフィール>
星浩 さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年
安野貴博 さん
AIエンジニア SF作家
去年の都知事選で5位
デジタルで政治変革を目指す