「目標設定、習慣化、チーム学習」勉強できる子に変える3つの秘策

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2025-04-06 10:00
「目標設定、習慣化、チーム学習」勉強できる子に変える3つの秘策

子どもの学力向上は多くの親が抱える悩みの一つ。
慶應義塾大学教授の中室牧子さんが、科学的根拠に基づいた効果的な学習方法を提案しています。この記事では、「目標を立てる」「習慣化する」「チームで取り組む」という3つの秘策を紹介します。

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「 目標を立てる」具体的で達成可能な目標設定が鍵

多くの親が子どもに「勉強しなさい」と言い、まず考えるのが「強制系」ですが、それでは効果は限られます。中室教授は、カナダのマギル大学で行われた研究を例に挙げ、目標設定の重要性を強調しています。

「この研究では、大学生に2時間くらいかけて詳細な目標設定をさせました。その結果、たった1学期間で成績が大幅に向上しました」

具体的には、4点満点のGPAの平均点が0.66ポイントと大きく上昇しました。
効果的な目標設定には3つのポイントがあります。

1. 達成可能なインプットに対して目標を立てる
2. 自分で目標を立てる(他人に押し付けられない)
3. 自己管理の方法を学んだ上で目標を設定する

「この三つをセットにして、目標を立ててもらうことをやると、非常にシンプルで安上がりなんだけれども、高い成果が得られるという可能性があるのではないかなと思います」

また、小学生向けの研究では、夏休みの宿題を細かく区切ってやらせる方が成果が高くなることも分かっています。

 習慣化する:小さな報酬と繰り返しが大切

勉強を習慣化することは、多くの人にとって難しい課題かもしれません。
中室教授は、経済学の分野で注目されている「習慣形成(Habit Formation)」の研究を紹介しています。

ある研究では、大学生にジムに通う習慣をつけさせるため、小額の報酬を与えました。

その結果、報酬期間中はジムに通う回数が2倍に増加。
さらに興味深いことに、報酬が終了した後もジムに通い続ける傾向が見られました。

「最初はお金目当てで行っていたんですが、毎週毎週ジムに行くということを繰り返し継続しているうちに、だんだんそれが習慣になって、お金をもらえなくなってもジムに通い続けました」

この結果を分析すると、習慣化のためには2つの要素が重要だということがわかりました。

1. 何かを始めるときの抵抗感を和らげるきっかけを作る
2. 同じことを繰り返す

「ご褒美をやめた途端にやらなくなってしまったっていう研究もあります。なので、そうならないためにこの2つが同時に行われることが重要というのが過去の研究からわかっています」

これらの要素は、勉強習慣の形成にも応用できます。

例えば、勉強を始めるきっかけとして小さな報酬を用意し、同時に定期的に勉強する時間を設けることで、徐々に習慣化していくという方法です。

ただし、中室教授は注意点も指摘しています。

「お金で釣るのが逆効果になるようなケースも実はあります。例えば、悪い習慣をやめさせようとしてお金を使うと、かえって効果が出ないこともあります」

チームで取り組む:社会的プレッシャーと教え合いの効果

最後の秘策は、チームで勉強に取り組むことです。
一見すると、チームで勉強すると怠ける人が出てくるのではないかと思われるかもしれませんが、中室教授は労働経済学の研究を引用し、チームで取り組むことが生産性を向上させる可能性を指摘しています。

「人に迷惑をかけてはいけないとかっていうこともあるし、わからなかったら人に教えてもらえることもあるので、社会的なプレッシャーや教え合いで、チームで取り組むっていうことが生産性に良い影響を与えると考えられています」

実際に、アメリカの大学生を対象とした研究では、グループで図書館に通った学生の方が、個人で通った学生よりも学習時間が長くなる傾向が見られました。

特に、お互いに知り合いのグループが最も効果的だったということです。

中室教授は、これを子どもの学習に応用する方法も提案しています。

「例えば、お子さんたちを小さなグループにして、宿題を一緒にやらせます。3時になったらおやつを出しますが、おやつの中身は皆さんがどれだけ頑張ったかにかかっていますとする方法です」

さらに、東進ハイスクールの長瀬社長の言葉を引用し、中室教授は次のように付け加えます。

「教えることこそ、最も効果的に学ぶことだからだ」

グループ学習は教わる側だけでなく教える側にとっても大きな学びの機会となるのです。

科学的アプローチで子どもの学力を伸ばす

中室教授が提案する3つの秘策は、いずれも科学的な研究に基づいています。

目標設定、習慣化、チーム学習という方法を適切に組み合わせることで、子どもの学習意欲と学力を効果的に向上させることができます。

ただし、これらの方法を実践する際は、子どもの年齢や個性に合わせてアレンジすることが重要です。

また、強制ではなく、子ども自身が主体的に取り組めるような環境づくりを心がけることが大切だとしています。

「長い目で見れば、私たちの人生ってもう勉強し続けていかなければいけないわけです。勉強することが嫌いだって思ってしまったり、苦行だって思ってしまうと、非常にこの先の長い人生不利になると思うんです」

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