ポメラニアンの『脱毛症』とは|主な症状や治療法について【獣医が解説】
ポメラニアンに多く見られる脱毛症「毛周期停止」。これは特に若い雄犬に多く見られますが、雌でもしばしば見られ、脱毛と皮膚の色素沈着(皮膚が黒くなること)が特徴です。本記事では、毛周期停止の症状、診断方法、治療について詳しく解説します。
️ポメラニアンの毛質が変わったり、薄毛が見られるようになった場合は注意が必要
ポメラニアンの毛周期停止とは
ポメラニアンの「毛周期停止」は、特に若い雄犬に多く見られる脱毛症の一種で、主に体の側面や背中に脱毛が発生します。興味深いことに、頭部と四肢は通常脱毛することはなく、これがこの疾患の特徴的な症状とされています。
さらに、脱毛した部分には色素沈着が現れ、黒っぽい皮膚が目立つようになります。また、脱毛した部分の皮膚は細菌感染を起こしやすくなり、特に夏は膿皮症と呼ばれる犬特有の皮膚病に悩まされることも少なくありません。
この疾患は、被毛の生え変わるサイクルに異常が生じ、毛の成長が一時的に停止することから「毛周期停止」と呼ばれています。
毛周期とは、毛が成長、退化、休止を繰り返す一連のサイクルのことです。毛周期停止では、このサイクルがうまく回らず、毛が抜け落ちたり、成長しなくなったりします。
残念ながら、毛周期停止の原因は未解明な部分が多く、現在も研究が続けられています。これまでの研究では、ホルモンの異常や遺伝的な要因が関与している可能性が指摘されています。
また、過去には「ポメハゲ」と呼ばれることもあり、これはポメラニアンに特有の脱毛症であることを示していました。しかしながら、実はポメラニアンだけでなく、日本ではトイプードルや柴犬など他の犬種でも見られることがわかっています。
また、ほかに特徴的なこととして、被毛の構造にも異常が現れます。
毛が正常に成長していないため、健康な被毛を持つポメラニアンと比較すると、毛がちぎれやすい、あるいは抜けやすいことがわかっています。そのため、毛質に問題が生じ、被毛が薄くなる傾向があります。
さらに、この毛質の変化は、脱毛・抜け毛が起こる前から出てくることが多い点にも注意が必要です。ただし、ご安心いただきたいこととしては、毛周期停止はあくまで毛に関する病気であり、体調に大きな影響を与えることはないため、犬の元気さや食欲には問題がないことがほとんどです。
毛周期停止の検査について
毛周期停止の診断は一つの検査だけで確定することはできません。診断には、複数の検査が必要です。
最初に行うのは、一般的な皮膚科検査で、被毛の状態や皮膚の状態を確認します。この時点で毛がちぎれている、または毛が成長していないといった異常が見られることがあります。
次に、皮膚生検が行われることもあります。これは、皮膚の一部を採取して顕微鏡で調べる検査で、毛根の状態や毛周期の異常を確認するのに役立ちます。
さらに、ホルモン失調や代謝性疾患の可能性を除外するために、血液検査が実施されることも一般的です。例えば、甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)など、ホルモン異常が皮膚症状の原因となっている場合もあるため、それらを確認する必要があります。
また、必要に応じて画像検査が行われ、他の内臓疾患が影響していないかを調べます。つまり、一つの検査で診断がつくわけではなく、他の疾患を除外した後に、最終的に毛周期停止と診断されることになります。
したがって、早期に異常を感じた場合には、すぐに動物病院での診察を受けることが重要です。
治療について
現在、毛周期停止に対する確実な治療法は見つかっていませんが、その子その子によって効果的な治療が違うことがわかっています。そのため、治療はその犬の状態に応じて個別に行う必要があります。
まず、一般的な治療法としては、発毛サプリメントの投与が挙げられます。これらは被毛の成長を促進する成分や栄養素を含んでおり、毛周期停止に効果がある場合があります。
また、炭酸泉を使った入浴や、ヘパリン類似物質を使った保湿などのスキンケアも有効な場合があります。これらは皮膚の血行を良くし、被毛の再生を助ける可能性があります。
さらに、発毛効果が高い治療法の一つとして、マイクロニードル法が近年は注目されています。これは非常に微細な針を使用して皮膚に刺激を与える治療法で、発毛率が高いとされています。ただし、この治療には全身麻酔が必要となるため、犬の健康状態や年齢を考慮して実施するかどうかを決める必要があります。
さらに、不妊手術を実施していない場合は、避妊・去勢を行うことで体の中の性ホルモンの状態が変わり、その後早期に発毛がみられることがあります。
️まとめ
ポメラニアンの毛周期停止は、脱毛と色素沈着が特徴的な疾患で、原因は未解明な部分が多いですが、ホルモン異常や遺伝が関与している可能性があります。
治療法はその犬に合わせたアプローチが必要で、発毛サプリメントやスキンケアが有効な場合がありますが、確実な治療法は確立されていません。治療に関しては獣医師とよく相談し、最適な方法を選ぶことが重要です。
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